電気電子工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 電気電子工学Ⅱ
科目番号 073 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 システム制御情報工学科(2021年度以降入学者) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 例題で学ぶアナログ電子回路入門 樋口英世著 森北出版株式会社
担当教員 中村 基訓

到達目標

1. 半導体における基本的な物性について理解し,バンド図からpn接合およびキャリアの伝導について説明できる.
2. 接合トランジスタの動作原理について理解し,バンド図を用いて説明できる.
3. 接合型トランジスタの静特性について理解し,図式解法により動作量を求めることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1半導体における基本的な物性について理解し,バンド図からpn接合およびキャリアの伝導について説明できる.半導体における基本的な物性について理解が若干不足しているが,バンド図からpn接合およびキャリアの伝導についての概要を説明できる.半導体における基本的な物性について理解が不足し,バンド図からpn接合およびキャリアの伝導について説明できない.
評価項目2接合トランジスタの動作原理について理解し,バンド図を用いて説明できる.接合トランジスタの動作原理について理解が若干不足しているが,バンド図を用いて原理の概要を説明できる.接合トランジスタの動作原理について理解が不足し,バンド図を用いて説明できない.
評価項目3接合型トランジスタの静特性について理解し,図式解法から動作量を求めることができる.接合型トランジスタの静特性について理解が若干不足しているが,手順に基づいて図式解法から動作量を求めることができる.接合型トランジスタの静特性について理解が不足し,図式解法から動作量を求めることができない.

学科の到達目標項目との関係

  システム制御情報工学科の教育目標② 説明 閉じる
本科の教育目標① 説明 閉じる

教育方法等

概要:
半導体における基本的な物性について学習し,エネルギーバンド図からpn接合の構造および電気特性が説明できることを学ぶ.pn接合によるダイオード,接合型トランジスタの動作原理を学び,動作原理が異なる電界効果型トランジスタについて学習する.また,トランジスタ増幅回路の基礎となる図式を用いた動作量解析について学ぶ.
授業の進め方・方法:
基本的に反転授業により講義を進める.LMSツールを用いて講義動画を配信するので,自宅などで学習を進める.学校での授業では,例題演習などを通じて,理解を深められるように進める.また,理解度を確認するために,スマートフォンなどによるwebを用いた小テストや定期的に単元テストを実施する.
注意点:
・半導体物性ついてはこれまであまり触れられてこなかった分野であるので,授業に集中してポイントをつかみ,固体中の電子の動きについてイメージを確立してほしい.講義では演習問題を出来るだけ多く扱って基本事項の理解を深める.前提として電気回路の知識が必須となるので,苦手な場合は復習しておくことを勧める.
・自学自習(15時間)ついては,日常の授業(30時間)のための授業動画の視聴時間,理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間などを総合したものとする.
・本科目では定期試験を実施しない.授業中に実施する小テストやレポートにより理解度を評価する.
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であることが認められる.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
電気工学の復習
キルヒホッフの電圧則・電流則を適用して,電気回路の基本的な問題が解ける.
2週 電気工学の復習(交流) 正弦波交流の特徴を説明でき,フェーザ表示や記号法で計算ができる.
3週 半導体物性1 電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる.
4週 半導体物性2 エレクトロンボルトの定義を説明し,単位換算等の計算ができる.
5週 半導体物性3 原子の構造やパウリの排他律により原子の電子配置を説明できる.
結晶,バンド構造,フェルミ・ディラック分布を理解し,金属と絶縁体をバンド図で説明できる.
6週 キャリア密度とフェルミ準位1 状態密度,分布関数を用いて,キャリア密度が算出できる.
7週 キャリア密度とフェルミ準位2 外因性半導体のキャリア密度について,種々の計算ができる.
8週 キャリア密度とフェルミ準位3 外因性半導体のキャリア密度について,温度域による違いを説明できる.
2ndQ
9週 電気伝導 半導体中の電気伝導について,説明できる.
ホール効果の原理について説明でき,ホール効果についての簡単な計算ができる.
10週 pn接合とダイオード ダイオードの特徴を説明できる.
pn接合により整流性を持つことを,バンド図を用いて説明できる.
pn接合におけるキャリアの振る舞いが説明できる.
11週 トランジスタ1 接合型トランジスタの動作原理(静特性)について,バンド図を用いて説明できる.
12週 トランジスタ2 FETの特徴と等価回路について説明できる.
電界効果トランジスタの構造と動作について説明できる.
13週 トランジスタ3 接合型トランジスタの特徴と等価回路を説明できる.
接合型トランジスタの動作点を導出できる.
14週 トランジスタ4 接合型トランジスタの動作量について,静特性から図式解法を用いて算出できる.
15週 トランジスタ5 トランジスタのスイッチング動作について説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3前10
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。3前11,前12,前13,前14
FETの特徴と等価回路を説明できる。3前15
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3前14
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3前3
原子の構造を説明できる。3前3,前5
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。3前3,前5
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3前4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3前9
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3前6,前7
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3前6,前7
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4前7
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4前11
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3前15

評価割合

単元テスト・小テストなど課題・レポートなど合計
総合評価割合5050100
基礎的能力000
専門的能力5050100
分野横断的能力000