卒業研究

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 卒業研究
科目番号 0073 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 8
開設学科 物質化学工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 前期:6 後期:10
教科書/教材 各担当教員の判断による
担当教員 梅田 哲,小寺 史浩,堺井 亮介,杉本 敬祐,千葉 誠,津田 勝幸,兵野 篤,古崎 睦,松浦 裕志,宮越 昭彦,辻 雅晴

到達目標

1. 研究を総合的に遂行するために必要な様々な能力を身につける。
2. 研究テーマに関連した観察,課題の設定から実施可能な方法を考察し,具体的な行動に結びつけることができる。
3. 目的に応じた分析方法の選択,分析条件の設定,一連のプロセスを理解し,データをもとに考察ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1研究を総合的に行うことができる。 研究を行うこと ができる。 研究を行なうことができない。
評価項目2自ら,観察,課題の設定から実施可能な方法を考察し,具体的な行動に結びつけることができる。教員の指導により,観察,課題の設定から実施可能な方法を考察し,具体的な行動に結びつけることができる。教員の指導によっても,観察,課題の設定から実施可能な方法を考察し,具体的な行動に結びつけることができない。
評価項目3分析方法の選択,分析条件の設定,プロセスを正確に理解し,データをもとに正確な考察ができる。分析方法の選択,分析条件の設定,プロセスの理解,データをもとにほぼ正確な考察ができる。分析方法の選択,分析条件の設定,プロセスの理解,データをもとした考察ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
各指導教員の下で研究課題に取組み,研究計画の立案,参考文献の調査,英語論文の読解,実験装置の設計・製作,測定,結果のまとめと考察,研究報告書の作成,口頭発表など,研究活動に必要な様々な諸能力を獲得する。
授業の進め方・方法:
教員から示された研究課題案,およびそれに関連するデザイン対象を基に学生がテーマを選択し,各担当教員の指導の下で取り組む。とくに後半では,当初の課題に対して新しい事実や法則を見出せたか,またそれを実証できたか,という点に重点をおいて研究計画を修正し,目標に到達するための化学者の姿勢を体得する。
注意点:
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であることが認められる。
・高専教育の総仕上げとして,学んできた知識・技術を基に自主的に問題点を探し,その解決に積極的に取組む姿勢が最も大事である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (卒業研究テーマ【2021年度】)
2週 (指導教員:古崎)
・連続式合成装置の試作およびそれを用いたBDFの合成
・ホタテ貝殻を用いて作製した新規「猫砂」の安全性評価 ~粉じんの飛散性について~
など
3週 (指導教員:津田)
・フッ素を一個有する新規(フェニルエチニル)スチレン誘導体の合成
-4-(2-(2-fluorophenyl)ethynyl)styreneについて -
・シアノ基を有する新規フェニルエチニルスチレン誘導体の合成
-4-(2-(4-Cyanophenyl)ethyl)styreneについて-
など
4週 (指導教員:梅田)
・α-CD修飾ポリアスパラギン酸の合成と自己組織化の検討
・β-CD修飾ポリアスパラギン酸の合成と自己組織化の検討
など
5週 (指導教員:杉本)
・樹熟トマトと追熟トマトの成分分析
・廃棄トマトと酢酸菌を用いた「トマト酢・ナタデココ」
など
6週 (指導教員:小寺)
・塩素のオキソ酸によるフラーレンC60の表面改質
・塩素のオキソ酸によるNi内包オニオンライクカーボンの表面改質
など
7週 (指導教員:松浦)
・ジャボチカバ葉由来エタノール抽出物からの生物活性物質の探索
・千葉県勝浦産海藻の成分分析
など
8週 (指導教員:宮越)
・マイクロ波加熱を利用するメタン直接分解反応-S混合メタンの分解活性―
・マイクロ波加熱を利用するメタンドライリフォーミング触媒の開発-Fe系触媒の転化活性-
など
2ndQ
9週 (指導教員:堺井)
・(S)-ケトピニン酸由来アミドレセプターを側鎖に有するポリ(フェニルアセチレン)の合成およびアニオン検出
・L-バリン由来キラルウレアレセプターを側鎖に導入したポリ(フェニルアセチレン)の合成およびキラル識別能評価
など
10週 (指導教員:辻)
・北極産菌類の培養時におけるストレス耐性
・南極産酵母の寿命
など
11週 (指導教員:千葉)
・乾湿繰り返し環境において生成した鉄の腐食生成物外観と腐食速度の関連
など
12週 (指導教員:兵野)
・銅多孔質電極の表面における孔径分布の温度依存性
・銀修飾ポリスチレン粒子によるラマン散乱光増強
など
13週
14週
15週
16週
後期
3rdQ
1週
2週
3週
4週
5週
6週
7週
8週
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4
蒸留による精製ができる。4
吸引ろ過ができる。4
再結晶による精製ができる。4
分液漏斗による抽出ができる。4
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4
収率の計算ができる。4
分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。4
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。4
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。4
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。4
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。4
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4
化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。4
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
複数の情報を整理・構造化できる。3
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13

評価割合

発表能力企画・実行力計画性達成度協調性創意工夫合計
総合評価割合203010101020100
基礎的能力0000000
専門的能力510000015
分野横断的能力15201010102085