環境触媒化学特論

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 環境触媒化学特論
科目番号 0020 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 応用化学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 新しい触媒化学 第2版 (服部 英、多田 旭男、菊地 英一、瀬川 幸一、射水 雄三、共著、三共出版)
担当教員 宮越 昭彦

到達目標

1. 触媒の定義や触媒分野の専門用語について理解し、活性化エネルギーに関連づけた説明ができる。
2. 触媒化学分野の発展について、工業的観点と学術的観点の両面から説明ができる。
3. 石油精製プロセス反応、自動車排ガス浄化反応、光触媒反応に関する基本反応を提示して、触媒反応機構について具体的に説明ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1固体触媒反応の定義や触媒の分類について例示しながら正確に説明できる。固体触媒反応の定義や触媒の分類ついて説明ができる。固体触媒反応の定義や触媒の分類ついて説明ができない。
評価項目2固体触媒の機能発現について、固体の吸着現象に関連づけた説明ができる。その際、鍵要因を示して触媒作用の原理を的確に説明できる。固体触媒の機能発現について、固体の吸着現象に基づいた説明ができる。また、触媒機能を左右する鍵要因を挙げることができる。固体触媒の機能発現について、固体の吸着現象に基づいた説明ができない。また、触媒機能を左右する鍵要因を挙げることができない。
評価項目3石油精製反応、自動車排ガス浄化触媒反応、光触媒反応の触媒メカニズムを具体的に表現し、触媒活性種や活性劣化因子について正確に説明ができる。石油精製反応、自動車排ガス浄化触媒反応、光触媒反応の触媒メカニズムの特徴を説明し、触媒活性種や活性劣化因子を挙げることができる。石油精製反応、自動車排ガス浄化触媒反応、光触媒反応の触媒メカニズムの特徴が説明できず、触媒活性種や活性劣化因子を挙げることができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (応用化学専攻の教育目標) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (専攻科の教育目標) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 前半は、固体触媒が有する表面の機能性に焦点を当て、固体触媒反応が様々な吸着作用に基づいて発現することを学習する。また、触媒化学の発展について、工業的な背景と学術的背景の両面から理解し、触媒開発や触媒機能が解明された経緯を学ぶ。
後半は、工業プロセス用触媒と環境触媒を取り上げ、触媒作用の原理とその特徴について学習する。とくに環境触媒については、現在の代表的な触媒とともに将来的な課題についても説明する。これら授業進行に伴い、自らが関心を持った触媒やその化学反応について、触媒化学の観点で具体的に説明する能力も併せて体得する。
授業の進め方・方法:
本講義では、吸着や化学平衡といった触媒化学の基礎概念となる現象の説明と、環境触媒を中心とする実用例について授業時間を多く配置している。最初は、触媒化学の考え方に馴染みづらく理解するのに時間を要するが、「触媒反応が進行するための鍵要因は何であるのか。」という視点を持って授業や学習に取り組んでもらいたい。講義期間の中盤期以降で触媒分野に関連する調査報告(プレゼンテーション発表)を行う。なお、小テストは毎回実施する。
注意点:
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合は, D-1, D-2 とする。
・総時間数90時間(自学自習60時間)
・自学自習時間(60時間)として,日常の授業(30時間)のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間および定期試験の準備のための勉強時間を総合したものとする。
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項 目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 触媒化学の概要 触媒の定義や一般的な触媒分野の用語を説明できる。
2週 化学平衡と活性化エネルギー 活性化エネルギーと化学反応の関係を理解し、触媒の
役割を表現できる。
3週 触媒の分類 均一系、不均一系の触媒を例示して、その特徴を説明できる。
4週 触媒化学の歴史(工業的歴史) 触媒化学分野の歴史的背景を工業触媒発展の観点から説明できる。
5週 触媒化学の歴史(学術的歴史) 触媒化学分野の歴史的背景を学術的(研究的発展)の観点から説明できる。
6週 触媒機能の発現 物理吸着と化学吸着の違いを理解し、触媒が関与するいろいろな活性化機構や固体表面の作用について表現できる。
7週 触媒の利用
石油精製プロセスの応用例(1)
石油精製に関わる触媒反応を例に、水素化脱硫反応の機構を説明できる。
8週 触媒の利用
石油精製プロセスの応用例(2)
石油精製に関わる触媒反応を例に、クラッキング反応と接触改質反応の機構を説明できる。
4thQ
9週 触媒の利用
石油精製プロセスの応用例(3)
石油精製プロセスの周辺技術として、水素製造反応や炭化水素の改質反応の機構を説明できる。
10週 環境触媒(1)
環境触媒の歴史的背景
環境触媒技術が発展した歴史的背景を理解し、説明することができる。
11週 環境触媒(2)
NOx分解触媒
窒素酸化物の分解触媒について、反応機構と特徴を表現することができる。
12週 環境触媒(3)
自動車排気ガス浄化触媒
自動車排ガス浄化触媒の特性や求められる性能について理解し、将来に向けてどのような課題があるのかを
説明できる。
13週 光触媒(1)
光触媒の特徴
光触媒の特性や性能を理解し、TiO2 触媒の浄化作用について説明できる。
14週 光触媒(2)
光触媒の応用と課題
TiO2 触媒を応用した実例を説明できるとともにその課題や克服すべき事柄を説明できる。
15週 光触媒(3)
光触媒の応用と課題
TiO2 触媒を応用した実例を説明できるとともに、TiO2以外の光触媒の性能や課題について説明できる。
16週 学年末試験 学んだ知識の確認ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。3
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。5
反応機構に基づき、生成物が予測できる。5

評価割合

試験口頭発表小テスト・レポート合計
総合評価割合801010100
基礎的能力405550
専門的能力405550