概要:
クラスを小グループに分割し、物理化学に関連した各種の実験を通じて、実験データから種々の物理化学的情報を抽出し理解するセンスを培う。
授業の進め方・方法:
物理化学に関する内容の実験を行い、観察・測定・データ解析等を通じて物理化学の概念の理解を深める。また、物理化学関連の基本的実験操作(熱測定、密度・粘度測定、濃度測定、電気化学測定など)を身につける。
下記授業計画はある小グループについて記載されたものであるので、順番は変更する可能性がある。
注意点:
実験に際しては、実験の内容および実験に関連した科目の内容を理解した上で行うこと。単に指示された実験操作をこなすだけに終始しないこと。実験メンバー間で協力し、よく討議することがのぞましい。
レポートは必ず期限までに提出すること。レポート作成の際には、(1) 指示された内容を欠くことなく記述したか、(2) 結果や考察をわかりやすく、論理的に矛盾なく説明したか、(3) 読みやすく簡潔な構成となっているか、(4) 正しい日本語を使った文章となっているか、など基本的なことに注意し、提出前によく検討すること。
特段の理由無く提出期限を過ぎたレポートは受理しない。全てのレポートが受理されていなければ単位を取得できないので十分気をつけること。
教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合は、A-3(60%)【レポート:40%;試験:20%】、E-1(20%)【レポート】、E-2(20%)【レポート+実験】とする。
総時間数90時間(自学自習30時間)
自学自習時間(30時間)は、日常の授業(60時間)のための予習復習時間、理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間および試験の準備のための学習時間を総合したものとする。
評価については、合計点数が60点以上で単位修得となる。その場合、各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること、教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
実験の説明 レポートの作成について |
実験に臨む姿勢、データ処理の仕方、安全管理、全テーマの概要について理解し、安全に実験を進めることができる。 実験レポート作成に際しての常識的事柄や注意点について理解し、それらを守ったレポートを作成することができる。
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2週 |
液体の密度と粘度 |
液体の密度測定および粘度測定の原理、方法を理解し、実際に測定を行うことができる。
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3週 |
溶解熱の測定 |
固体の溶解熱の測定結果から、化学変化に伴う熱の出入りについて理解できる。溶解度と溶解熱の関係がわかる。
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4週 |
実験結果のまとめ |
実験結果を正確にまとめ、考察することができる。
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5週 |
ポリマーの分子量測定 |
ポリマー溶液の粘度から分子量を求める原理を理解し、実際に測定を行うことができる。
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6週 |
電池の起電力 |
半電池の組み合わせによる電池の起電力を測定できる。電極電位(単極電位)と起電力との関係がわかる。
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7週 |
実験結果のまとめ |
実験結果を正確にまとめ、考察することができる。
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8週 |
一次反応速度 |
水溶液中での一次反応の速度を測定し、活性化エネルギーを決定できる。
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2ndQ |
9週 |
中和熱の測定 |
水溶液中での酸と塩基の中和熱の測定結果から、化学変化に伴う熱の出入りについて理解できる。
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10週 |
実験結果のまとめ |
実験結果を正確にまとめ、考察することができる。
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11週 |
水溶液の分解電圧 |
水溶液の分解電圧を測定し、分解電圧に影響する要素を理解できる。分解電圧と過電圧の関係がわかる。
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12週 |
二成分混合物の状態図 |
二成分混合物の状態図を作成し、状態図に基づいて固相と液相の平衡関係を理解できる。
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13週 |
実験結果のまとめ |
実験結果を正確にまとめ、考察することができる。
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14週 |
試験 |
実験で学んだ事項を活用することができる。
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15週 |
レポート講評、成績評価説明、実験室の清掃 |
レポートの書き方についてフィードバックすることができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 4 | 前1,前4,前7 |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前5,前6,前8,前9,前11,前12 |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 4 | 前1,前4,前7,前8,前9,前10,前11,前12 |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 4 | 前4,前7,前10,前13 |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 4 | 前4,前7,前10,前13 |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 4 | 前4,前7,前10,前13 |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 4 | 前4,前7,前10,前13 |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 4 | 前7 |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 4 | 前7 |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 4 | 前7 |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 4 | 前4,前7,前10,前13 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。 | 4 | 前6 |
分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 物理化学実験 | 温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。 | 4 | 前2,前3,前6,前8,前9,前11,前12 |
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。 | 4 | 前2 |
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。 | 4 | 前2,前5 |
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。 | 4 | 前3,前9 |
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。 | 4 | 前5 |
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。 | 4 | 前12 |
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。 | 4 | 前6,前11 |
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。 | 4 | 前8 |