概要:
機械材料の基本的性質,実用材料の歴史的発展,材料相互間の位置付けを系統的に理解させることを目的とする。日常生活においてよく見かける様々な機械を構成する材料は主に、金属・プラスチック(高分子材料)・セラミックス・木材等に分けられる。それぞれの特徴を理解しておくことは、ものづくりに関わる技術者にとって非常に有用かつ重要なことである。
この科目は企業で材料およびその生産プロセスの研究・開発を担当していた教員が,その経験を活かし,機械に使われる各種材料の種類,特性,製造プロセス,用途等について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
本授業の前半では金属材料に関する基礎的事項について学ぶ。後半においては,非金属材料(プラスチック,セラミックス)、複合材料および機能性材料について学ぶ。
注意点:
全ての機械は材料がないと造ることはできず,機械材料学はものづくりのベースとなる.多種のモノを作る上での基礎を学び,設計・製造プロセスを考えるうえでの基礎としてもらいたい.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
序論 |
機械材料に求められる性質を説明できる。 金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。
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2週 |
金属および合金の結晶構造 |
金属と合金の結晶構造を説明できる。
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3週 |
平衡状態図 |
平衡状態図を理解し組織形成される組織を予測できる
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4週 |
金属材料の機械的性質とその試験方法 |
硬さの表しかたおよび硬さ試験の原理を説明できる。脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。
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5週 |
金属材料の疲れと疲れ強さ |
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。
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6週 |
金属材料の機械的性質と温度 |
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。線膨張係数の意味が説明でき、熱ひずみを計算できる。
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7週 |
金属材料の製造法 |
鉄鋼および非鉄金属の工業的な製法を理解できる.
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8週 |
中間試験 |
学んだ知識の確認ができる。
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2ndQ |
9週 |
鉄鋼の分類およびFe-C系平衡状態図 |
炭素鋼の連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方が説明できる。 炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線の読み方ならびにC.C.T.曲線との相違が説明できる。
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10週 |
鋼の熱処理 |
鉄鋼の熱処理について種類別に説明でき,その特性に応じた使い分けを理解できる. 焼きなまし、焼きならし、焼入れ、焼戻しの目的と操作を説明できる。
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11週 |
構造用鋼 |
構造用鋼の用途と分類について理解できる.
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12週 |
鋳鉄 |
鋳鉄の性質および組織について説明できる。
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13週 |
銅及び銅合金 |
銅及び銅合金の性質および組織について説明できる。
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14週 |
アルミニウム及びアルミニウムなどの合金 |
アルミニウム及びアルミニウム合金の性質を理解し、分類することができる。
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15週 |
軸受け・ばね・工具材料 |
軸受け,ばね用鋼,工具用鋼についてその性質と製法を理解できる.
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16週 |
期末試験 |
学んだ知識の確認ができる。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
耐食材料 |
防食、不動態皮膜、フェライト系・オーステナイト系ステンレス鋼、粒界腐食、応力腐食割れ等が理解できる。
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2週 |
耐熱材料 |
耐熱材料における
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3週 |
新材料・複合材料 |
形状記憶材料の動作原理と用途,複合材料の製法とそのとくせいについて説明できる.
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4週 |
熱可塑性,熱硬化性プラスチック |
プラスチックが熱との関係により,大きく分けて二種類に分類されることを説明でき、それぞれの特徴がわかる。
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5週 |
プラスチックの強度特性 |
プラスチックの機械的性質の特徴を説明できる。
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6週 |
プラスチックとリサイクル,セラミックスの基礎 |
プラスチックのリサイクルについて説明できる.セラミックスを汎用セラミックスとファインセラミックスに分類できる。
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7週 |
機械構造用セラミックス |
構造用セラミックスの性質がわかる。結合様式と特性との関係がわかる。
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8週 |
中間試験 |
学んだ知識の確認ができる。
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4thQ |
9週 |
製造法による特性変化,炭素材料 |
セラミックスの製造法による特性変化がわかる.DLC,カーボンナノチューブの性質がわかる。
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10週 |
構造用複合材料 |
複合材料の発展や分類について説明できる。複合材料の機械的強度や複合則について説明できる。
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11週 |
傾斜機能材料,アモルファス合金 |
傾斜機能材料,アモルファス合金の性質がわかる。
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12週 |
水素吸蔵合金,超塑性合金 |
水素吸蔵合金,超塑性合金の性質がわかる。
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13週 |
木材 |
木材の基礎的な性質と材料としての特徴が理解できる
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14週 |
木材の利用と資源循環 |
木材の利用方法と資源循環による環境負荷の低減について理解できる
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15週 |
木材の製法 |
木材の製造プロセスについて理解できる
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16週 |
期末試験 |
学んだ知識の確認ができる。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。 | 4 | 後7,後9,後10 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 材料 | 機械材料に求められる性質を説明できる。 | 4 | 前1 |
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。 | 4 | 前1 |
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。 | 4 | 前3 |
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。 | 4 | 前4 |
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。 | 4 | 前4 |
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。 | 4 | 前6 |
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。 | 4 | 前7 |
金属と合金の結晶構造を説明できる。 | 4 | 前2 |
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。 | 4 | 前9 |
合金の状態図の見方を説明できる。 | 4 | 前9,前10 |
塑性変形の起り方を説明できる。 | 4 | 前5 |
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。 | 4 | 前5 |
鉄鋼の製法を説明できる。 | 4 | 後2 |
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。 | 4 | 前14 |
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。 | 4 | 前11 |
焼きなましの目的と操作を説明できる。 | 4 | 前13 |
焼きならしの目的と操作を説明できる。 | 4 | 前13 |
焼入れの目的と操作を説明できる。 | 4 | 前13 |
焼戻しの目的と操作を説明できる。 | 4 | 前13 |
材料系分野 | 金属材料 | 製銑および製鋼工程について、原料ならびに主設備、主な炉内反応を説明できる。 | 4 | 後2 |
純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。 | 4 | 前11 |
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。 | 4 | 前11 |
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 前13 |
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。 | 4 | 前12 |
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 前13 |
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 前13 |
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。 | 4 | 後16 |
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。 | 4 | 前15,後1 |
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。 | 4 | 後3 |
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。 | 4 | 後5 |
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。 | 4 | 後6 |
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。 | 4 | 後4 |
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。 | 4 | 後4,後5 |
無機材料 | セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。 | 4 | 前2,後11,後12,後13 |