生物工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 生物工学Ⅱ
科目番号 0152 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:4
教科書/教材 富樫担当:応用微生物学 改訂版(培風館),杉本担当:生命化学II(丸善)
担当教員 杉本 敬祐,富樫 巌

到達目標

1. 基礎の生物に関する知識を,自らの専門分野のより複雑な工学の問題に適用できる.
2. バイオテクノロジーについて,その方法の原理を理解する.
3. バイオテクノロジーが社会に与える影響について理解する.
4. 微生物の働きおよびその応用方法について理解し,説明できる.
5. 微生物災害と制御方法について理解し,説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 (A-2,D-1,D-2)基礎的な生物に関する知識を,バイオテクノロジーに適用することができる.基礎的な生物に関する知識がバイオテクノロジーに適用している例を理解することができる.基礎的な生物に関する知識を,バイオテクノロジーに適用することができない.
評価項目2 (A-2,D-1,D-2)バイオテクノロジーについて,その方法の原理を理解し,説明できる.バイオテクノロジーについて,その方法の原理を理解できる.バイオテクノロジーについて,その方法の原理を理解できない.
評価項目3 (A-2,D-1,D-2)バイオテクノロジーが社会に与える影響について理解し,説明できる.バイオテクノロジーが社会に与える影響について理解できる.バイオテクノロジーが社会に与える影響について理解できない.
評価項目4 (A-2,D-1,D-2)微生物の働きおよびその応用方法について正確に理解し,正確に説明できる.微生物の働きおよびその応用方法についてほぼ正確に理解し,ほぼ正確に説明できる.微生物の働きおよびその応用方法について理解できない.
評価項目5 (A-2,D-1,D-2)微生物災害と制御方法について正確に理解し,正確に説明できる.微生物災害と制御方法についてほぼ正確に理解し,ほぼ正確に説明できる.微生物災害と制御方法について理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 物質化学工学科の教育目標 ② 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ③ 説明 閉じる
JABEE A-2 説明 閉じる
JABEE D-1 説明 閉じる
JABEE D-2 説明 閉じる
JABEE基準 (d) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
富樫担当:応用微生物工業(アルコール発酵,有機酸発酵,アミノ酸発酵,抗生物質生産,生理活性物質生産,高分子生産など),微生物による環境浄化技術,微生物災害と制御技術の基礎知識を習得する.
杉本担当:生物工学Ⅰの知識を用いて,大腸菌を用いた遺伝子組み換え技術を学ぶ.この基礎技術をもとに,遺伝子工学,タンパク質工学,植物・動物におけるバイオテクノロジーの仕組みについて理解を深める.
授業の進め方・方法:
講義は対話方式で行うため,頻繁に学生に質問する.また,講義中わかりにくいところがあれば,気軽に質問すること.
注意点:
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合は,A-2(50%) ,D-1(25%),D-2(25%) とする.
・総時間数90時間(自学自習30時間)
・自学自習時間(30時間)は,日常の授業(60時間)のための予習・復習,理解を深めるための演習課題の考察・まとめ,および定期試験のための学習を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・応用微生物工業(1)(富樫)
・遺伝子操作の基礎(1)(杉本)
・アルコール発酵,アセトン・ブタノール発酵,有機酸発酵を理解し,説明できる.(富樫)
・有用微生物の改良・育種技術,安全対策を理解し,説明できる.
・プラスミドとファージがどのようにベクターとして利用されているかを理解できる.(杉本)
2週 ・応用微生物工業(2)(富樫)
・遺伝子操作の基礎(2)(杉本)
・アルコール発酵,アセトン・ブタノール発酵,有機酸発酵を理解し,説明できる.(富樫)
・有用微生物の改良・育種技術,安全対策を理解し,説明できる.
・プラスミドとファージがどのようにベクターとして利用されているかを理解できる.(杉本)
3週 ・応用微生物工業(3)(富樫)
・遺伝子操作の基礎(3)(杉本)
・アミノ酸発酵を理解し,説明できる.(富樫)
・有用微生物の改良・育種技術,安全対策を理解し,説明できる.
・細胞からDNAを取り出す方法を理解し,操作を行うことができる。
・制限酵素などの遺伝子組換えで用いる酵素の働き,性質を理解できる。
・DNAの細胞内への導入方法について理解できる.(杉本)
4週 ・応用微生物工業(4)(富樫)
・遺伝子操作の基礎(4)(杉本)
・アミノ酸発酵,ヌクレオチド生産を理解し,説明できる.(富樫)
・有用微生物の改良・育種技術,安全対策を理解し,説明できる.
・pUC系プラスミドを用いてのカラーセレクションの仕組みについて理解できる.
・cDNAライブラリー,ゲノムライブラリーについて理解できる..(杉本)
5週 ・応用微生物工業(5)(富樫)
・遺伝子操作の基礎(5)(杉本)
・抗生物質を理解し,説明できる.(富樫)
・有用微生物の改良・育種技術,安全対策を理解し,説明できる.
・電気泳動法を理解し,サザンハイブリダイゼーションなどのDNA分析方法について説明できる.(杉本)
6週 ・応用微生物工業(6)(富樫)
・遺伝子操作の基礎(6)(杉本)
・生理活性物質,酵素阻害剤,高分子発酵を理解し,説明できる.(富樫)
・有用微生物の改良・育種技術,安全対策を理解し,説明できる.
・PCR の原理を理解し、その応用(PCRクローニングなど)を考えることができる.(杉本)
7週 ・応用微生物工業(7)(富樫)
・遺伝子操作の基礎(7)(杉本)
次週,中間試験を実施する.(富樫&杉本)
・微生物利用による生化学反応と有機合成反応の差異を理解し,説明できる.
・微生物の酵素生産・酵素利用を理解し,説明できる.
・微生物培養・物質生産用原料を理解し,説明できる.(富樫)
・DNAの塩基配列決定の原理を理解できる.(杉本)
8週 答案返却&解説 ・これまで習った内容を改めて見直すことで、各項目の関連を再認識し、理解を深めることができる.(富樫&杉本)
2ndQ
9週 ・応用微生物工業(8)(富樫)
・遺伝子操作の基礎(8)(杉本)
・タンパク質工学(1) (杉本)
・微生物利用による生化学反応と有機合成反応の組合せを理解し,説明できる.
・微生物培養・物質生産用原料を理解し,説明できる.(富樫)
・タンパク質工学の概要を理解できる.(杉本)
10週 ・応用微生物工業(9)(富樫)
・タンパク質工学(2)(杉本)
・微生物の酵素生産・酵素利用(固定化,バイオセンサー含む)を理解し,説明できる.(富樫)
・タンパク質工学の概要を理解できる。
・タンパク質の立体構造解析におけるX線結晶解析とNMR法の長所と短所を理解することができる.(杉本)
11週 ・応用微生物工業(10)(富樫)
・植物におけるバイオテクノロジー(1) (杉本)
・微生物培養・物質生産用原料を理解し,説明できる.(富樫)
・植物の遺伝子組換え方法について理解できる.(杉本)
12週 ・環境浄化と微生物利用(富樫)
・植物におけるバイオテクノロジー(2) (杉本)
・物質循環と微生物の役割を理解し,説明できる.
・微生物利用の環境修復技術を理解し,説明できる.
・汚染物質の微生物分解のしくみを理解し,説明できる.(富樫)
・製品化されている遺伝子組換え植物
・遺伝子組換え作物の問題点
以上項目の概要を理解し,バイオテクノロジーが従来の技術に対して優れている点について説明できる.また,遺伝子組換え技術のリスクと安全策について説明できる.(杉本)
13週 ・微生物災害と微生物制御(1)(富樫)
・動物細胞におけるバイオテクノロジー(1)(杉本)
・各種の微生物災害を理解し,説明できる.(富樫)
・受精卵の分割によるクローンの作成
・細胞の分化
・クローンヒツジ“ドリー“の作成
・医薬品を合成する遺伝子組換え動物
・ES細胞の応用とその作成技術
以上を理解し,バイオテクノロジーの応用例について説明することができる.(杉本)
14週 ・微生物災害と微生物制御(2)(富樫)
・動物細胞におけるバイオテクノロジー(2)(杉本)
・微生物の防除技術を理解し,説明できる.
・薬剤耐性菌の発現と対策を理解し,説明できる.(富樫)
・受精卵の分割によるクローンの作成
・細胞の分化
・クローンヒツジ“ドリー“の作成
・医薬品を合成する遺伝子組換え動物
・ES細胞の応用とその作成技術
以上を理解し,バイオテクノロジーの応用例について説明することができる.(杉本)
15週 ・応用微生物工業のまとめ(富樫)
・バイオテクノロジーのまとめ(杉本)
・これまで習った内容を改めて見直すことで、各項目の関連を再認識し,理解を深めることができる.(富樫&杉本)
16週 学年末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野生物工学抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。4前4,前5,前6,前7,前9,前10
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。4前11,前12

評価割合

試験レポートその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力8010000090
分野横断的能力010000010