応用数学特論

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 応用数学特論
科目番号 0006 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 オリジナルテキスト
担当教員 冨永 徳雄

到達目標

1. 与えられた境界条件の下で偏微分方程式を解く際にあらわれる種々の関数について理解できる。
2. 公理によってベクトル空間や内積が定義されることを理解し,複素ベクトル空間や関数空間などの様々なベクトル空間について理解できる。
2. フーリエ変換および離散フーリエ変換の数学的な性質を理解し,活用することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1(A-1)境界条件に応じた方法で偏微分方程式の解を導くことができる。一定の境界条件の下で基本的な偏微分方程式の解を導くことができる。境界条件の下で基本的な偏微分方程式の解を導くことができない。
評価項目2(A-1)関数の集合をベクトル空間とみることや,内積やノルムが定義されることを深く理解し,空間のもつ性質や代表的な直交関数について幅広く理解できる。関数の集合をベクトル空間とみることで,関数に内積やノルムが定義されることをおよびその空間のもつ性質や代表的な直交関数を理解できる。関数に内積やノルムが定義されるなど関数の集合をベクトル空間とみることが理解できず,その空間のもつ性質や代表的な直交関数について理解することができない。
評価項目3(A-1)フーリエ変換および離散フーリエ変換の数学的な性質を深く理解し,幅広く活用することができる。フーリエ変換および離散フーリエ変換の数学的な性質を理解し,活用することができる。フーリエ変換および離散フーリエ変換の数学的な性質の理解および活用ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (生産システム工学専攻の教育目標) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (専攻科の教育目標) 説明 閉じる
JABEE A-1 説明 閉じる
JABEE基準 (c) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
はじめに,多次元や複素成分の内積空間を導入し,さらに一般化して,関数からなる内積空間および直交関数系について学ぶ。そして,偏微分方程式について,いくつかの境界条件に応じた解法と,それによって導出された関数について触れ,直交関数系との関連づけを行う。次に,フーリエ変換および離散フーリエ変換について,定義および基本的性質について学び,工学への応用例について学ぶ。
授業の進め方・方法:
担当教員作成によるテキストを用いて授業を行う。本科で学んだ数学および応用数学をもとに,工学や物理における諸問題を数学の言葉に「翻訳」するとどのような事柄に対応するか,その基本的な事柄について理解し,工学などの問題に適切に活用する能力を身につけること。
注意点:
本科の数学および応用数学(主としてフーリエ級数)で学んだ基本事項は,あらかじめ各自心得ておくこと。講義の際に,先々学ぶ内容についても説明するので,各自,参考書等を利用して予習を行い,疑問点を整理して授業に取り組むこと。その日に学んだ内容は,必ず復習して理解すること。授業以外にも問題演習を多くこなすことも必要である。
教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合は,A-1(100%)とする。
自学自習時間(60時間)は,日常の授業(30時間)に対する予習復習,レポート課題の解答作成時間,試験のための学習時間を総合したものとする。
評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる。その場合,各到達目標の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
抽象的なベクトル空間と内積
公理論的な定義によるベクトル空間および内積ついて理解し,活用できる。
2週 関数空間と直交関数系 関数の集合もベクトル空間と扱えることを理解する。関数が直交することの意味を理解し,活用することができる。
3週 偏微分方程式の解法 いくつかの境界条件のもとでの偏微分方程式の解法を理解し,簡単な方程式を解くことができる。
4週 偏微分方程式の解法(続き) 偏微分方程式を解く際に得られるいくつかの型の微分方程式とその解となる関数について理解できる。
5週 いろいろな直交関数 フーリエ級数における三角関数や微分方程式にあらわれるルジャンドル多項式が直交関数系であること理解する。
6週 ヒルベルト空間の基礎 内積の定義された空間を一般化したヒルベルト空間について理解する。
7週 フーリエ変換の定義と性質 フーリエ変換の定義を理解し,簡単な関数のフーリエ変換を求めることができる。フーリエ変換の一般的性質について理解する。
8週 フーリエ変換の計算 フーリエ変換の性質を利用して,関数のフーリエ変換を求めることができる。
2ndQ
9週 演習 これまで学んだ内容について確認できる。
10週 デルタ関数とフーリエ変換 デルタ関数の形式的性質とその数学的意味づけを理解し,フーリエ変換の計算に利用できる。
11週 一般化された導関数とデルタ関数 滑らかでない関数や不連続な関数に対しても広い意味で導関数が定義されることを理解し,そのような導関数の計算ができる。
12週 フーリエ変換の応用 フーリエ変換を利用した熱伝導方程式の解法について理解しする。サンプリングした離散信号から,もとの連続信号を再現するサンプリング定理について理解する。
13週 離散フーリエ変換の定義と性質 離散フーリエ変換の定義について理解する。離散フーリエ変換を行列を用いて表されることを理解する。
14週 高速フーリエ変換 離散フーリエ変換が「間引き」と「バタフライ」の繰り返しであることを理解し,これによる計算が通常の離散フーリエ変換より容易であることを理解する。
15週 後期末試験 これまでに学んだ内容を確認できる。
16週 答案返却と解説 これまでに学んだ内容の再確認および修正ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート・演習合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100
専門的能力000