応用物理特論

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 応用物理特論
科目番号 0016 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 応用化学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 物理学スーパーラーニングシリーズ 量子力学 第2版 佐川弘幸/清水克多郎著(丸善出版)
担当教員 降旗 康彦

到達目標

1.量子力学における状態が波動関数によって表され,物理量は演算子によって表されることを理解できる。
2.簡単な1次元井戸型ポテンシャル問題のエネルギー固有状態とエネルギー固有値を求めることができる。
3.不確定性関係の意味を理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1(A-1)波動関数が何を表しているか理解でき,物理量の観測値が演算子の固有値であることを理解している。量子力学における系の状態は波動関数により表され,物理量は演算子により表されることを理解している。波動関数が何を表しているかわからない。
評価項目2(A-1)1次元井戸型ポテンシャルにたいして,エネルギー固有値・固有状態を求めることができ,いくつかの物理量の期待値も求めることができる。1次元井戸型ポテンシャルにたいして,エネルギー固有値・固有状態を求めることができる。1次元井戸型ポテンシャルに対して,エネルギー固有関数を求められない。
評価項目3(A-1)不確定性関係を物理量の交換関係から導くことができる。不確定性関係は物理量の非可換性と関係があることを知っている。不確定性関係とは何か知らない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (応用化学専攻の教育目標) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (専攻科の教育目標) 説明 閉じる
JABEE A-1 説明 閉じる
JABEE基準 (c) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科で学んだ古典的な物理(ニュートンの運動方程式,マクスウェルの電磁気学など)は,原子などミクロなスケールでは成り立たず,量子力学で記述される。本講義を通して量子力学の基本的な考え方を知り,具体的な例を通して,その考え方に慣れることを目標とする。
授業の進め方・方法:
理論の背景となる実験結果を提示しながら,量子力学的な考え方に慣れることを目標にする。具体的な問題に取り組むことが必要であるので,授業時間以外にレポート課題に取り組む。
注意点:
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合はA-1(100%)とする.
・自学自習時間(60時間)ついては,日常の授業(30時間)のための予習復習,レポート課題の解答作成時間,試験のための学習時間を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる.
・抽象的で数学的な議論が多くなるので,自分で手を動かして具体例を扱うことが大切である。
・期末試験40%,中間試験30%,レポート30%にて評価する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 量子力学とは 古典力学では説明できない現象の具体例をあげることができる。
2週 光の波動性と粒子性 光や粒子性と波動性について,基礎となる実験事実を指摘できる。
3週 物質波と不確定性原理 ド・ブロイ波によって説明できる現象を指摘できる。
不確定性原理を用いて,位置や運動量の不確定性を評価できる。
4週 シュレーディンガー方程式 シュレーディンガー方程式が量子系の時間発展を記述する基本法則であることを理解できる。
5週 波動関数 量子系の状態が波動関数によって表され,波動関数が測定結果の確率分布を表すことを理解できる。
6週 1次元井戸型ポテンシャル 井戸型ポテンシャルに対してエネルギー固有値および固有状態を求めることができる。
7週 位置と運動量の期待値 与えられた状態における位置や運動量などの物理量の期待値を求めることができる。
8週 中間試験 これまで学んだ内容について,試験で確認する。
4thQ
9週 量子力学の基礎概念 量子力学の基本的な要請を理解できる。
10週 物理量と演算子 物理量がエルミート演算子で表されることを理解し,エルミート演算子の性質を使うことができる。
11週 状態と観測 状態についての重ね合わせの原理を理解し,観測結果の確率を状態から計算できる。
12週 演算子の交換関係と不確定性原理 位置と運動量を表す演算子の非可換性から,不確定性関係を導くことができる。
13週 トンネル効果 ポテンシャル障壁による簡単な散乱問題を解くことができる。
14週 スピン スピン自由度の数学的表現ができる。
15週 期末試験 これまで学んだ内容について,試験で確認する。
16週 試験返却と解説 学んだ知識の再確認と修正ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力702595
専門的能力000
分野横断的能力055