応用物理特論

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 応用物理特論
科目番号 0007 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 [参考書] McIntyre, "Quantum Mechanics: A Paradigms Approach"; サスキンド『スタンフォード物理学再入門 量子力学』など
担当教員 降旗 康彦

到達目標

1.量子力学の基本的な法則を理解し,物理量の測定とその結果について計算できるようになること。
2.シュレーディンガー方程式によって,量子系の時間発展を計算できるようになること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1量子力学における系の状態がベクトルで表されること,物理量がエルミート演算子で表されることを物理現象ともに理解し,実験結果の確率を計算できる。量子力学において系の状態がベクトルとして表され,物理量は線形演算子として表されることを知っており,実験結果の確率を計算できる。量子力学において系の状態や物理量がどのように表現されるか知らない。
評価項目2シュレーディンガー方程式の解をエネルギーの固有系を用いて表すことができる。状態ベクトルがシュレーディンガー方程式に従って,時間発展することを知っている。状態ベクトルがシュレーディンガー方程式に従って,時間発展することを知らない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (生産システム工学専攻の教育目標) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (専攻科の教育目標) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
量子力学によって初めて正確に理解される現象が,工学においても様々な場面で利用されている。ミクロの世界を支配する量子力学の基本的な原理を知り,その考え方に慣れ,将来,より詳細に量子力学を学ぶための導入とする。
授業の進め方・方法:
本科で学んだ物理学・数学(特に線形代数)に関係する基礎的知識を前提とするが,必要に応じて復習も取り入れる。参考書として挙げたテキストをもとに解説を行い,理解を確認するための演習問題に取り組み,レポートとして提出する。
注意点:
・自学自習時間(60時間)ついては,日常の授業(30時間)のための予習復習,レポート課題の解答作成時間,試験のための学習時間を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であることが認められる.
・関連物理学の教科書は数多くあるので,自分に合ったものを探して講義の参考とすると良い。
・試験60%,レポート40%にて評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
第0章.量子力学のおこり
量子力学の発見の契機となった現象をについて概略を知る。原子の安定性が古典力学で説明できないことを理解できる。
2週 第1章.シュテルン‐ゲルラッハの実験(1) シュテルン-ゲルラッハの実験を題材にして,スピン2状態系での測定結果について古典論と量子論の違いを理解できる。
3週 第1章.シュテルン‐ゲルラッハの実験(2) 量子状態について重ね合わせの原理が成り立つこと理解し,状態を記述するための数学的道具(複素数,ベクトル)に慣れる。
4週 第1章.シュテルン‐ゲルラッハの実験(3) 状態から観測結果に関する確率を導く方法について理解する。
5週 第1章.シュテルン‐ゲルラッハの実験(4) より一般的な量子系について,基本法則を適用できる。簡単な例で,量子状態の記述や測定結果の確率を求めることができる。
6週 第2章.演算子と測定(1) 物理量は状態ベクトルに作用する線形演算子(エルミート演算子)で表され,状態の基底を選ぶことで,行列表現できることを理解する。
7週 第2章.演算子と測定(2) エルミート演算子の性質を理解しできる。測定後の状態が射影仮説により定まることを知る。
物理量の期待値,不確定性を計算できる。
8週 演習 状態と物理量についてこれまで学んだことを演習問題を通して確認できる。
4thQ
9週 中間試験
10週 第2章.演算子と測定(3) 2つの物理量の可換・非可換に応じて,同時固有状態・不確定性関係などが問題になることを理解できる。
11週 第3章.シュレーディンガー方程式(1) 状態の時間発展を与えるシュレーディンガー方程式の形を理解できる。
12週 第3章.シュレーディンガー方程式(2) エーレンフェストの定理を通して,古典力学と量子力学の対応関係を理解する。また,正準量子化の手続きを知る。
13週 第3章.シュレーディンガー方程式(3) 磁場中のスピン歳差運動についてシュレーディンガー方程式を解いて,時間発展を記述できる。
14週 演習 シュレーディンガー方程式の解法について演習問題を通して確認できる。
15週 補章.量子力学の応用 1次元量子系の典型的な問題を理解できる。
量子エンタングルメントとは何か理解できる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合6040100
基礎的能力6040100
専門的能力000
分野横断的能力000