科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 哲学
科目番号 0071 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 建築学分野 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 ★ 教科書 : スティーブン・マンフォード『哲学がわかる 形而上学(A Very Short Introduction)』(岩波書店) ☆ 参考書 :鈴木生郎・秋葉剛史・谷川卓・倉田剛『ワードマップ現代形而上学:分析哲学が問う人・因果・存在の謎』(新曜社)、山口義久『アリストテレス入門』(ちくま新書)、戸田山和久『「科学的思考」のレッスン 学校では教えてくれないサイエンス』(NHK出版新書)。
担当教員 池田 裕輔

到達目標

1.「形而上学」、「論理学」、「倫理学」、「科学哲学」等、哲学の各領域の相違を理解し、その説明ができる(特に、「形而上学」の幾つかの伝統的問題の説明ができる)。
2.自身で「哲学的問い」を、その論述および他人と哲学的・合理的な議論ができる。
3.上記のことを通じて、様々な場面で、「哲学的」なものの観方や考え方を実際に用いることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1哲学の各部門の相違を理解・説明できるだけでなく、実際の生活において、その都度、適切な場面でそれらの考え方を応用できる。哲学の各部門の相違を充分に理解し、それに対して合理的な説明を与えることができる。哲学の各部門の相違を、充分には理解できていない。
評価項目2「哲学的問い」を、実際の生活の様々な場面でたて、様々な人と哲学的・合理的な対話ができる。「哲学的問い」の特徴を、充分に理解し、それに対して合理的な説明を与えることができるだけでなく、幾つかの伝統的な「哲学的問い」について自分なりに哲学的・合理的に考えることができる。「哲学的問い」の特徴について理解できていない。
評価項目3哲学的な観方・問い方を積極的に用いることで、日常生活で直面する様々な問題の合理的解決を模索することができる。哲学的な観方・問い方を用いて、日常生活で直面する様々な問題を相対化して(「一歩ひいて」)眺めることができる。哲学的な観方・問い方を、日常生活において活用することができていない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
「量子力学」、「分子生物学」、「オントロジー」、「解析幾何学」、「言語学」や「考古学」等といった学問領域と異なり、「哲学」と聞いても、そもそも、どのような問題・課題に取り組むものであるのか想像もつかないという方が殆どかと思います(授業担当者も最初はそうでした)。本授業は、そのような前提から出発して、みなさんと一緒に「哲学ってなに?」という(それ自身、極めて哲学的な)問いを問いつつ、「哲学」への導入を図ります。より具体的には、本授業は、次の三つの柱から成ります:
1. 「哲学」もまた、立派な(それどころか、最古の伝統と格式のある)学問分野のひとつであり、その扱う領域(いわば、下位部門)が極めて多様です。そして、その幾つかの具体例(「形而上学」、「倫理学」、「科学哲学」etc.)の解説をします。本授業では、そのなかでも、最も「哲学っぽい」といえる「形而上学」を特に詳しく扱います。
2. 他の各分野にそれぞれ固有な問い・問い方があるように(例えば、「分子生物学」は、遺伝子という観点から生命を問う)、哲学にも「哲学的問い」と呼べる固有の「問い方」があります。「哲学的問い」なるものが、どのような特徴を持つものであるのかを解説したうえで、みなさんと一緒に、実際に、「哲学的に問う」訓練をおこないます。
3. 晩御飯に何を食べるのか迷っている際に、三角関数を応用してメニューを決めるひとは(恐らく)殆どいないでしょう。しかし、そのような場面でも(敢えてお望みとあれば)「哲学的問い」を立てることができるほど、「哲学」は応用範囲の広いものです。上記の講義・訓練を通じて、日常の様々な場面で「哲学的」に考えることができるよう、授業を通じて実践していきます。
授業の進め方・方法:
1. 講義をおこない、学習内容をみなさんに理解して貰います。
2.適宜、学習内容のまとめを論述して貰い、それに基づいて、皆で簡単に議論します。
合否判定 : 定期試験(前期中間、前期末、後期中間および学年末の計4回)の平均が60点以上を合格とする。
最終評価 : 合否判定点
再試験 : 不合格の場合には再試験ないし課題提出を求め、60点以上を合格とする。最終評価は60点とする。
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入 幾つかの「哲学的問い」に触れ、その特徴について簡単な理解をもつことできる。
2週 「倫理学」―「善い」とはどういうことか?① 「倫理学」の古典的問題に触れ、その特徴について簡単な理解を持つことができる。
3週 「倫理学」―「善い」とはどういうことか?② (皆から評価されるような「倫理的」な考えを持つというのでは一切なく)「倫理学」に固有な問い・問題設定について理解できる。
4週 「倫理学」―「善い」とはどういうことか?③ 「倫理学」の代表的立場のひとつ「功利主義」の理論的な問題設定について説明することができる。
5週 「倫理学」―「善い」とはどういうことか?④ 「倫理学」の代表的立場のひとつ「義務論」の理論的な問題設定について説明することができる。
6週 「科学哲学」-なぜ、科学的知識は信頼できる/できないのか?① (究極的には、「科学って、そもそもなに?」を問う)「科学哲学(あるいは広く「認識論」)」に固有な問い・問題設定について触れ、その特徴について理解できる。
7週 「科学哲学」-なぜ、科学的知識は信頼できる/できないのか?② 帰納推論および演繹推論の相違だけでなく、それぞれの特徴を説明できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 「科学哲学」-なぜ、科学的知識は信頼できる/できないのか?③ 科学的な認識に際して用いられる代表的な推論のひとつである仮説演繹法について、具体的を用いてその特徴や満たすべき要件を説明することができる。
10週 「科学哲学」-なぜ、科学的知識は信頼できる/できないのか?④ 「科学哲学(あるいは広く「認識論」)」に固有な問い・問題設定が持つ特徴を説明できる。
11週 「形而上学」? (そもそも言葉からして意味不明な)「形而上学」が、どのような哲学的部門であるのかを簡単に理解できる。
12週 「形而上学」―心① 「心」をめぐる形而上学的的問いについて理解できる。
13週 「形而上学」ー心② 「心」をめぐる形而上学的問いについて説明・議論できる。
14週 「形而上学」ー心② 同上。
15週 前期のまとめと討論 前期に学習した内容に基づいて、哲学的問いを定式化・議論することができる。
16週 前期期末試験
後期
3rdQ
1週 前期の復習 前期に学習した内容に関して、理解・説明ができる。
2週 「形而上学」―自由意志① (自分で何か選択をおこなう際に、多くの方が漠然と感じているであろう)「自由意志」をめぐる形而上学的問いについて理解できる。
3週 「形而上学」―自由意志② 自由意志をめぐる形而上学的問いについて説明・議論できる。
4週 「形而上学」―自由意志③ 同上。
5週 「形而上学」―普遍者・イデア① (聞いたこともない言葉ですが、人類が2000年以上も真剣に悩んでいる)普遍者(イデア)をめぐる形而上学的問いについて理解できる。
6週 「形而上学」―普遍者・イデア② 普遍者(イデア)をめぐる形而上学的問いについて説明・議論できる。
7週 「形而上学」―普遍者・イデア③ 同上。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 「形而上学」―原因と理由① (普段、様々な場面で登場する「なぜ?」という問いへの答えともいえる)「原因」と「理由」をめぐる形而上学的問いについて理解できる。
10週 「形而上学」―原因と理由② 「原因」と「理由」をめぐる形而上学的問いについて説明・議論できる。
11週 「形而上学」―原因と理由③ 同上。
12週 「形而上学」―可能性と必然性① (普段、頻繁に用いる言葉ですが、これまた、人類が2000年以上も真剣に悩んでいる)「可能性・必然性」を巡る形而上学的問いについて理解できる。
13週 「形而上学」―可能性と必然性② 「可能性・必然性」をめぐる形而上学的問いについて説明・議論できる。
14週 「形而上学」―可能性と必然性③ 同上。
15週 後期のまとめと討論 後期に学習した内容に基づいて哲学的問いを定式化・議論することができ、また、応用として、日常生活において自分なりに哲学的問いを見つけ出し、定式化することができる。
16週 後期期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会公民的分野人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後15
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3前1,前7,前8,前9,前10,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力10000000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000