電子工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 電子工学Ⅰ
科目番号 0095 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 システム制御情報工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 例題で学ぶアナログ電子回路入門 樋口英世著 森北出版株式会社
担当教員 中村 基訓

到達目標

1. 半導体における基本的な物性について理解し,バンド図からpn接合およびキャリアの伝導について説明できる.
2. 接合トランジスタの動作原理について理解し,バンド図を用いて説明できる.
3. 接合型トランジスタの静特性について理解し,図式解法により動作量を求めることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1(A-2,D-1)半導体における基本的な物性について理解し,バンド図からpn接合およびキャリアの伝導について説明できる.半導体における基本的な物性について理解が若干不足しているが,バンド図からpn接合およびキャリアの伝導についての概要を説明できる.半導体における基本的な物性について理解が不足し,バンド図からpn接合およびキャリアの伝導について説明できない.
評価項目2(A-2,D-1)接合トランジスタの動作原理について理解し,バンド図を用いて説明できる.接合トランジスタの動作原理について理解が若干不足しているが,バンド図を用いて原理の概要を説明できる.接合トランジスタの動作原理について理解が不足し,バンド図を用いて説明できない.
評価項目3(A-2,D-1,D-2)接合型トランジスタの静特性について理解し,図式解法から動作量を求めることができる.接合型トランジスタの静特性について理解が若干不足しているが,手順に基づいて図式解法から動作量を求めることができる.接合型トランジスタの静特性について理解が不足し,図式解法から動作量を求めることができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 システム制御情報工学科の教育目標 ③ 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ③ 説明 閉じる
JABEE A-2 説明 閉じる
JABEE D-1 説明 閉じる
JABEE D-2 説明 閉じる
JABEE基準 (d) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
半導体における基本的な物性について学習し,エネルギーバンド図からpn接合の構造および電気特性が説明できることを学ぶ.pn接合によるダイオード,接合型トランジスタの動作原理を学び,動作原理が異なる電界効果型トランジスタについて学習する.また,トランジスタ増幅回路の基礎となる図式を用いた動作量解析について学ぶ.
授業の進め方・方法:
基本的には講義ノートを準備するので,板書の量を極力少なくし,授業での説明に集中できるような環境を整備する.授業中は例題演習などを通じて,手を動かし,疑問点などはその授業内で解決するように心がけること.また,ほぼ毎週宿題を課すので,翌週の授業までに提出すること.
注意点:
・半導体物性ついてはこれまであまり触れられてこなかった分野であるので,授業に集中してポイントをつかみ,固体中の電子の動きについてイメージを確立してほしい.講義では演習問題を出来るだけ多く扱って基本事項の理解を深める.前提として電気回路の知識が必須となるので,苦手な場合は復習しておくことを勧める.
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合はA-2(60%) D-1(20%) D-2(20%)とする.
・総時間数45時間(自学自習15時間)
・自学自習(15時間)ついては,日常の授業(30時間)のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間や定期試験の準備のための勉強時間を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
電気工学の復習
キルヒホッフの電圧則・電流則を適用して,電気回路の基本的な問題が解ける.
2週 電気工学の復習(交流) 正弦波交流の特徴を説明でき,フェーザ表示や記号法で計算ができる.
3週 半導体物性1 電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる.
4週 半導体物性2 エレクトロンボルトの定義を説明し,単位換算等の計算ができる.
5週 半導体物性3 原子の構造やパウリの排他律により原子の電子配置を説明できる.
結晶,バンド構造,フェルミ・ディラック分布を理解し,金属と絶縁体をバンド図で説明できる.
6週 キャリア密度とフェルミ準位1 状態密度,分布関数を用いて,キャリア密度が算出できる.
7週 キャリア密度とフェルミ準位2
次週,中間試験を実施する
外因性半導体のキャリア密度について,温度域による違いを説明できる.
中間テストではこれまで学んだ内容について,試験を通じて確認する.
8週 テストの返却
電気伝導
半導体中の電気伝導について,説明できる.
ホール効果の原理について説明でき,ホール効果についての簡単な計算ができる.
2ndQ
9週 電気伝導 半導体中の電気伝導について,説明できる.
ホール効果の原理について説明でき,ホール効果についての簡単な計算ができる.
10週 pn接合とダイオード ダイオードの特徴を説明できる.
pn接合により整流性を持つことを,バンド図を用いて説明できる.
pn接合におけるキャリアの振る舞いが説明できる.
11週 トランジスタ1 接合型トランジスタの動作原理(静特性)について,バンド図を用いて説明できる.
12週 トランジスタ2 FETの特徴と等価回路について説明できる.
電界効果トランジスタの構造と動作について説明できる.
13週 トランジスタ3 接合型トランジスタの特徴と等価回路を説明できる.
接合型トランジスタの動作点を導出できる.
14週 トランジスタ4 接合型トランジスタの動作量について,静特性から図式解法を用いて算出できる.
15週 トランジスタ5 トランジスタのスイッチング動作について説明できる.
16週 期末テスト これまで学んだ内容について,試験を通じて確認する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4前10
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4前12
FETの特徴と等価回路を説明できる。3前14
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3前3
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3前4
原子の構造を説明できる。3前5
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。3前5
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3前5
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3前9
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3前5
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3前5
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4前10
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4前11
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3前15

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000