分析化学実験

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 分析化学実験
科目番号 0007 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 物質化学工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 新版 分析化学実験(東京教学社)/補助プリント
担当教員 古崎 睦,宮越 昭彦,小寺 史浩

到達目標

1. 薬品や火気、代表的な実験器具を正しく取り扱い、基本的な実験操作を行うことができる。
2. 得られた実験データを基に必要な計算や考察をして、実験レポートを作成できる。
3. 与えられた実験課題に対して、学んだ知識・技術を活用しながら、実験指針を立案し、実験を進め、データを解析し、成果を報告できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1薬品や火気、代表的な実験器具を正しく取り扱い、基本的な実験操作を正確且つ迅速に行うことができる。薬品や火気、代表的な実験器具を正しく取り扱い、基本的な実験操作を行うことができる。薬品や火気、代表的な実験器具を正しく取り扱えず、基本的な実験操作を行うことができない。
評価項目2得られた実験データを基に必要な計算や考察をして、適切な実験レポートを作成できる。得られた実験データを基に必要な計算や考察をして、実験レポートを作成できる。得られた実験データを基に必要な計算や考察をして、実験レポートを作成することができない。
評価項目3与えられた実験課題に対して、適切な実験指針を立案し、実験を進め、データを解析し、成果を報告できる。与えられた実験課題に対して、実験指針を立案し、実験を進め、データを解析し、成果を報告できる。与えられた実験課題に対して、適切な実験指針を立案し、実験を進め、データを解析し、成果を報告できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 物質化学工学科の教育目標 ① 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ③ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学分析が化学全般に果たす役割は大きい。本科目では、基本的な化学分析の操作法を身につけると共に、化学反応における定性・定量的な考え方を体得する。また、汎用的な能力となる実験報告書(レポート)の作成方法を習得する。
授業の進め方・方法:
・重量分析、容量分析、機器分析/定性分析/分離分析、および自由研究の順に展開する。最終の自由研究では、提示された複数の実験課題の中から一つを選択し、それまでに学んだ知識・技術を活用して、実験指針の立案・分析・解析・成果報告を行う。
・前期においては、実験テーマ終了毎にレポート作成の時間を設定し、必要な計算や結果の整理・考察に関する指導・助言を行う。
・授業の流れは、ガイダンス→実験(→ノートチェック)→小テスト→片付け退出 を基本とする。
注意点:
・小寺教員は後期からの担当となる。
・中間試験、期末・学年末試験は実施しない。
・評価については、合計点数が60点以上で単位修得となる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、実験安全講習、実験準備 本科目の目標、内容、予定、評価法および実験ノートの書き方などがわかる。また、実験遂行上の注意点、器具の名称や使用目的がわかる。
2週 重量分析 ニッケルの定量①、試薬調製①
ジメチルグリオキシム法の原理を理解し、正しい操作に則って目的沈殿物を形成させることができる。また、所定の試薬を正しく調製できる。
3週 重量分析 ニッケルの定量②、試薬調製② 生成した沈殿の恒量値から、試薬中のニッケル含有率を求めることができる。また、所定の試薬を正しく調製できる。
4週 重量分析 ニッケルの定量③(レポート作成) 結果の整理、計算、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。
5週 中和滴定1 強酸-強塩基滴定① 1次塩基標準溶液を調製し、強酸2次標準溶液の標定ができる。
6週 中和滴定1 強酸-強塩基滴定② 強酸標準溶液を用いて強酸-強塩基の滴定曲線を作成できる。
7週 中和滴定1 強酸-強塩基滴定③(レポート作成) 結果の整理、作図、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。
8週 中和滴定2 乳酸の定量① 乳酸菌飲料中の酸濃度を求め、併せて弱酸-強塩基の滴定曲線を作成できる。
2ndQ
9週 中和滴定2 乳酸の定量②(レポート作成) 結果の整理、作図、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。
10週 沈殿滴定 塩化物イオンの定量① 硝酸銀2次標準溶液を標定し、それを用いて、食塩中に含まれる塩化物イオンを定量することができる。
11週 沈殿滴定 塩化物イオンの定量②(レポート作成) 結果の整理、計算、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。
12週 キレート滴定  硬度の測定① EDTA標準溶液を調製し、それを用いて検水の硬度を求めることができる。
13週 キレート滴定  硬度の測定②(レポート作成) 結果の整理、計算、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。
14週 酸化還元滴定  鉄の定量① 還元剤の1次標準溶液を調製し、過マンガン酸カリウム2次標準溶液の標定ができる。
15週 酸化還元滴定  鉄の定量② 過マンガン酸カリウム標準溶液を用いてモール塩中の鉄を定量できる。
16週 酸化還元滴定  鉄の定量③(レポート作成)
ローテション実験に関するガイダンス
結果の整理、計算、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。また、ローテション実験の進め方や内容について理解できる。
後期
3rdQ
1週 ローテーション実験①
吸光光度法 / モル比法 / 系統分析 / 分離分析
・吸光光度法により、鉄-フェナントロリン錯体の吸収スペクトルを測定し、検水中の鉄を定量することができる。
・モル比法を用い、錯体中の金属:配位子の結合比を決定する。
・分属試薬および吸光光度計を用いて、検水中の各種金属イオンの定性分析を行なう。
・ペーパークロマトグラフ法により、混合試料の分離分析ができる。
2週 ローテーション実験②(レポート作成) 結果の整理、計算、作図、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。
3週 ローテーション実験③
吸光光度法 / モル比法 / 系統分析 / 分離分析
・吸光光度法により、鉄-フェナントロリン錯体の吸収スペクトルを測定し、検水中の鉄を定量することができる。
・モル比法を用い、錯体中の金属:配位子の結合比を決定する。
・分属試薬および吸光光度計を用いて、検水中の各種金属イオンの定性分析を行なう。
・ペーパークロマトグラフ法により、混合試料の分離分析ができる。
4週 ローテーション実験④(レポート作成) 結果の整理、計算、作図、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。
5週 ローテーション実験⑤
吸光光度法 / モル比法 / 系統分析 / 分離分析
・吸光光度法により、鉄-フェナントロリン錯体の吸収スペクトルを測定し、検水中の鉄を定量することができる。
・モル比法を用い、錯体中の金属:配位子の結合比を決定する。
・分属試薬および吸光光度計を用いて、検水中の各種金属イオンの定性分析を行なう。
・ペーパークロマトグラフ法により、混合試料の分離分析ができる。
6週 ローテーション実験⑥(レポート作成) 結果の整理、計算、作図、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。
7週 ローテーション実験⑦
吸光光度法 / モル比法 / 系統分析 / 分離分析
・吸光光度法により、鉄-フェナントロリン錯体の吸収スペクトルを測定し、検水中の鉄を定量することができる。
・モル比法を用い、錯体中の金属:配位子の結合比を決定する。
・分属試薬および吸光光度計を用いて、検水中の各種金属イオンの定性分析を行なう。
・ペーパークロマトグラフ法により、混合試料の分離分析ができる。
8週 ローテーション実験⑧(レポート作成) 結果の整理、計算、作図、考察等を進め、レポートをおおかた作成することができる。
4thQ
9週 自由研究① 選択した実験課題について、班員と協力しながら実験指針を立案し、分析を行い、結果を解析することができる。
10週 自由研究② 選択した実験課題について、班員と協力しながら実験指針を立案し、分析を行い、結果を解析することができる。
11週 自由研究③ 選択した実験課題について、班員と協力しながら実験指針を立案し、分析を行い、結果を解析することができる。
12週 自由研究④ 選択した実験課題について、班員と協力しながら実験指針を立案し、分析を行い、結果を解析することができる。
13週 自由研究⑤ 選択した実験課題について、班員と協力しながら実験指針を立案し、分析を行い、結果を解析することができる。
14週 自由研究⑥ 選択した実験課題について、班員と協力しながら得られた結果を整理し、発表用資料を作成することができる。
15週 自由研究⑦・成果発表会 選択した実験課題について、班員と協力しながら成果を報告することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。4
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4前2,前3
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。4
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。3
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。2
錯体の生成について説明できる。2
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4前5,前6,前7
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。4前13,前14,後3
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。4前11
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。3後2
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。3後2
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。4後6,後7
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。4後9,後10,後11,後12,後13,後14
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。2
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。3
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4前5,前6,前7,前8,前9
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。4前13,前14,後3
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4前11
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4後9,後10,後11,後12,後13,後14
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。2
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。2
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3

評価割合

レポート器具・薬品の取扱等発表小テスト合計
総合評価割合6015151000100
基礎的能力155550030
専門的能力405550055
分野横断的能力55500015