機械材料学

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 機械材料学
科目番号 0033 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械システム工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 佐々木雅人 著,機械材料入門,理工学社/ プリント(担当教員作成),門間 著,機械材料SI単位版,実教出版
担当教員 千葉 良一

到達目標

1. 金属材料およびそれら合金の基礎的性質ならびに熱処理による組織変化および加工が性質におよぼす影響を理解する。
2. 代表的なプラスチックの性質、用途、また、その再利用などについて理解する。
3. セラミックス、炭素材料、複合材料の基礎的性質について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1金属および合金について、種類、製法、性質、用途、加工性、処理技術等の知識を正しく説明できる。金属および合金について、種類、製法、性質、用途、加工性、処理技術等の知識を説明できる。金属および合金について、種類、製法、性質、用途、加工性、処理技術等の知識を説明できない。
評価項目2プラスチックについて、種類、性質、用途、構造等を正しく説明できる。プラスチックについて、種類、性質、用途、構造等を説明できる。プラスチックについて、種類、性質、用途、構造等を説明できない。
評価項目3セラミック材料について、種類、性質、用途、加工性、構造等を正しく説明できる。セラミック材料について、種類、性質、用途、加工性、構造等を説明できる。セラミック材料について、種類、性質、用途、加工性、構造等を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 機械システム工学科の教育目標① 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標③ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械材料の基本的性質,実用材料の歴史的発展,材料相互間の位置付けを系統的に理解させることを目的とする。日常生活においてよく見かける様々な機械を構成する材料は主に、金属・プラスチック(高分子材料)・セラミックスに分けられる。それぞれの特徴を理解しておくことは、ものづくりに関わる技術者にとって非常に有用かつ重要なことである。
授業の進め方・方法:
本授業の前半では金属材料に関する基礎的事項について学ぶ。後半においては,非金属材料(プラスチック,セラミックス)、複合材料および機能性材料について学ぶ。
注意点:
材料の種類と性質,機械材料を理解する上で必要な語句を覚えることが多いが、人間同士のコミュニケーションに共通の言語が必要なように、材料について意見を交わすときに必要な言葉があるのだと理解して欲しい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 序論 機械材料に求められる性質を説明できる。
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。
2週 金属の性質と結晶構造 金属と合金の結晶構造を説明できる。
3週 金属の機械的性質 引張試験の方法を理解し、応力ひずみ線図を説明できる。
4週 様々な材料試験 硬さの表しかたおよび硬さ試験の原理を説明できる。脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。
5週 金属の変形 弾性変形と塑性変形の起りかたを説明できる。加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。
6週 材料の疲労 疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。
7週 耐熱強度
次週,中間試験を実施する
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。線膨張係数の意味が説明でき、熱ひずみを計算できる。
8週 全率固溶型平衡状態図と組織 金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。全率固溶型平衡状態図の見方を理解できる。
2ndQ
9週 共晶型平衡状態図と組織 共晶型平衡状態図の見方を理解できる。
10週 鉄鋼の製造法 鉄鋼の製法を説明できる。
11週 Fe-C系状態図と標準組織 Fe-C系平衡状態図の見方を理解できる。
12週 熱処理原理と組織 炭素鋼の連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方が説明できる。
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線の読み方ならびにC.C.T.曲線との相違が説明できる。
13週 熱処理の種類 焼きなまし、焼きならし、焼入れ、焼戻しの目的と操作を説明できる。
14週 炭素鋼の分類 炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。
15週 合金鋼の分類 合金鋼の性質を理解し、分類することができる。焼入れ性、焼戻し脆性が理解できる。
16週 期末試験 学んだ知識の確認ができる。
後期
3rdQ
1週 ステンレス鋼 防食、不動態皮膜、フェライト系・オーステナイト系ステンレス鋼、粒界腐食、応力腐食割れ等が理解できる。
2週 耐熱合金,特殊用途鋼 鉄鋼の高温酸化、耐熱鋼、超耐熱合金が理解できる.快削鋼、ばね鋼、軸受け鋼、磁石材料が理解できる。
3週 鋳鉄 鋳鉄の性質および組織について説明できる。
4週 アルミニウムの性質,展伸用アルミニウム合金 アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。
展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理条件による種類および特徴を理解し応用できる。
5週 鋳造用アルミニウム合金,銅の性質 鋳造用アルミニウムについて、種類および特徴を理解できる。純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。
6週 銅合金,Mg合金,Ti合金,Ni合金 黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し応用できる。マグネシウム、チタン、ニッケルの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。
7週 熱可塑性,熱硬化性プラスチック
次週,中間試験を実施する
プラスチックが熱との関係により,大きく分けて二種類に分類されることを説明でき、それぞれの特徴がわかる。
8週 プラスチックの強度特性 プラスチックの機械的性質の特徴を説明できる。
4thQ
9週 加工方法と製品例 加工方法と製品の実際を説明できる。
10週 プラスチックとリサイクル,セラミックスの基礎 プラスチックのリサイクルについて説明できる.セラミックスを汎用セラミックスとファインセラミックスに分類できる。
11週 機械構造用セラミックス 構造用セラミックスの性質がわかる。結合様式と特性との関係がわかる。
12週 製造法による特性変化,炭素材料 セラミックスの製造法による特性変化がわかる.DLC,カーボンナノチューブの性質がわかる。
13週 構造用複合材料 複合材料の発展や分類について説明できる。複合材料の機械的強度や複合則について説明できる。
14週 傾斜機能材料,アモルファス合金 傾斜機能材料,アモルファス合金の性質がわかる。
15週 水素吸蔵合金,超塑性合金 水素吸蔵合金,超塑性合金の性質がわかる。
16週 期末試験 学んだ知識の確認ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野材料機械材料に求められる性質を説明できる。4前1
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。4前1
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。4前3
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。4前4
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。4前4
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。4前6
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。4前7
金属と合金の結晶構造を説明できる。4前2
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。4前8
合金の状態図の見方を説明できる。4前8,前9
塑性変形の起り方を説明できる。4前5
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。4前5
鉄鋼の製法を説明できる。4前10
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。4前14
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。4前11
焼きなましの目的と操作を説明できる。4前13
焼きならしの目的と操作を説明できる。4前13
焼入れの目的と操作を説明できる。4前13
焼戻しの目的と操作を説明できる。4前13
材料系分野金属材料製銑および製鋼工程について、原料ならびに主設備、主な炉内反応を説明できる。4前10
純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。4前11
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。4前11
炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。4前13
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。4前12
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。4前13
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。4前13
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。4
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。4前15,後1,後2
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。4後3
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。4後5
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。4後6
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。4後4
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。4後4,後5
無機材料セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。4前2,後11,後12,後13

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力8015000095
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000
態度・志向性(人間力)0500005