到達目標
1.経済の歴史について理解する。原始共産制から階級社会への大きな流れを理解し、現在の社会理解につなげる。
2.経済理論について理解する。産業革命期に生まれた古典派経済学から、K.マルクス、そしてJ.M.ケインズへの理論の変遷を経済や社会の変化との関連で考える。そのうえで、現在の経済に対応する経済理論を理解する。
3.産業革命期以降の約250年間に形成されてきた<労働関連の政策>、<金融政策>、<財政政策>、<国際協調(政策)>、そして市場経済を取り込んだ中国の改革・開放政策(社会主義国家の経済政策)を理解する。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1
(B-1, B-2, B-3) | 歴史を経済的側面から考え、それをもとに歴史全体の把握につなげることができる。
| 歴史を経済的側面から理解することができる。
| 歴史の理解を個別事象についてしか理解できない。
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評価項目2
(B-1, B-2, B-3) | それぞれの経済理論を時代背景と結びつけて理解し、現在の経済の理解に応用することができる。
| それぞれの経済理論の理解はできる。
| 経済理論についての基本的な理解ができない。
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評価項目3
(B-1, B-2, B-3) | 市場経済のなかでの政府の役割や時代に即応した各種政策を理解することができる。
| 市場経済のなかでの政府の役割を理解できる。
| 市場経済と政府の基本的な関係を理解できない。
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学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 一般人文科の教育目標 ③
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学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ①
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JABEE B-1
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JABEE B-2
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JABEE B-3
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JABEE基準 a
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JABEE基準 b
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JABEE基準 d
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教育方法等
概要:
経済学は、社会を構成する人々が生きるため・生活するためにどのような仕組の中でどのように働いているか、そして豊かな生活を送るために必要なことは何かを考える。社会は、直接目で見ることは出来ないので、想像力・抽象力を働かせて理解することになる。例えば、私たちは現在の日本経済をアメリカ経済や中国経済と比較して、強いとか弱いとか言う。その場合のGDPの比較は、日本は500兆円でアメリカは1800兆円とか金額で比較する。GDPの金額は、1年間の総売り上げ額(売れた商品価格の総計)である。価格そのものを先ず数字として理解するが、それらの商品がどういう会社でどういう技術で作られどうしてその価格がつくのか、それを誰が買うのか等々を理解して初めて全体的な理解につながる。目に見えたり触って分かったり五感を働かせる感性的認識から始まって、想像力や抽象力を働かせて理解する理性的認識の両方が必要なのだ。経済学では、金額等の数字を理解する一方、想像力や抽象力を働かせて理解を深めるのが大事だ。産業革命以降の250年間の歴史をへて現在があり、その歴史の延長線上に現在がある。これらの歴史や理論の理解のうえに、それらの評価と将来への展望を考える。今がよい時代なのか、悪い時代なのか、課題は何か等々を考えるのも経済学の役割である。
授業の進め方・方法:
15回の授業を、5回ずつに3区分して進める。最初の5回は歴史(経済史)を考える。次の5回は産業革命期に生まれた経済理論から始めて現在に通用する経済理論を考える。最後の5回については、経済政策を考える。封建社会末期にはびこったの重商主義政策では、為政者と特権を得た事業者との間で利益を山分けすることがはびこった。産業革命の進行とともに、こうした一部事業者の庇護・他事業者の排除に対して、自由な競争による社会全体の生産性向上、経済成長を求めて“レッセ・フェール”、自由放任(政策)が定着する。機械を据えた工場生産、機械工業が主流となるにつれて、各企業は市場競争に勝ち残ることで利益を実現する。過酷な競争は工場労働者に過酷な労働を強い、児童や長時間労働等々をもたらした。個別の企業は大きな利益をあげるが、過酷な労働は労働者全体の健康を損ね遂には生産性の低下をもたらす。労働環境の悪化を規制する工場法から始まって、各種の政策が市場経済の諸課題に対応する。現在のアベノミクスにまで至る経済政策について、順を追って考える。毎回、関連する資料を配布して授業をすすめる。
注意点:
毎回、授業の最後にA4・1枚の自学・自習のためのプリントを配り、次回に提出することで、出欠と理解度の確認をする。
教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合はB-1(20%)、B-2(60%)、B-3(20%)とする。
総時間数45時間(自学自習15時間)
自学自習時間(15時間)は、日常の授業(30時間)に対する予習復習、試験のための学習時間を総合したものとする。
評価については、合計点数が60点以上で単位修得となる。その場合、各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること、教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
狩猟・採集の社会、牧畜の社会、定着農業の社会、そして工業社会への展開を考える。
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産業と社会の発展について理解できる
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2週 |
<原始共産制、古代奴隷制、中世封建制、近代資本制という歴史観について考える。
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生産様式に基づく歴史観について理解できる
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3週 |
産業革命(イギリス)について学び、ついで日本での展開を考える。
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産業革命について理解できる
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4週 |
帝国主義について、資本主義経済の成熟とそれに対応する政治の両面から考える。
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帝国主義について理解できる
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5週 |
経済史のまとめ
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経済史の概要について理解できる
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6週 |
F.ケネー(1694~1774)の理論(『経済表』)を考える。
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ケネーの理論について理解できる
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7週 |
A.スミス(1723~1790)の理論(『国富論』)を考える。
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スミスの理論について理解できる
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8週 |
K.マルクス(1818~1883)の理論(『資本論』)を考える。
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マルクスの理論について理解できる
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2ndQ |
9週 |
J.M.ケインズ(1883~1946)の理論(『雇用、利子、および貨幣の一般理論』)を考える
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ケインズの理論について理解できる
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10週 |
経済理論のまとめ
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主要な経済理論について理解できる
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11週 |
労働関係法(工場法、労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)を考える。
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労働関係法について理解できる
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12週 |
金融政策(金本位制の自動調整、管理通貨制、変動相場制)を考える。
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金融政策について理解できる
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13週 |
財政政策(資源配分、所得再配分、経済安定化)を考える。
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財政政策について理解できる
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14週 |
新自由主義の政策(欧米)、EUの政策、中国(改革・開放)の政策を考える。(1)
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近年の世界における経済政策について理解できる
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15週 |
新自由主義の政策(欧米)、EUの政策、中国(改革・開放)の政策を考える。(2) |
近年の世界における経済政策について理解できる
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16週 |
期末試験 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 2 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 2 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 2 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 2 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 2 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 2 | |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 2 | |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 1 | |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 1 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 80 |
専門的能力 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 |
分野横断的能力 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 |