計測工学特論

科目基礎情報

学校 釧路工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 計測工学特論
科目番号 0027 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子情報システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 参考書: 電気電子計測,新妻弘明他(朝倉書店)バイオマグネトロニクス,渥美和彦他(オーム社)SQUID Sensors:Fundamentals and Applications,Harold Weinstock ed.(KluwerAcademic Publishers)
担当教員 松本 和健

到達目標

1. 計測における信号と雑音の関係から,計測システムを設計できる.
2. 超電導センサを用いた微小磁界計測における計測システムの問題点を理解できる.
3. 計測システムにおける周辺技術の技術的要求課題を理解できる.
4. S/N比の劣悪な環境下での計測データの取得方法を実験を通して理解できる.実験データと理論値を比較して誤差を評価し,計測可能な分解能を検討できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1測定における雑音レベルから,計測分解能を計算でき,位置分解能などの制約条件によるトレードオフから適切な計測システムを設計できる.測定における雑音レベルから,計測分解能を計算できる.測定における雑音レベルや,計測分解能を理解できない.
評価項目2超電導センサを用いた微小磁界計測における計測システムの問題点を理解でき,動作原理に基づいて解決方法を検討できる.超電導センサを用いた微小磁界計測における計測システムの問題点を理解できる.超電導センサを用いた微小磁界計測における計測システムの問題点を理解できない.
評価項目3計測システムにおける周辺技術の技術的要求課題を理解でき,動作原理に基づいて解決方法を提案できる.計測システムにおける周辺技術の技術的要求課題を理解できる.計測システムにおける周辺技術の技術的要求課題を理解できない.
評価項目4S/N比の劣悪な環境下での計測データの取得方法を理解し,実験データと理論値を比較して誤差を評価した結果から,計測可能な分解能を検討できる.計測分解能の改善のための考察と改善方法を提案できる.S/N比の劣悪な環境下での計測データの取得方法を理解し,実験データと理論値を比較して誤差を評価した結果から,計測可能な分解能を検討できる.S/N比の劣悪な環境下での実験データと理論値を比較して誤差を評価した結果から,計測可能な分解能を検討できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 D  説明 閉じる
JABEE d-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
この科目では,本科で学習した計測工学,電磁気学,応用物理,信号処理などの知識に基づいて,信号と誤差の統計的な扱い,信号と雑音の物理的な性質や時空間における性質とその処理方法といった基礎的な事項の理解を深めてもらう.また,計測システムの設計を,資料調査や演習課題を通じて修得してもらう.
この科目は企業で計測システムの設計を担当していた教員が,その経験を活かし,具体的な計測システムの設計課題を用いて演習形式で授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
広範囲に応用され,多くの計測手法がある最近の電子計測の技術の中から,一つのトピック的な計測技術(生体磁気計測など)を取り上げる.電気電子工学,情報工学で学んできた事,特に電気回路,電磁気学,計測工学信号処理の知識を元にして,不確かさの少ない信頼できる計測について学ぶ.
定期試験(年一回)[50%],設計課題[20%],実験レポート「30%]
上記項目を総合して100点満点とし最終評価とする.合否判定は定期試験が60点以上で合格とする.
遅進学生,成績不振者に対して,適宜,課外の補習及び再試験を行う.
設計課題は,要求した設計仕様の計測システムの達成程度で評価する.
英文献レポートは,内容理解,内容の要約,関連事項の調査から総合的に評価する.
実験レポートは,書き方,内容,実験条件・データの整理,数値解析との比較,データの誤差評価,考察,期限から総合的に評価する.
今年度は,生体の電磁界信号の計測をトピックとして取り上げる予定です.この分野の計測では,比較的S/N比の確保が困難な分野になります.トピックとして取り上げた技術を理解することによって,様々な計測分野に応用できるような力を修得することを期待します.
注意点:
本科で学習した,電磁気学,電気回路,計測工学を用いて計測システムの設計を学習することで,その本質が理解できるようになります.今までに学習したことよりも抽象的な概念について学習することになりますが,確実に理解するように努力してください.
授業の演習や,試験では関数電卓を使用して計算しますので,必ず準備してください.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生体磁気計測システムとその周辺技術の紹介 トピックで取り上げる生体磁気計測システムの構成と技術的要求事項の概要について理解できる.
2週 信号と雑音 磁界計測システムの設計で必要な基本的知識となる,信号と雑音の物理的性質と解析的な取り扱い方,技術的処理方法の関連について理解できる.
3週 雑音の時間的,空間的性質 雑音の種類と計測分解能の関係について理解する.雑音の物理的性質を理解し,その除去方法を検討できる.
4週 超電導とその応用
超電導現象
電気伝導と超電導現象について理解できる.
5週 超電導とその応用
磁束の量子化とその応用
超電導現象に基づいて,磁束が量子化されることを理解できる.
超電導現象の応用について理解できる.
6週 SQUID磁束計(磁気センサ)の動作原理 磁気センサの動作原理とセンサ特性を決めるパラメータを理解できる.
7週 SQUID磁束計の各種制約条件と設計パラメータ
熱雑音
キャパシタンス設計
インダクタンス設計
計測条件に適切なセンサ設計を理解できる.
センサの設計値を最適化するための各種無次元化パラメータの使い方を理解できる.
8週 SQUID磁束計の各種制約条件と設計パラメータ
臨界電流値設定
抵抗値設計
磁束トランス設計
プリアンプの雑音
※ 前期中間試験は実施しない
計測条件に適切なセンサ設計を理解できる.
パラメータの設計値を最適化するための各種無次元化パラメータの使い方を理解できる.
2ndQ
9週 設計課題
SQUID磁束計の最適設計
与えられた計測条件に基づいて,要求される磁束分解能と位置分解のトレードオフを最適化するセンサを設計できる.
10週 雑音除去方法
時間的除去手法
空間的除去手法
磁界計測におけるS/N比の改善に関する技術的手法について理解できる.
11週 計測システムの周辺技術
動作原理と技術的要求事項と課題
生体磁界計測システムを構成する周辺技術の動作原理と課題,最近の技術動向を理解できる.
12週 計測システムの周辺技術
最近の技術の紹介
周辺技術は,冷却技術,計測回路技術,信号処理,シーディング技術,電流源推定のアルゴリズムなどの項目から一つを選択する.
13週 計測システムの周辺技術
最近の技術の紹介
14週 微小磁界計測実験の説明 生体磁気信号の電流ダイポールによる疑似実験を理解できる.
ビオサバールの法則を用いて理論値を計算できる.
15週 微小磁界実験 S/N比の劣悪な環境でのSQUID磁束計による疑似生体信号計測の実験を通して計測データと雑音の理解とS/N比改善を検討できる.
16週 前期期末試験:実施する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合5050
基礎的能力5050