卒業研究

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 卒業研究
科目番号 0098 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 8
開設学科 物質化学工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 8
教科書/教材 各担当教員の判断による
担当教員 梅田 哲,小寺 史浩,小林 渡,堺井 亮介,杉本 敬祐,千葉 誠,津田 勝幸,富樫 巌,兵野 篤,古崎 睦,松浦 裕志,宮越 昭彦

到達目標

1. 研究を総合的に遂行するために必要な様々な能力を身につける。
2. 研究テーマに関連した観察,課題の設定から実施可能な方法を考察し,具体的な行動に結びつけることができる。
3. 目的に応じた分析方法の選択,分析条件の設定,一連のプロセスを理解し,データをもとに考察ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 (C-1, D-3, E-1, E-2, E-3)研究を総合的に行うことができる。 研究を行うこと ができる。 研究を行なうことができない。
評価項目2 (C-1, D-3, E-1, E-2, E-3)自ら,観察,課題の設定から実施可能な方法を考察し,具体的な行動に結びつけることができる。教員の指導により,観察,課題の設定から実施可能な方法を考察し,具体的な行動に結びつけることができる。教員の指導によっても,観察,課題の設定から実施可能な方法を考察し,具体的な行動に結びつけることができない。
評価項目3 (C-1, D-3, E-1, E-2, E-3)分析方法の選択,分析条件の設定,プロセスを正確に理解し,データをもとに正確な考察ができる。分析方法の選択,分析条件の設定,プロセスの理解,データをもとにほぼ正確な考察ができる。分析方法の選択,分析条件の設定,プロセスの理解,データをもとした考察ができない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE C-1 説明 閉じる
JABEE D-3 説明 閉じる
JABEE E-1 説明 閉じる
JABEE E-2 説明 閉じる
JABEE E-3 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
各指導教員の下で研究課題に取組み,研究計画の立案,参考文献の調査,英語論文の読解,実験装置の設計・製作,測定,結果のまとめと考察,研究報告書の作成,口頭発表など,研究活動に必要な様々な諸能力を獲得する。
授業の進め方・方法:
教員から示された研究課題案,およびそれに関連するデザイン対象を基に学生がテーマを選択し,各担当教員の指導の下で取り組む。とくに後半では,当初の課題に対して新しい事実や法則を見出せたか,またそれを実証できたか,という点に重点をおいて研究計画を修正し,目標に到達するための化学者の姿勢を体得する。
注意点:
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合は,C-1(20%), D-3(40%), E-1(10%) , E-2(10%) , E-3(20%)とする。
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる。
・評価項目と評価対象の各組合せは,「発表能力(C-1)」が「発表」,「企画・実行力(D-3)」&「計画性(D-3)が「取組」,「達成度(E-1)」が「論文」,「協調性 (E-2)」が「取組」,「創意工夫(E-3)」が「取組・論文}である。評価内容の詳細については,ガイダンスにおいて周知する。
・高専教育の総仕上げとして,学んできた知識・技術を基に自主的に問題点を探し,その解決に積極的に取組む姿勢が最も大事である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (卒業研究テーマ(2016年度))
2週 (指導教員:梅田)
・生分解性を有するオイルゲルの合成とその機能評価
・ホストーゲスト相互作用を利用した自己組織化ポリマーの合成
・ボロン酸-カテコールの相互作用に基づくpH応答性自己組織化ゲルの合成
3週 (指導教員:小寺)
・塩素資源のエネルギー変換を指向した次亜塩素酸イオンの電極反応計測およびその解析
・カーボンオニオン含有炭素粉粒体を電極材とする溶存塩素用電気化学センサの開発
・オニオン構造を含む炭素粉粒体の電極触媒能の評価および表面改質
・バイオセンシングを指向した酵素固定用担体の評価手法の確立
4週 (指導教員:古崎)
・ジャガイモ含有窒素量と水煮黒変発生の相関について
・BDF合成触媒としての焼成ホタテ貝殻の塩基特性に関する評価
・焼成ホタテ貝殻を用いた連続式BDF合成装置の作製と収率に及ぼす超音波照射の影響
5週 (指導教員:杉本)
・リグニン二量体化合物代謝に関わる新規デカルボキシラーゼPhcFの精製・結晶化
・リグニン二量体化合物代謝に関わる新規デカルボキシラーゼPhcGの精製・結晶化
・バクテリア由来の芳香族側鎖二重結合還元酵素PlDBRの精製・結晶化
6週 (指導教員:松浦)
・日本沿岸水からの脂質生産微生物ラビリンチュラ類の探索とその評価法の確立
・北海道旭川淡水域のアオコの存在と栄養塩類の関係性(第2報)
・藻類由来オイルを原料とした高分子材料の開発―1-hexeneの単独重合―
・質量分析計を用いたトリオレインの分析法の確立
7週 (指導教員:富樫)
・-20℃を用いたヒラタケ菌株とシイタケ菌株の凍結保存
・黒色真菌に対するラベンダーとハッカの精油成分の生育阻害性能
-モノテルペン類の組み合せ効果-
・Tricoderma spp.菌株とPeniciillium spp.菌株の純水保存
8週 (指導教員:津田)
・嵩高い置換基を有するフェニルエチニルスチレン誘導体の合成に関する研究
-4-(2-(4'-tert-butylphenyl)ethynyl)styreneについて-
・フッ素を有するフェニルエチニルスチレン誘導体の合成とラジカル重合及びポリマーの熱特性に関する研究
-4-(2-(4'-trifluoromethylphenyl)ethynyl)styreneについて-
2ndQ
9週 (指導教員:千葉)
・アノード酸化によるアルミニウム合金管材および扁平管の防食とその表面に形成される皮膜形態について
・アルミニウム合金表面に形成されるアノード酸化皮膜の形態と周期性細孔を利用したスクラッチシールド機構を有する耐食性アノード酸化皮膜の開発
・マイクロカプセルを用いた金属防食用自己修復性塗膜の開発 
-阻害溶媒添加によるカプセル合成条件の最適化-
10週 (指導教員:兵野)
・銅微粒子電着により作製した構造体の形態と規則性
・有機微粒子テンプレートを用いた高規則性二元系微粒子の創製
・高分子の電解重合による歯科矯正用器具の保護
・水分混入による親水性イオン液体の電気化学的挙動に対する影響
11週 (指導教員:堺井)
・N-メチルピロールから誘導した新規ポリ(ピリレンメチン)の合成と機能評価
・L-ロイシン由来アミド基を導入したポリ(フェニルアセチレン)の合成とキラル識別能の評価
・キラルアミノ基で表面修飾されたCdSe/ZnS量子ドットの合成とキラル識別能の評価
12週 (指導教員:小林)
・下等水生脊椎動物の生殖関連タンパク質の電気泳動による解析
13週 (指導教員:宮越)
・マイクロ波加熱を利用するメタン直接分解反応
-分解エネルギー低減化に対するマグネシウムの作用-
・マイクロ波加熱を利用するメタン直接分解反応におけるランタン成分の添加効果
・リン回収用Ca-Al系吸着剤の開発 -リン吸着物からのリン回収-
14週
15週
16週
後期
3rdQ
1週
2週
3週
4週
5週
6週
7週
8週
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4
蒸留による精製ができる。4
吸引ろ過ができる。4
再結晶による精製ができる。4
分液漏斗による抽出ができる。4
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4
収率の計算ができる。4
沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4
分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。4
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。3
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。4
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。4
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。4
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。4
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4
化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。4
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4
専門的能力の実質化PBL教育PBL教育工学が関わっている数々の事象について、自らの専門知識を駆使して、情報を収集することができる。4
集められた情報をもとに、状況を適確に分析することができる。4
与えられた目標を達成するための解決方法を考えることができる。4
状況分析の結果、問題(課題)を明確化することができる。4
各種の発想法や計画立案手法を用いると、課題解決の際、効率的、合理的にプロジェクトを進めることができることを知っている。4
各種の発想法、計画立案手法を用い、より効率的、合理的にプロジェクトを進めることができる。4
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能相手の意見を聞き、自分の意見を伝えることで、円滑なコミュニケーションを図ることができる。3
相手を理解した上で、説明の方法を工夫しながら、自分の意見や考えをわかりやすく伝え、十分な理解を得ている。3
集団において、集団の意見を聞き、自分の意見も述べ、目的のために合意形成ができる。4
目的達成のために、考えられる提案の中からベターなものを選び合意形成の上で実現していくことができ、さらに、合意形成のための支援ができる。3
ICTやICTツール、文書等を基礎的な情報収集や情報発信に活用できる。4
ICTやICTツール、文書等を自らの専門分野において情報収集や情報発信に活用できる。4
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、そこから主要な原因を見出そうと努力し、解決行動の提案をしようとしている。4
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、発見した課題について主要な原因を見出し、論理的に解決策を立案し、具体的な実行策を絞り込むことができる。4
事象の本質を要約・整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。4
複雑な事象の本質を整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。結論の推定をするために、必要な条件を加え、要約・整理した内容から多様な観点を示し、自分の意見や手順を論理的に展開できる。4
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性身内の中で、周囲の状況を改善すべく、自身の能力を発揮できる。 4
集団の中で、自身の能力を発揮して、組織の勢いを向上できる。4
日常生活の時間管理、健康管理、金銭管理などができる。常に良い状態を維持するための努力を怠らない。4
ストレスやプレッシャーに対し、自分自身をよく知り、解決を試みる行動をとることができる。日常生活の管理ができるとともに、目標達成のために対処することができる。4
学生であっても社会全体を構成している一員としての意識を持って、行動することができる。4
市民として社会の一員であることを理解し、社会に大きなマイナス影響を及ぼす行為を戒める。人間性・教養、モラルなど、社会的・地球的観点から物事を考えることができる。4
チームワークの必要性・ルール・マナーを理解し、自分の感情の抑制、コントロールをし、他者の意見を尊重し、適切なコミュニケーションを持つとともに、当事者意識を持ち協調して共同作業・研究をすすめることができる。4
組織やチームの目標や役割を理解し、他者の意見を尊重しながら、適切なコミュニケーションを持つとともに、成果をあげるために役割を超えた行動をとるなど、柔軟性を持った行動をとることができる。4
先にたって行動の模範を示すことができる。口頭などで説明し、他者に対し適切な協調行動を促し、共同作業・研究をすすめことができる。4
目指すべき方向性を示し、先に立って行動の模範を示すことで他者に適切な協調行動を促し、共同作業・研究において、系統的に成果を生み出すことができる。リーダーシップを発揮するために、常に情報収集や相談を怠らず自身の判断力をも磨くことができる。4
法令を理解し遵守する。基本的人権について理解し、他者のおかれている状況を理解することができる。自分が関係している技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を理解し、技術者が社会に負っている責任を認識している。4
法令を理解し遵守する。研究などで使用する、他者のおかれている状況を理解できる。自分が関係している技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を理解し、技術者が社会に負っている責任を認識し、身近で起こる関連した情報や見解の収集に努めるなど、技術の成果が社会に受け入れられるよう行動できる。4
未来の多くの可能性から技術の発展と持続的社会の在り方を理解し、自らのキャリアを考えることができる。4
技術の発展と持続的社会の在り方に関する知識を有し、未来社会を考察することができるとともに、技術の創造や自らのキャリアをデザインすることが考慮できる。4
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。4
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。4
クライアントの要求を解決するための設計解を作り出すプロセス理解し、設計解を創案できる。さらに、創案した設計解が要求を解決するものであるかを評価しなければならないことを理解する。4
クライアントの要求を解決するための設計解を作り出すプロセスを理解し、設計解を創案できる。さらに、創案した設計解が要求を解決するものであるかを評価しデザインすることができる。4

評価割合

発表能力企画・実行力計画性達成度協調性創意工夫合計
総合評価割合203010101020100
基礎的能力0000000
専門的能力510000015
分野横断的能力15201010102085