計測工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 計測工学Ⅰ
科目番号 0144 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 システム制御情報工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:1
教科書/教材 計測システム工学の基礎 第3版 西原 主計ほか著 森北出版株式会社
担当教員 中村 基訓

到達目標

1. 誤差の解析に必要な統計に関する基本的な処理を理解し,利用できる.
2. 測定結果における誤差の取り扱い方法を理解し,誤差の算出ができる.
3. 機械的測定手法について,その原理と特徴を理解し,誤差要因などを分析して比較検討ができる.
4. 信号の計測方法について理解し,信号増幅や処理における基本事項を説明でき,計測における計算ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1(A-2,D-1,D-2)誤差の解析に必要な基本的な統計量について理解し,具体的なデータを用いて統計量を算出できる.誤差の解析に必要な基本的な統計量について理解し,学習した中で大部分の統計量を算出できる.誤差の解析に必要な基本的な統計量について理解が不足し,学習した統計量を算出できない.
評価項目2(A-2,D-1,D-2)測定データを用いて適切な統計量を算出でき,検定の手法を理解した上で誤差の評価ができる.測定データを用いて適切な統計量を算出できる.検定における理解は若干不足しているが,手順に従い誤差の評価ができる.測定データを用いて適切な統計量の算出ができず,検定を用いての誤差の評価もできない.
評価項目3(A-2,D-1,D-2)機械的測定手法について,その原理と特徴を理解し,誤差要因などを分析して比較検討ができる.機械的測定手法について,その原理と特徴を理解し,誤差要因などを手順通りに分析できる.機械的測定手法における原理や特徴の理解が不足し,誤差要因などの分析ができない.
評価項目4(A-2,D-1)信号の計測方法について理解し,信号増幅や処理における基本事項を説明でき,計測における計算ができる.信号の計測方法について理解し,信号増幅や処理における基本事項を説明でき,ごく簡単な計算ができる.信号の計測方法についての理解が不足している.そのため信号増幅や処理における基本事項を説明できず,簡単な計算もできない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 システム制御情報工学科の教育目標 ③ 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ③ 説明 閉じる
JABEE A-2 説明 閉じる
JABEE D-1 説明 閉じる
JABEE D-2 説明 閉じる
JABEE基準 (d) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では,物理量の単位と次元,および計測データにおける誤差の解析に必要な統計的処理に必要な統計学の基礎(基本統計量の算出方法,推定・検定など)を学ぶ. さらに実験計画法の基本について学んだ後,得られた実験データの分析方法(回帰分析など)の手法について学ぶ.また,おもに機械的測定における原理について学ぶ.あらに測定方法における誤差要因および測定値の拡大方法や感度について学習する.また,計測システムとして,ハードウェア・ソフトウェアの両面から,測定して得られた電気的信号の取り扱いについて学ぶ.
授業の進め方・方法:
基本的には講義ノートを準備するので,板書の量を極力少なくし,授業での説明に集中できるような環境を整備する.授業中は例題演習などを通じて,手を動かし,疑問点などはその授業内で解決するように心がけること.また,ほぼ毎週宿題を課すので,翌週の授業までに提出すること.
注意点:
・工学における計測の役割と計測の基礎的事項を理解する.他の科目の授業内容及び実験・実習における計測の実践を関連づけて学習する.
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合はA-2(20%) D-1(60%) D-2(20%)とする.
・総時間数45時間(自学自習30時間)
・自学自習(30時間)ついては,日常の授業(15時間)のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間や定期試験の準備のための勉強時間を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
計測の基礎1
測定の定義と種類が説明できる.
国際単位系の構成について理解し,SI単位,次元,計測に関する基本的な用語などについて説明できる.
2週 計測の基礎2 有効数字や誤差の取り扱いができ,さらに誤差の伝播について説明できる.
3週 基本的な統計量1 3種類の不確かさについて説明できる.
4週 基本的な統計量2 測定した結果について,平均値,分散,標準偏差などの統計量の導出ができる.
5週 誤差と精度 偶然的不確かさが正規分布に従うことを説明できる.
有限回の測定により得られた結果について,t分布を用いて誤差の評価ができる.
6週 最小二乗法1 最小二乗法の考え方を用い,任意の多項式に対して最小二乗法を適用し,近似式を導出できる.
7週 最小二乗法2
次週,中間試験を実施する
いくつかの統計データについて最小二乗法を適用し,近似式を導出できる.
8週 相関関係 相関関係とはなにかについて説明ができ,相関係数を求めることができる.
2ndQ
9週 機械的な測定手法1 測定手法(長さ)の測定原理,構造上の特徴などを説明できる.
各種測定法において簡単な拡大率や感度の算出ができる.
10週 機械的な測定手法2 測定手法(角度,深さ)の測定原理,構造上の特徴などを説明できる.
各種測定法において簡単な拡大率や感度の算出ができる.
11週 機械的な測定手法3 測定手法(力)の測定原理,構造上の特徴などを説明できる.
各種測定法において簡単な拡大率や感度の算出ができる.
12週 信号の計測法1 センサからの出力信号である電気信号の基本的な計測法について理解し,電圧計測の手法について説明できる.
13週 信号の計測法2 ブリッジ回路を用いた抵抗変化分の算出ができる.オシロスコープの動作原理を説明できる.
14週 信号の計測法3 電力の測定方法の原理や手法について説明できる.
15週 信号の増幅と処理 オペアンプを用いた各種増幅回路,変換回路について入出力関係を理解し,簡単な回路の解析ができる.
16週 期末試験 これまで学んだ知識について,試験を通じて確認できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。3前4
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。3前8
自然科学物理実験物理実験有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前1
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御計測の定義と種類を説明できる。4前1
測定誤差の原因と種類、精度と不確かさを説明できる。4前1
国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。4前1
代表的な物理量の計測方法と計測機器を説明できる。4前9
電気・電子系分野電子回路演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。3前15
計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。3前12
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。3前2
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。3前1
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。3前1
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。3前12
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。3前12
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。3前15
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。3前12
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。3前14
電力量の測定原理を説明できる。3前14
オシロスコープの動作原理を説明できる。3前13

評価割合

試験課題など合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000