到達目標
1. 半導体の電気伝導に関する用語を書け,それぞれの用語が何を指しているのかを説明できる.
2. ダイオード、バイポーラトランジスタについて、構造の模式図を図示でき、その特徴を説明できる。
3. トランジスタの各種接地回路について増幅器として動作するために必要な電圧のかけ方を図示でき,
その電圧増幅率や電流増幅率等を数式を用いて表現できる.
4. トランジスタの増幅の様子をエミッタ接地回路の電流I-電圧V特性の図を用いて説明できる.
5. トランジスタや FET などの等価回路を用いて、増幅率や周波数特性、入力インピーダンスや出力インピーダンスなどを数式を用いて表すことができる。
6. dBを用いた計算ができる.
7. トランジスタやFETの動作に必要な直流バイアスを与える手法を説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | ダイオード、トランジスタ、FET の特徴や働きを図を用いて正しく説明できる。 | ダイオード、トランジスタ、FET の特徴や働きを用意された図を用いて正しく説明できる。 | ダイオード、トランジスタ、FET の特徴や働きを用意された図を用いても説明できない。 |
評価項目2 | トランジスタ、FET の等価回路を用
いて、各種動作量を正しく計算でき
る。 | トランジスタ、FETの等価回路を用
いて、各種動作量を計算できる。 | トランジスタ、FET の等価回路を用
いて、各種動作量を計算できない。 |
評価項目3 | トランジスタ、FET のバイアス回路の役割を正しく説明でき、バイアス回路に関する計算ができる。 | トランジスタ、FET のバイアス回路の役割を説明でき、バイアス回路に関する計算ができる。 | トランジスタ、FET のバイアス回路の役割を説明できず、バイアス回路に関する計算ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
電気情報工学科の教育目標②
説明
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本科の教育目標①
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教育方法等
概要:
デジタルによる信号処理が盛んな現代においても,アナログ回路が必要な場面は多い.例えば,皆さんが持っているスマートフォンなどで音楽を聴く場合を考える.音楽のデータはデジタルで保存されているが,D/A変換や増幅を経て,最終的にはアナログの信号となり,電流を流すことでイヤフォンから音が出ている.アナログ信号をうまく取り扱うためには,電気回路や電磁気学,物理の知識を集結させ,半導体の中でどんな現象が起きることで,電子回路で実現したい機能がどのようにして得られるのを十分に理解しておく必要があります.(機能:大きな電流を作り出す.電圧を高める等)
この授業では,基本的な半導体素子である,ダイオードやトランジスタ,FET を一つもしくは複数個有する回路を取り扱うことで,半導体素子特有な性質がどんな場面で使えるのかを学び,それぞれの素子を用途に合った使い方ができるようになることを目的とする。
授業の進め方・方法:
前半は、半導体の基礎からダイオード、トランジスタ、FETの基礎的な動作を学び、増幅器としての使い方、等価回路を用いた回路解析について学ぶ。後半は、複数個のトランジスタを組み合わせて使用する具体的な手法や、動作を数式等を用いて表現できるようにする。また、FETについてもその基礎的な内容および、使用方法、等価回路を学ぶ。
授業は、教科書に沿って進行し、演習問題を解くことで、理解を深める。
小テストおよびレポート課題により理解の定着を図る。
注意点:
・電気回路の基礎的な内容を十分に理解している必要がある。
・教科書で指定している以外の図書も多数出版されているため、そちらも参照して理解を深めるようにしてください。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
授業の概要,進め方,評価方法などを確認 電子回路の解析に必要な知識の確認 |
周波数と波の関係を図と式で表現できる。直流と交流の電圧の重なった状態を数式を使って記述できる。波の式と図の対応関係を説明できる。
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2週 |
電圧の増幅について 半導体について |
波の増幅を図で表現できる。 増幅率の計算ができる。 半導体に関連する用語の意味を説明できる。
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3週 |
半導体について PN接合ダイオードについて |
P型半導体とN型半導体がどういうものかを説明できる。ダイオードの構造が図示できる。
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4週 |
PN接合ダイオードについて |
PN接合を作製すると、内部で起こる現象を説明できる。 PN接合のバンド図を図示でき、PN接合の電流電圧特性とその図の対応関係を説明できる。
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5週 |
PN接合ダイオードについて |
PN接合ダイオードを使った回路の動作を説明できる。
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6週 |
トランジスタについて |
トランジスタのバンド図を図示できる。バンド図を使って、トランジスタの内部のキャリアの移動で増幅が起きることを説明できる。静特性とバンド図の対応関係を説明できる。
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7週 |
演習
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学んだ知識の確認ができる
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8週 |
中間テスト |
学んだ知識の確認ができる。
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2ndQ |
9週 |
トランジスタについての接地方式とバイアス回路について |
トランジスタの接地とはどういうことか説明できる。バイアス回路の必要性について、図を用いて説明できる。
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10週 |
トランジスタのバイアス回路 |
固定バイアス回路、自己バイアス回路、電流帰還バイアス回路について、特徴とどのようにトランジスタにバイアス電流が与えられるのかを説明できる。
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11週 |
トランジスタの小信号等価回路 - 小信号等価回路 - |
トランジスタを等価回路で表現できることを説明できる。
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12週 |
トランジスタの小信号等価回路 - 小信号等価回路 - |
トランジスタ増幅回路を小信号等価回路を使った回路に書き直せる。書き直した回路を使って電圧増幅率の式を導出できる。
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13週 |
周波数特性 |
コンデンサが周波数特性に与える影響を説明できる。
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14週 |
周波数特性 |
コンデンサが周波数特性に与える影響を説明できる。
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15週 |
演習 |
学んだ知識の確認ができる。
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16週 |
前期末試験 |
学んだ知識の確認ができる。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
FET |
トランジスタとFETの違いを理解して、その使い方を説明できる。
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2週 |
JFET |
JFETの動作を説明できる。
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3週 |
MOSFET |
MOSFETの動作を説明できる。
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4週 |
FETのバイアス回路 |
FETのバイアス回路について説明できる。
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5週 |
FETの等価回路 |
FETの等価回路で表現できることを説明できる。FETの等価回路を使った回路解析が出来る。
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6週 |
トランジスタを複数個使用した増幅回路 |
トランジスタの結合方式について特徴を説明できる。
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7週 |
演習 |
学んだ知識の確認ができる。
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8週 |
中間試験 |
学んだ知識の確認ができる。
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4thQ |
9週 |
トランジスタを複数個使用した増幅回路 |
トランジスタを複数接続した回路の動作を解析できる。
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10週 |
入出力インピーダンス |
入出力インピーダンスが電圧や電流の伝達に与える影響を説明できる。
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11週 |
高周波の増幅 |
高周波の増幅に向いたトランジスタの特徴を説明できる。
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12週 |
同調回路 |
同調回路の動作について説明できる。
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13週 |
負帰還 |
負帰還増幅回路の動作について説明できる。
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14週 |
負帰還 |
負帰還増幅回路の動作について説明できる。
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15週 |
演習 |
学んだ知識の確認ができる。
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16週 |
学年末試験 |
学んだ知識の確認ができる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電子回路 | ダイオードの特徴を説明できる。 | 3 | 前2 |
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前11,前12,前13 |
FETの特徴と等価回路を説明できる。 | 4 | 後11,後12,後13 |
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。 | 3 | 前12,前13,前14,前15,後9 |
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。 | 4 | 前6,前7,後4 |
電子工学 | 真性半導体と不純物半導体を説明できる。 | 3 | |
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。 | 3 | |
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。 | 3 | |
情報系分野 | その他の学習内容 | オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。 | 3 | |
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。 | 3 | 前3,後11 |
評価割合
| 試験 | 小テスト・レポート | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 40 | 100 |
基礎的能力 | 10 | 10 | 20 |
専門的能力 | 50 | 30 | 80 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |