応用物理特論

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 応用物理特論
科目番号 0007 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 スタンフォード物理学再入門 量子力学(サスキンド,フリードマン著, 2015),[参考書] 量子情報科学入門(石坂他著,2012),J.J.サクライ著「現代の量子力学第2版」(2014)
担当教員 降旗 康彦

到達目標

1. 量子力学の基本原理(状態の記述,オブザーバブル,測定値,確率解釈など)を理解する。
2. スピン状態を具体例として,量子力学の基本原理を適用した結果を理解できる。
3. シュレーディンガー方程式の解をエネルギーの固有値・固有状態を使って表すことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1(A-1)量子力学における系の状態がベクトルで表されることを,物理現象ともに理解している。量子力学において系の状態がベクトルとしてふるまうことを知っている。量子力学において系の状態がベクトルとしてふるまうことを知っていない。
評価項目2(A-1)オブザーバブルを表すエルミート演算子の性質を理解している。オブザーバブルがエルミート演算子で表されることを知っている。オブザーバブルがエルミート演算子で表されることを知らない。
評価項目3(A-1)シュレーディンガー方程式の解をエネルギーの固有系を用いて表すことができる。状態ベクトルがシュレーディンガー方程式に従って,時間発展することを知っている。状態ベクトルがシュレーディンガー方程式に従って,時間発展することを知らない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (生産システム工学専攻の教育目標) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (専攻科の教育目標) 説明 閉じる
JABEE A-1 説明 閉じる
JABEE基準 (c) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
量子力学によって初めて正確に理解される現象が,工学においても様々な場面で利用されている。ミクロの世界を支配する量子力学の基本的な原理を知り,その考え方に慣れ,将来,より詳細に量子力学を学ぶための導入とする。
授業の進め方・方法:
本科で学んだ物理学に関係する基礎的知識を前提とし,さらに,これまで学んできた数学(特に線形代数)も多用するが,それらの復習も簡単に扱う。量子力学の原理を実際に使ってみるために,簡単な2状態系を例にしながら学んでゆく。
注意点:
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合はA-1(100%)とする.
・自学自習時間(60時間)ついては,日常の授業(30時間)のための予習復習,レポート課題の解答作成時間,試験のための学習時間を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる.
・抽象的で数学的な議論が多くなるので,自分で手を動かして具体例を扱うことが大切である。
・試験70%,レポート30%にて評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
量子力学のおこりと現代技術
量子力学の発見の契機となった現象をについて概略を説明でき,現在どのように利用されているか具体例を挙げることができる。
2週 1.量子ビット(1) スピンを題材にして,2状態系での測定結果について古典論と量子論の違いを理解できる。
3週 1.量子ビット(2) 状態を記述するための数学的道具(複素数,ベクトル)に慣れる。
4週 2.量子状態 スピンの状態をベクトルとして表現できる。
5週 3.量子力学の原理(1) 線形演算子,特にエルミート演算子の数学的性質を理解できる。
6週 3.量子力学の原理(2) 量子力学の原理(状態,オブザーバブル,測定値.確率解釈)の内容を理解できる。
7週 3.量子力学の原理(3)
量子力学の原理をスピンを例として理解できる。
8週 4.量子系の時間発展(1) 状態ベクトルの時間発展はユニタリー演算子により引き起こされることを理解できる。
4thQ
9週 4.量子系の時間発展(2) 状態の時間発展を与えるシュレーディンガー方程式の形を理解できる。
10週 4.量子系の時間発展(3) オブザーバブルの期待値を計算できる。
11週 4.量子系の時間発展(4) エネルギー固有値,固有ベクトルを用いてシュレーディンガー方程式の解を表現できる。
12週 5.不確定性原理(1) オブザーバブルの完全な組について理解できる。
13週 5.不確定性原理(2) 交換しないオブザーバブルに対する不確定性原理を理解できる。
14週 6.量子エンタングルメント(1) 合成系の状態空間が個々の状態空間のテンソル積で表されることを理解する。
15週 6.量子エンタングルメント(2) 合成系の状態の表現の仕方を理解できる。
16週 後期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100
専門的能力00
分野横断的能力000