電子工学

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 電子工学
科目番号 0036 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 講義用プリントおよび演習用プリント配布
担当教員 吉本 健一

到達目標

1.電子や原子等の基本的性質を理解し,金属や半導体の物性を理解できる。]
2.金属や半導体の電気的特性に関する基本的な基本式を導き出せ,それらの計算ができる。
3.半導体の諸現象を理解し,pn接合の特性や種々の半導体素子の動作原理等を説明できる。                                                                                    

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電子や原子等の基本的性質を理解し,金属や半導体の物性の理解に役立てられ,諸現象を説明できる。電子や原子等の基本的性質を理解し,金属や半導体の物性の理解に役立てることができる。電子や原子等の基本的性質を理解できず,金属や半導体の物性の理解に役立てることができない。
評価項目2金属や半導体の電気的特性を説明でき,移動度や導電率の式を導き出せ,それらの計算ができる。金属や半導体の電気的特性を説明でき,移動度や導電率の計算ができる。金属や半導体の電気的特性を説明できず,移動度や導電率の計算ができない。
評価項目3半導体の基本的性質を理解し,pn接合の特性やトランジスタの動作原理等をエネルギーバンド図を用いて説明できる。半導体の基本的性質を理解し,pn接合の特性やトランジスタの動作原理等を説明できる。半導体の基本的性質を理解できず,pn接合の特性やトランジスタの動作原理等を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 電気情報工学科の教育目標① 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標③ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
前半は電子に関する基本事項や諸現象を理解するとともに,電子の運動に関する基本的な計算ができることを目標とする。
後半は固体(金属・半導体)内の電子のエネルギーと動作を理解するために帯理論の考え方を学ぶとともに,電子の固体内での諸現象や特性を説明できることを目標とする。
授業の進め方・方法:
最初に電子の発見から,原子の構造,電子放出,真空中の電界及び磁界内における電子の運動等を学び,これらの電子の現象を利用した電子部品や電子管の構造と動作原理も学ぶ。
その後,電子のエネルギー準位の帯構造および電気伝導等に関する基礎を身につけ,これらの諸効果を利用した種々の固体素子についても構造と動作原理を学び,理解を深める。加えて,半導体の熱電的,光電的,磁電的性質も学び,これらの性質を利用した素子の構造と動作原理についても学ぶ。さらに,集積回路とはどのようなものかについても,その基礎を学ぶ。
注意点:
電子に関して基礎から応用という流れで学んで行くので,前後のつながりを考えながら学ぶこと。また,暗記するだけでなく,理解力を深めるために,講義だけでなく随所に演習を入れて行く。基本的な問題であるので,自力で解くように努力すること。これらの演習課題等は評価につながるものであるため,提出期限を守り,必ず提出すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子とその性質① 3年生で学ぶ電子工学の概要説明。電子の発見,陰極線について学ぶ。
2週 電子とその性質② 電子の電荷と質量の測定法について説明できる。
3週 原子内の電子の状態と電子殻(原子の構造) ボーアの原子模型と理論を理解し,原子半径や電子のエネルギーが計算できる。
4週 電子放出と光の粒子性 種々の電子放出や光量子説について学び,仕事関数を用いて光の波長等を計算できる。
5週 電子の粒子性と波動性 粒子と波動の二重性について学び,物質波を理解できる。
6週 真空中の電子の運動① 電界より電子にかかる力やそれによって生じる速度等を計算できる。
7週 真空中の電子の運動②
次週,中間試験を実施する。
磁界により電子にかかる力やそれによって生じる速度等を計算できる。
8週 中間試験 学んだ知識の確認ができる。
2ndQ
9週 電子部品と電子管① 陰極および電子銃の基本構造を理解する。
10週 電子部品と電子管② 電界と磁界による電子の偏向角度や距離を計算できる。
11週 電子部品と電子管③ 電子レンズの原理を理解し,陰極線管(CRT)の構造を学ぶ。
12週 固体中の電子のエネルギー帯構造と電子の運動① 帯理論とは何かを学び,エネルギー帯を理解する。 
13週 固体中の電子のエネルギー帯構造と電子の運動② 導体,半導体および絶縁帯のエネルギー帯構造等を説明できる。 
14週 固体中の電子のエネルギー帯構造と電子の運動③ 金属の電気伝導を学び,金属内の電流および導電等の現象を説明できる。  
15週 固体中の電子のエネルギー帯構造と電子の運動④ 金属の電気伝導を学び,金属内の電流および導電率等を計算できる。
16週 期末試験 学んだ知識の確認ができる。
後期
3rdQ
1週 半導体の基礎① 半導体とは何かを学び,真性半導体,p形・n形半導体を理解する。
2週 半導体の基礎② 半導体の電気伝導を学び,半導体内の電流および導電率等を計算できる。  
3週 半導体のPN接合の帯構造とダイオード① pn接合とは何か。接合部における空乏層やキャリヤの動きを説明できる。
4週 半導体のPN接合の帯構造とダイオード② pn接合をエネルギー準位図で図示でき,順方向・逆方向バイアスによる効果について説明できる。
5週 pn接合を利用した半導体素子とその動作原理① バイポーラトランジスタの動作原理や特性を説明できる。
6週 pn接合を利用した半導体素子とその動作原理② 電界効果トランジスタ(FET)の動作原理や特性を説明できる。
7週 pn接合を利用した半導体素子とその動作原理③  次週,中間試験を実施する。 サイリスタの動作原理や特性を説明できる。
8週 pn接合を利用した半導体素子とその動作原理④ 学んだ知識の確認ができる。
4thQ
9週 半導体の熱電的性質とその応用素子 半導体の熱電的効果(ゼーベック効果、ペルチェ効果)について説明できる。
10週 半導体の光電的性質とその応用素子① 半導体の光電的効果(光導電効果,光起電力効果,発光効果)について説明できる。
11週 半導体の光電的性質とその応用素子② 光電的効果を利用した各種素子(CdS,太陽電池等)について説明できる。
12週 半導体の磁電的性質とその応用素子 半導体の磁電的効果(ホール効果)について説明できる。
13週 集積回路の基礎① 集積回路がどのような材料や素子で構成されているかについて,その基本を学ぶ。
14週 集積回路の基礎② 集積回路の製造工程について,その基礎を学ぶ。
15週 薄型ディスプレイの基礎 薄型ディスプレイの種類とその原理及び基本構造を学ぶ。
16週 期末試験 学んだ知識の確認ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気ローレンツ力を説明できる。4前7
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前2
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前2
原子の構造を説明できる。2前3
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。2前12,前13
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。2前14,前15
真性半導体と不純物半導体を説明できる。2後1
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。2後2,後15
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。2後3,後4
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。2後5
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。2後6

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他(演習・レポート)合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力70000030100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000