化学工業

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 化学工業
科目番号 0058 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 教科書:津田担当A:ベーシック化学工学(橋本建治著 化学同人), 宮越担当B:使用し ない/ 教材:宮越担当B:プリントを配布する
担当教員 宮越 昭彦,津田 勝幸

到達目標

1. 固体(粉体)の取り扱いに関する基本的内容について理解し,説明できる.
2. 単位操作(吸着や膜分離)の基本的内容について理解し,説明できる.
3. 主要な工業化学製品(酸、アルカリ、鉄鋼等)の製造法が説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1固体(粉体)の取り扱いに関する基本的内容について理解し,正確に説明できる.固体(粉体)の取り扱いに関する基本的内容についてほぼ理解し,ほぼ正確に説明できる.固体(粉体)の取り扱いに関する基本的内容について理解できない.
評価項目2単位操作(吸着や膜分離)の基本的内容について理解し,正しく説明できる.単位操作(吸着や膜分離)の基本的内容についてほぼ理解し,ほぼ正しく説明できる.単位操作(吸着や膜分離)の基本的内容について理解できない.
評価項目4主要な工業化学製品の製法について原料から中間製品、最終製品に至る過程について具体的に説明できる.主要な工業化学製品の製法について特徴を挙げて説明できる.主要な工業化学製品の製法について特徴を挙げて説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 物質化学工学科の教育目標 ② 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ③ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 この科目は企業でプラントの設計・建設・運転に携わった教員と溶液処理機器の開発・市販化に携わった教員がそれら経験を活かし、化学工業の視点から化学装置の単位操作の基礎理論や実際の化学プロセスの原理・特長について講義形式で授業を行うものである。それぞれの概要については下記の通りである。
津田担当A:化学プロセス工業における,固体粒子の取扱いや固体粒子の分離についての基本的考え方について演習を通して学ぶ。粉粒体の基礎的物性や粉砕・分級・分離に関する基礎的能力を身につけることを目標とする。
宮越担当B:前半は化学工業の在り方や将来的に主流となる考え方を概説するとともに,近年,確保が難しくなったレアメタルに関して学ぶ。後半は代表的な化成品基幹産業である「酸・アルカリ工業」と「金属・電気化学工業」を取り上げる。これらをもとに化学製造プロセスの現場で取り扱う試薬の特性や安全面に配慮できる能力を身に付ける。
授業の進め方・方法:
津田担当A:化学装置の設計・操作は,幾つかの単位操作から構成されている。ここでは,3−5年の化学工学に引き続き,単位操作の内の粉体に関する基礎知識を学ぶ。計算演習問題への取り組みを通して問題解決能力を身につけるために,授業項目に関連している部分について,化学・物理化学・熱力学の考え方を整理・復習し,計算に使われる種々の関係式の意味を理解することが必要である。
宮越担当B:現在の化学工業における主力製品の特性や製造過程の特徴を理解するとともに,これからの日本や世界で重視される工業資源や化成品の基礎知識を学ぶ。教科目の性格上,材料化学寄りの内容になることは否めない。とくに生物コースの学生は素材の機能性に関する内容など素材特性を理解するためのコツを早くつかんでもらいたい。なお,小テストは毎回実施する。
注意点:
・総時間数90時間(自学自習60時間)
・自学自習時間(60時間)として,日常の授業(30時間)のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間および定期試験の
 準備のための勉強時間を総合したものとする。
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であることが認められる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ・ガイダンス
A. 粉粒体の物性(1)粒径・粒度分布(1)
B. 化学工業の動向
・A&B.授業の進め方と成績の評価方法が理解できる。
A. 粒径分布について理解している。
B. 化学工業の歴史や特徴を理解し,わが国の資源やエネルギー状況と化学工業の将来について説明や考えを述べることができる。
2週 A. 粉粒体の物性(1) 粒径・粒度分布(2)
B. 工業資源の確保と将来の化学工業
(1)地球に存在する資源
A. 粒径分布について理解している。
B. 地球にある各種資源について系統的に説明ができる。
3週 A. 粉粒体の物性(2)粉粒体の性質
B. 工業資源の確保と将来の化学工業
(2)環境的配慮からのものづくり
A. 粉流体の性質を説明できる。
B. これからの化学産業の在り方としてグリーンケミストリーやLCAの考え方を理解し,説明することができる。
4週 A. 粉粒体の物性(3)粉体圧
B. レアメタル工業
(1)レアアースとレアメタル
A. 粉体圧の考え方を説明できる。
B. 日本の化学工業におけるレアメタルの重要性を理解し,その定義や問題点を説明できる。
5週 A. 粉砕(1)必要なエネルギー
B. レアメタル工業
(2)希土類元素の分離法
A. 粉砕方法について理解し必要な計算ができる。
B. 希土類元素の分離法を説明できる。
6週 A. 粉砕(2)粉砕機
B. レアメタル工業
(3)希土類元素の精製と利用
A. 代表的粉砕機の概略を説明できる。
B. 希土類元素の精製法を説明できる。希土類を応用した製品について実例を挙げて,その機構を説明できる。
7週 A. 分級(1)分級機(1)
B. 無機薬品(酸)(1)酸の工業(1)
次週,中間試験を実施する
A. 分級について理解している。
B. 代表的な酸(硫酸,硝酸,塩酸,リン酸)の特性や製造工程を説明できる。次週,中間試験を実施する。
8週 ・中間試験 ・学んだ知識の確認ができる。
4thQ
9週 A. 分級(1)サイクロン
B. 無機薬品(アルカリ)および金属材料
(1)アルカリ・アンモニア工業(1)
A. 沈降・サイクロンによる分級方法について理解し必要な計算ができる。
B. 代表的なアルカリ(カセイソーダ,ソーダ灰)の特性や製造法を説明できる。
10週 A. 集塵・濾過集塵と効率(1)
B. 無機薬品(アルカリ)および金属材料
(1)アルカリ・アンモニア工業(2)
A. 集塵方法について理解し必要な計算ができる。
B. 代表的なアルカリ(カセイソーダ,ソーダ灰)の製造法や工業的利用を説明できる。
11週 A. 集塵・濾過集塵と効率(2)
B. 無機薬品(アルカリ)および金属材料
(1)アルカリ・アンモニア工業(3)
A. 集塵方法について理解し必要な計算ができる。
B. 代表的なアルカリ(アンモニア)の特性や製造法を説明できる。
12週 A. 固液分離(1)凝集
B. 無機薬品(アルカリ)および金属材料
鉄・アルミニウム工業(1)
A. 濾過方法について理解し必要な計算ができる。
B. 代表的なアルカリ(アンモニア)工業的利用を説明できる。金属工業における特色や代表的な工程を挙げることができ、その製造工程を説明できる。
13週 A. 吸着と膜分離(1)
B. 無機薬品(アルカリ)および金属材料
鉄・アルミニウム工業(2)
A. 吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解している。
B. 金属素材の代表として鉄の特性を挙げることができ、その製造工程の概要を説明できる。
14週 A. 吸着と膜分離(2)
B. 無機薬品(アルカリ)および金属材料
鉄・アルミニウム工業(3)
A. 吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解している。
B. 金属素材の代表として鉄の製造工程とその特徴を説明できる。
15週 A. 吸着と膜分離(3)
B. 無機薬品(アルカリ)および金属材料
鉄・アルミニウム工業(4)
A. 吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解している。
B. 金属素材の代表としてアルミニウムの特性を挙げることができ、その製造工程を説明できる。
16週 学年末試験 ・学んだ知識の確認ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4後13,後14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ小テストレポート合計
総合評価割合7000001020100
基礎的能力60000051075
専門的能力1000000010
分野横断的能力00000000
汎用的技能0000051015