材料工学

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料工学
科目番号 0040 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 システム制御情報工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 基礎機械材料学(松澤 和夫著,日本理工出版会)
担当教員 堀川 紀孝

到達目標

1. 各種工業材料の特性を理解し,その特性が出現するしくみを説明できる.
2. 材料の強さや変形と金属の組織との関係について理解し,材料試験方法とともに説明できる.
3. 組成や熱処理による金属材料の特性の変化について理解し,そのしくみを説明できる.
4. 金属材料,非金属材料の特性と用途を説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各種工業材料の特徴を理解し,その特性が出現するしくみを説明できる.各種工業材料の特徴を理解し,説明できる.各種工業材料の特徴を説明できない.
評価項目2材料の強さや変形と金属の組織,結晶構造との関係について理解し,材料試験方法とともに説明できる.材料の強さや変形と金属の組織,結晶構造との関係を説明できる.材料試験方法を説明できる.材料の強さや変形と金属の組織,結晶構造との関係や材料試験方法について説明できない.
評価項目3組成や熱処理による金属材料の特性の変化について理解し,そのしくみを説明できる.組成や熱処理による金属材料の特性の変化について説明できる.組成や熱処理による金属材料の特性の変化について説明できない.
評価項目4金属材料,非金属材料の特性と用途を説明できる金属材料,非金属材料の主要な特性を説明できる金属材料,非金属材料の特性を説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 システム制御情報工学科の教育目標 ② 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ③ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
工業材料の基本的性質、微視構造、合金、材料試験法について学び,材料の性質が出現するしくみを学ぶ.炭素鋼、鋳鉄、非鉄金属,非金属材料の特性ならびに実際の工業材料の性質・用途等を学ぶ。
授業の進め方・方法:
序盤は金属を中心とする微小構造や強度・性質との関係,材料の性質と試験法について学び,その後,種々の材料についての性質や熱処理について学ぶ.したがって,序盤の内容の理解が重要である.
注意点:
工業材料は強度や加工性などの性質が重要視され,それらは材料の組織や成分でコントロールされる。材料の性質を理解するにはミクロとマクロ,両方の見方が必要であり,序盤の授業で扱う基礎が大切である。単なる暗記ではなく,材料の性質が「なぜ」違うのかを意識しながら学習すること。また,身の回りのものや、実習・演習で使用した材料にも関心を持つこと.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 工業材料の分類と基礎 設計における材料の位置づけがわかる.
原子の化学結合の種類と,金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。
2週 金属の結晶構造 金属と合金の結晶構造を説明できる。
格子定数,充填率の計算ができる.
ミラー指数の説明ができる.
3週 材料の変形と結晶構造
金属の塑性変形と転位
金属を中心に弾性変形と塑性変形のしくみ,結晶格子,転位の関係を説明できる.加工硬化と再結晶について説明できる。
4週 工業材料の微視的構造と性質 高分子材料とセラミックスの微視的構造と基本的な性質について説明できる.
5週 応力とひずみ 材料の応力とひずみについて説明できる.フックの法則を説明できる.
6週 応力とひずみの演習
引張試験と曲げ試験
応力とひずみの計算ができる.
引張試験の方法を説明できる.
7週 硬さ試験
次回中間試験を実施する
曲げ試験・硬さ試験の方法と特徴を説明できる.
8週 前期中間試験解説
衝撃試験
衝撃試験,低温脆性について説明できる.
2ndQ
9週 疲労破壊と疲労試験 疲労破壊のプロセスについて説明できる.S-N線図と疲労強度について説明できる.
10週 高温強さとクリープ試験 高温における材料の強度,クリープ現象について説明できる.
11週
顕微鏡観察と非破壊試験
材料の検査方法としての顕微鏡観察と非破壊試験の種類と特徴を説明できる.
12週 合金の形態
合金の平衡状態図と結晶組織
合金の混ざり方について説明できる.
合金の平衡状態図と相の関係をてこの理を用いて説明できる.
13週 全率固溶系,共晶系平衡状態図 全率固溶系および共晶形の状態図について説明できる.種々の相の割合を求められる.
14週 部分固溶系状態図,その他の状態図
鉄-炭素系状態図
部分固溶系,金属間化合物を晶出する状態図について説明できる.
15週 状態図の演習
Fe-C系の平衡状態図
Fe-C系の平衡状態図が理解できる.
16週 前期末試験
後期
3rdQ
1週 前期末試験解説
鉄鋼材料の基礎と製鋼プロセス

鉄鋼材料の特徴と製鋼プロセスを理解できる.
2週 鋼の組織と機械的性質
鋼の炭素量と組織,機械的性質の関係を説明できる.
3週 鋼の焼入れによる機械的性質・組織の変化 焼き入れによる硬化のしくみ,S曲線を説明できる.焼入れによる問題と,その対策について説明できる.
4週 鋼の各種熱処理 種々の熱処理の目的と熱処理条件を説明できる
5週 炭素鋼・構造用合金鋼の種類と特徴 炭素鋼の種類と合金鋼の種類ならびに合金化の効果について説明できる
6週 ステンレス鋼,耐熱鋼 ステンレス鋼,耐熱鋼,耐熱合金の特徴を説明できる.
7週 工具鋼,その他の特殊鋼
次回中間試験を実施する
ばね鋼,軸受鋼,快削鋼等の特殊鋼の特徴を説明できる.
8週 後期中間試験解説
鋳鉄の組織と特性
鋳鉄の特徴を説明できる.
鋳鉄の強度特性と黒鉛形状・基地組織の関係を説明できる.
4thQ
9週 各種鋳鉄・鋳鋼 鋳鉄の種類を説明できる.
鋳鋼の特徴について説明できる.
10週 軽合金基礎,熱処理 軽合金の強化法(熱処理等)について説明できる.
11週 軽合金の種類と特徴 アルミニウム合金・マグネシウム合金・チタン合金の種類と特徴・用途について説明できる.
12週 非鉄金属(銅合金等) 純銅,青銅,黄銅について特徴を説明できる.
亜鉛,すず等の用途について説明できる.
13週 セラミックス・高分子材料 セラミックスの構造,特性と用途について説明できる.
高分子材料の構造と特性について説明できる.
14週 高分子材料・複合材料 高分子材料の種類と特性について説明できる.複合材料の強化機構について説明できる.
15週 学年末試験
16週 試験返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野機械設計許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。2前10
キーの強度を計算できる。2
力学応力とひずみを説明できる。3前5
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。3前5,前6
応力-ひずみ線図を説明できる。3前5,前6
許容応力と安全率を説明できる。2前6
材料機械材料に求められる性質を説明できる。3前1
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。3前1,前2,前4
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。4前6
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。3前7
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。3前8
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。4前9
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。3前10
金属と合金の結晶構造を説明できる。3前2,前3,前12
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。3前12
合金の状態図の見方を説明できる。3前12,前13,前14
塑性変形の起り方を説明できる。4前3
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。3前3
鉄鋼の製法を説明できる。3後1
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。3後1,後2
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。4前15,後2
焼きなましの目的と操作を説明できる。3後4
焼きならしの目的と操作を説明できる。3後4
焼入れの目的と操作を説明できる。3後3,後4
焼戻しの目的と操作を説明できる。3後3,後4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力20020
専門的能力601575
分野横断的能力055