計算力学特論

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 計算力学特論
科目番号 0052 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 応用化学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は使用せず,適宜プリントを配布.参考書:ベクトル解析-道具と考えていねいに-(上野和之著,共立出版),物理のためのベクトルとテンソル(ダニエル・フライシュ著,河辺哲次訳,岩波書店),はじめて学ぶベクトル空間(高遠節夫ら著,大日本図書),はじめてのCFD-移流拡散方程式-(棚橋隆彦著,コロナ社),流体力学の数値計算法(藤井孝藏著,東京大学出版会)
担当教員 石向 桂一

到達目標

1.微分演算子を含むベクトルやテンソルの計算ができる.
2.ひずみ速度や応力テンソルの説明ができ,流体力学の質量保存則および運動量保存則を導出できる.
3.一次元移流方程式の数値解を差分法により求めることができ,解の誤差や安定性について説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 (D-1,D-2)微分演算子を含むベクトルやテンソルの計算ができ,添字形式で表現できる.微分演算子を含むベクトルやテンソルの計算ができる.微分演算子を含むベクトルやテンソルの計算ができない.
評価項目2 (D-1,D-2)ひずみ速度や応力テンソルを説明でき,また,流体力学の質量保存則および運動量保存則を導出でき添字形式で表現できる.ひずみ速度や応力テンソルを説明でき,流体力学の質量保存則および運動量保存則を導出できる.ひずみ速度や応力テンソルを説明できず,流体力学の質量保存則および運動量保存則を導出できない.
評価項目3 (D-1,D-2)一次元移流方程式の数値解を差分法により求めることができ,解の誤差や安定性について説明できる.一次元移流方程式の数値解を差分法により求めることができる.一次元移流方程式の数値解を差分法により求めることができず,解の誤差や安定性について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (応用化学専攻の教育目標) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (専攻科の教育目標) 説明 閉じる
JABEE A-2 説明 閉じる
JABEE D-1 説明 閉じる
JABEE D-2 説明 閉じる
JABEE基準 (d) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
近年,コンピュータの発達に伴い,様々な物理現象に対し,その支配方程式となる微分・積分方程式を数値的に解く数値解析が盛んに実施されている.航空宇宙分野では,スーパーコンピュータや数値計算法の発展により,風洞実験に要する時間と経費は大幅に削減されてきている.ここでは,流れの支配方程式であるナビエ・ストークス方程式を例に,数値計算の概念について学ぶ.
授業の進め方・方法:
応用数学や計算力学で学んだ知識の復習から始め,ベクトル解析とテンソル解析の基礎を習得して流れの支配方程式の導出を行う.一次元移流方程式を例題として,その解を差分法で求め,その際に問題となる解の誤差,解の安定性の問題を取り上げて,講義内容や数値実験結果をレポートにまとめて提出する.最後に期末試験を行う.
注意点:
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合は,D-1(50%),D-2(50%)とする.
・自学自習時間(60時間)は,日常の授業(30時間)に対する予習復習,レポート課題の解答作成時間,試験のための学習時間を総合したものとする.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の達成レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる.
・応用数学で学んだ微分方程式の解法,プログラミングで学んだ知識,計算力学で学んだ差分法の知識が基礎となる.課題の提出にあたっては,安定性解析についての講義内容の理解,計算の手順,結果をグラフ表示し,考察することが求められる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
ベクトル解析とテンソル解析1
授業の概要と評価方法の説明.
微分演算子が含まれるベクトルやテンソルの計算ができる.また,ベクトルやテンソルを添え字形式で表現できる.
2週 ベクトル解析とテンソル解析2 微分演算子が含まれるベクトルやテンソルの計算ができる.また,ベクトルやテンソルを添え字形式で表現できる.
3週 ベクトル解析とテンソル解析3 微分演算子が含まれるベクトルやテンソルの計算ができる.また,ベクトルやテンソルを添え字形式で表現できる.
4週 ひずみ速度と応力テンソル1 ひずみ速度および応力テンソルの説明ができる.
5週 ひずみ速度と応力テンソル2 ひずみ速度および応力テンソルの説明ができる.
6週 ひずみ速度と応力テンソル3 ひずみ速度および応力テンソルの説明ができる.
7週 ナビエ・ストークス方程式1 流れの支配方程式として,質量保存則および運動量保存則を導出できる.
8週 ナビエ・ストークス方程式2 流れの支配方程式として,質量保存則および運動量保存則を導出できる.
2ndQ
9週 有限差分法と適合性,安定性,収束性1 基本的な差分式を導出でき,適合性,安定性,収束性を説明できる.
10週 有限差分法と適合性,安定性,収束性2 基本的な差分式を導出でき,適合性,安定性,収束性を説明できる.
11週 一次元移流方程式1 一次元移流方程式の性質について説明でき,方程式を差分式により表現できる.
12週 一次元移流方程式2 一次元移流方程式の性質について説明でき,方程式を差分式により表現できる.
13週 陽解法と安定性 陽解法の安定性について説明でき,数値解を求めることができる.
14週 陰解法と安定性 陰解法の安定性について説明でき,数値解を求めることができる.
15週 一次元移流方程式のプログラム作成 一次元移流方程式のプログラムを作成し,結果および考察をまとめる事ができる
16週 期末試験 学んだ知識を確認できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力専門的能力の実質化PBL教育PBL教育工学が関わっている数々の事象について、自らの専門知識を駆使して、情報を収集することができる。5
集められた情報をもとに、状況を適確に分析することができる。5
与えられた目標を達成するための解決方法を考えることができる。5
状況分析の結果、問題(課題)を明確化することができる。5
各種の発想法や計画立案手法を用いると、課題解決の際、効率的、合理的にプロジェクトを進めることができることを知っている。5
各種の発想法、計画立案手法を用い、より効率的、合理的にプロジェクトを進めることができる。5
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
ICTやICTツール、文書等を基礎的な情報収集や情報発信に活用できる。4
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、そこから主要な原因を見出そうと努力し、解決行動の提案をしようとしている。4
事象の本質を要約・整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。4
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。5
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性身内の中で、周囲の状況を改善すべく、自身の能力を発揮できる。 4
学生であっても社会全体を構成している一員としての意識を持って、行動することができる。4
チームワークの必要性・ルール・マナーを理解し、自分の感情の抑制、コントロールをし、他者の意見を尊重し、適切なコミュニケーションを持つとともに、当事者意識を持ち協調して共同作業・研究をすすめることができる。4
先にたって行動の模範を示すことができる。口頭などで説明し、他者に対し適切な協調行動を促し、共同作業・研究をすすめことができる。4
法令を理解し遵守する。基本的人権について理解し、他者のおかれている状況を理解することができる。自分が関係している技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を理解し、技術者が社会に負っている責任を認識している。4
未来の多くの可能性から技術の発展と持続的社会の在り方を理解し、自らのキャリアを考えることができる。4
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。5
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。5
クライアントの要求を解決するための設計解を作り出すプロセス理解し、設計解を創案できる。さらに、創案した設計解が要求を解決するものであるかを評価しなければならないことを理解する。4

評価割合

試験レポート発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合505000000100
専門的能力25250000050
分野横断的能力25250000050