応用電子工学

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 応用電子工学
科目番号 0087 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 システム制御情報工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 なし
担当教員 中村 基訓

到達目標

1. 物質の電気的性質について,構成原子の種類や並び方,物質内の電子の振る舞いを通じて理解し,説明できる.
2. 金属や半導体の性質について,電子モデルを用いて理解し,説明できる.
3. シュレーディンガーの波動方程式について,適当な境界条件の場合に解くことができ,電子状態について説明することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1(A-2,D-1,D-2)物質の電気的性質について,構成原子の種類や並び方,物質内の電子の振る舞いを通じて理解し,説明できる.物質の電気的性質について,構成原子の種類や並び方,物質内の電子の振る舞いについての理解が若干不足しているが,概要は説明できる.物質の電気的性質について,構成原子の種類や並び方,物質内の電子の振る舞いについての理解ができず,説明できない.
評価項目2(A-2,D-1)金属や半導体の性質について,電子モデルを用いて理解し,説明できる.金属や半導体の性質について,電子モデルについての理解が若干不足しているが,概要は説明できる.金属や半導体の性質について,電子モデルについての理解ができず,説明できない.
評価項目3(D-1,D-2)シュレーディンガーの波動方程式について,適当な境界条件の場合に解くことができ,電子状態について説明することができる.シュレーディンガーの波動方程式について,適当な境界条件の場合に解くことができるが,電子状態についての理解が若干不足している.シュレーディンガーの波動方程式について,適当な境界条件の場合に解けず,電子状態について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気電子工学の重要な基礎科目の一つである電子物性を中心とし,物質の電気的性質を,物質を構成している原子や分子の並び方や物質中の電子の振る舞いを基礎として理解する.物質の構造については基礎となる水素原子模型からはじめ,化学結合と結晶構造について学ぶ.金属の電気伝導について自由電子モデルを用いて理解し,半導体のバンド構造について理解を深める.
授業の進め方・方法:
基本的にはスライドを使って講義を進め,授業内で議論や演習問題の解答などを通じて理解を深める.
注意点:
・半導体物性ついては電子工学Ⅰの前半で多少触れたものの,電子物性として勉強はこれまでほとんど受けたことが無いため,授業に集中してポイントをつかみ,固体中の電子の動きについてイメージを確立してほしい。講義では演習問題を出来るだけ多く扱って基本事項の理解を深める.基本的な数学(微分積分,微分方程式)や簡単な化学などの知識が必要となるので,復習をしておくことを勧める.
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合はA-2(20%) D-1(40%) D-2(40%)とする.
・総時間数45時間(自学自習15時間)
・自学自習(15時間)ついては,日常の授業(30時間)のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間や定期試験の準備のための勉強時間を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物質の構造1 水素原子模型を用いて,量子論的な粒子の振る舞いについて説明できる.
2週 物質の構造2 原子内の原子配列や化学結合と結晶構造について説明できる.
3週 物質の構造3 量子力学で用いられるシュレーディンガー方程式の基礎について説明できる.
4週 物質の構造4 電子の集団としての振る舞いについて,分布関数を用いて説明できる.
5週 物質の構造5 井戸型ポテンシャルにおける電子の振る舞いについて,シュレーディンガー方程式を解ける.
6週 半導体1 周期的ポテンシャル内の電子の振る舞いについて説明できる.
7週 半導体2
次週,中間試験を実施する
クローニッヒ・ペニーのモデルを用いて,バンド図について説明できる.
8週 半導体3 クローニッヒ・ペニーのモデルをについて,自由電子と井戸型ポテンシャル内の電子との関係を説明できる.
2ndQ
9週 半導体4 半導体内のキャリアの振る舞いについて,バンド図から説明ができる.
10週 半導体5 金属と半導体,絶縁体の違いについて,バンド図を用いて説明できる.
11週 半導体6 クローニッヒ・ペニーモデルの極限を取ることにより,自由電子や井戸型ポテンシャル内の電子を表せることが説明できる
12週 物質内の電気伝導1 金属の結晶中での振る舞いについて,自由電子モデルを用いて説明できる.
13週 物質内の電気伝導2 金属中の電気伝導について理解し,導電率について説明できる.
14週 物質内の電気伝導3 半導体中の電気伝導について理解し,導電率について説明できる.
15週 物質内の電気伝導4 半導体内の電気伝導についてホール効果の原理を説明できる.
16週 期末試験 これまで学んだ知識について,試験を通じて確認できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4後1
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4後1
原子の構造を説明できる。4後2
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4後2
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4後6,後7,後8,後9,後10
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4後12,後13,後14
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4後6
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4後6,後7,後8,後9,後10

評価割合

試験課題など合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000