生物工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 生物工学Ⅰ
科目番号 0042 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 後期:4
教科書/教材 教科書:辻担当:応用微生物学 改訂版(培風館),杉本担当:生命化学II(丸善)
担当教員 杉本 敬祐,辻 雅晴

到達目標

1. 基礎の生物に関する知識を,自らの専門分野のより複雑な工学の問題に適用できる.
2. 生物化学の知識を,自らの専門分野のより複雑な工学の問題に適用できる.
3. バイオテクノロジーについて,その方法の原理を理解する.
4. さまざまな微生物の種類とその特徴および微生物の培養方法について理解し,説明できる.
5. 微生物の生育および培養方法について理解し,説明できる.
6. 微生物の働きおよびその応用方法について理解し,説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 (A-2,D-1,D-2)基礎的な生物に関する知識を,バイオテクノロジーに適用することができる.基礎的な生物に関する知識がバイオテクノロジーに適用している例を理解することができる.基礎的な生物に関する知識を,バイオテクノロジーに適用することができない.
評価項目2 (A-2,D-1,D-2)生物化学に関する知識を,バイオテクノロジーに適用することができる.生物化学に関する知識がバイオテクノロジーに適用している例を理解することができる.生物化学に関する知識を,バイオテクノロジーに適用することができない.
評価項目3 (A-2,D-1,D-2)バイオテクノロジーについて,その方法の原理を理解し,説明できる.バイオテクノロジーについて,その方法の原理を理解できる.バイオテクノロジーについて,その方法の原理を理解できない.
評価項目4 (A-2,D-1,D-2)さまざまな微生物の種類とその特徴および微生物の培養方法について正確に理解し,正確に説明できる.さまざまな微生物の種類とその特徴および微生物の培養方法についてほぼ正確に理解し,ほぼ正確に説明できる.さまざまな微生物の種類とその特徴および微生物の培養方法について理解できない.
評価項目5 (A-2,D-1,D-2)微生物の生育および培養方法について正確に理解し,正確に説明できる.微生物の生育および培養方法についてほぼ正確に理解し,ほぼ正確に説明できる.微生物の生育および培養方法について理解できない.
評価項目6 (A-2,D-1,D-2)微生物の働きおよびその応用方法について正確に理解し,正確に説明できる.微生物の働きおよびその応用方法についてほぼ正確に理解し,ほぼ正確に説明できる.微生物の働きおよびその応用方法について理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 物質化学工学科の教育目標 ② 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ③ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
杉本担当:原核細胞におけるDNAの複製,転写,翻訳の仕組みを分子レベルで理解し、遺伝子組み換え技術へつなげる基礎とする。
辻担当:微生物の種類・特徴を学び,それらの分離・培養・保存・育種・利用技術を理解する.
授業の進め方・方法:
講義は対話方式で行うため,頻繁に学生に質問する.また,講義中わかりにくいところがあれば,気軽に質問すること.
注意点:
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合は,A-2,D-1,D-2とする。
・総時間数90時間(自学自習30時間)
・自学自習時間(30時間)は,日常の授業(60時間)のための予習・復習,理解を深めるための演習課題の考察・まとめ,および定期試験のための学習を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス,
細胞の活動と遺伝情報(1)(杉本),
微生物学の基礎と応用微生物学の関わり(1)(辻)
・原核生物と真核生物の違いについて説明できる(杉本).
・核,ミトコンドリアや葉緑体の進化説について理解できる(杉本).
・微生物学と微生物利用学の発展・歴史を理解し,説明ができる(辻).
2週 細胞の活動と遺伝情報(2)(杉本),
微生物学の基礎と応用微生物学の関わり(2)(辻)
・染色体の構造と遺伝情報の分配について理解している(杉本).
・細胞周期について説明できる(杉本).
・微生物の種類・分類と特徴を理解し,説明できる(辻).
3週 遺伝子とDNAの関係(杉本)
微生物学の基礎と応用微生物学の関わり(3)(辻)
・歴史的なDNAに関する実験を学び,遺伝子の実体がDNAであることがわかる(杉本).
・ヌクレオチドの構造について理解し遺伝子組換え技術へ応用することができる(杉本).
・DNAの2重らせん構造,塩基の相補的結合を理解し,遺伝子組換え技術へ応用することができる(杉本).
・DNAの半保存的複製を理解し,遺伝子組換え技術へ応用することができる(杉本).
・微生物(ウイルス含む)の種類・分類と特徴を理解し,説明できる.(辻)
4週 DNAの複製(1)(杉本)
応用微生物学の手法(1)(辻)
・原核生物における複製の概要を理解し、開始メカニズムを理解することができる.(杉本).
・微生物の生育条件(生育環境と栄養)を理解し,説明できる(辻).
・微生物の分離,培養,保存に関わる技術を理解し,説明できる(辻).
5週 DNAの複製(2)(杉本)
応用微生物学の手法(2)(辻)
・原核生物におけるDNAポリメラーゼの働きを理解し,リーディング鎖における複製機構を理解し,遺伝子組換え技術へ応用することができる(杉本).
・有用微生物の改良・育種技術,安全対策を理解し,説明できる(辻).
6週 DNAの複製(3)(杉本)
微生物の代謝(辻)

・原核生物におけるDNAポリメラーゼの働きを理解し,ラギング鎖における複製機構を理解し,遺伝子組換え技術へ応用することができる(杉本).
・線状DNAにおける末端問題を説明することができる(杉本).
・微生物細胞の物質代謝とエネルギー代謝を理解し,説明できる(辻).
7週 DNA、RNA、タンパク質の検出技術(杉本)
食品の腐敗と保存(辻)
次週,中間試験を実施する.(杉本&辻)
・DNAとRNAの化学的構造・性質について理解し,Tmなどを測定する原理を理解することができる(杉本).
・放射性同位元素や蛍光物質を用いたラベルを理解し、生物系実験に応用することができる(杉本).
・食品の腐敗と微生物の関わりを理解し,説明できる(辻).
・食品の保存方法を理解し,説明できる(辻).
8週 「中間試験」 学んだ知識の確認ができる.(杉本&辻)
4thQ
9週 セントラルドグマ&RNAの構造(杉本)
発酵・醸造食品(1)(辻)
・DNAのから蛋白質への流れを理解できる(杉本).
・RNAについて理解し,バイオテクノロジーへ応用することができる(杉本).
・アルコール発酵について説明でき,その醸造への利用について理解し,説明できる(辻).
10週 RNAの転写機構(1)(杉本)
発酵・醸造食品(2)(辻)
・原核細胞におけるRNAポリメラーゼの働き,構造について理解することができる.また,DNAとRNAポリメラーゼの結合様式についても理解できる.これらの知識を遺伝子組換技術として応用することができる(杉本).
・アルコール発酵について説明でき,その醸造への利用について理解し,説明できる(辻).

11週 RNAの転写機構(2)&真核生物のm−RNAの合成方法(杉本)
発酵・醸造食品(3)(辻)
・転写反応の終結方法について理解できる(杉本).
・イントロン・エキソンなどを含むDNAから,成熟したm-RNAができるまでのプロセスを理解できる.これらの知識を遺伝子組換技術として応用することができる(杉本).
・調味食品(しょうゆ,味噌,食酢),チーズなどの乳製品,納豆,漬物などの製造技術を理解し,説明できる(辻).
12週 遺伝子の制御・ラクトースオペロンとトリプトファンオペロン(杉本)
発酵・醸造食品(3)(辻)
・ラクトースオペロンとトリプトファンオペロンのメカニズムについて理解し,遺伝子組換技術として応用することができる(杉本).
・調味食品(しょうゆ,味噌,食酢),チーズなどの乳製品,納豆,漬物などの製造技術を理解し,説明できる(辻).
13週 生物工学に関わる最新研究紹介(杉本)
微生物菌体の利用(1)(辻)
・生物工学に関わる最新研究についての紹介を聴講し、今まで修得した知識がどのように活かされているのかを理解できる(杉本).
・食用キノコの栽培技術,キノコの化学成分を理解し,説明できる(辻).
14週 翻訳(2)(杉本)
微生物菌体の利用(2)(辻)
・“ゆらぎ説“について理解できる(杉本).
これらの知識を遺伝子組換技術として応用することができる(杉本).
・食資料用SCP(菌体タンパク)の培養とその意義,SCPの化学成分を理解し,説明できる(辻).
15週 総復習(杉本&辻) 学んだ知識の確認ができる.(杉本&辻)
16週 学年末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4
共鳴構造について説明できる。4
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4
無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。3
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。3
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。3
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4
イオン結合と共有結合について説明できる。4
金属結合の形成について理解できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。3
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。3

評価割合

試験レポート課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力8010000090
分野横断的能力010000010