制御工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 制御工学Ⅰ
科目番号 078 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 システム制御情報工学科(2021年度以降入学者) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 自動制御理論(著者 樋口龍雄,森北出版)・例題で学ぶ自動制御の基礎(著者 鈴木隆・板宮敬悦,森北出版)・電気理論(著者 池田哲夫,森北出版)
担当教員 森川 一

到達目標

1. 自動制御の定義を理解して身近なシステムの種類を分類でき,制御系を数学的に表現することができる。
2. フィードバック制御の概念と構成要素をブロック線図を用いて表現することができる。
3. 様々な関数のラプラス変換とラプラス逆変換を求めることができ,常微分方程式(および回路方程式)に応用して解くことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1自動制御の定義を理解して身近なシステムを種類に分類できて説明できるともに,制御系を数学的に表現する方法や注意点を説明できる。自動制御の定義を理解して種類を説明できるとともに,制御系を数学的に表現する方法や注意点を説明できる。自動制御の定義や種類を説明できず,制御系を数学的に表現する方法や注意点を説明できない。
評価項目2フィードバック制御系のブロック線図による一般的表現を描け,様々なシステムの概念と構成要素を理解してブロック線図で表現できる。フィードバック制御系のブロック線図による一般的表現を描け,その概念と構成要素を簡単を説明できる。フィードバック制御系のブロック線図による一般的表現を描けず,その概念と構成要素についても十分に説明できない。
評価項目3様々な関数のラプラス変換とラプラス逆変換を求めることができ,高度な微分方程式(連立の微分方程式)に応用して解くことができる。基本的関数のラプラス変換とラプラス逆変換を求めることができ,基礎的な微分方程式に応用して解くことができる。基本的関数のラプラス変換とラプラス逆変換を求められず,基礎的な微分方程式に活用して解くこともできない。

学科の到達目標項目との関係

  システム制御情報工学科の教育目標② 説明 閉じる
本科の教育目標① 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 これまでに学習したシステム制御情報工学科の専門科目と関連づけて,制御工学の基礎を学習する。具体的には,今後講義する「制御工学Ⅱ」の内容を理解できるように,授業計画に示す教科書「自動制御理論」第1章~第4章に該当する内容を順次学習する。
授業の進め方・方法:
 日常生活における制御の重要性と技術者としての倫理観等を理解し,工学的見地から制御をどのように取り扱い社会に反映させるかを学習する。制御工学Ⅰでは,制御工学を定量的に取り扱う際に必須となるラプラス変換・逆変換の取り扱いを中心に学習する。研究室管理のeラーニングに学習内容・演習等を掲載するので,自学自習用として主体的且つ効果的に活用する。講義時間の最後に適宜演習を実施すると共に,状況に応じて課題レポートを課す。
注意点:
・総時間数45時間(自学自習15時間)
・自学自習(15時間)については,日常の授業(30時間)のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間および演習や定期試験の準備のための勉強時間を総合したものとする。
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる。その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であることが認められる。
・講義時間最後の演習は,基本的に前回または前々回学習内容範囲であるので,日頃からeラーニング等を活用して学習内容を復習する習慣付けを要する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバス説明
1 序論
(1) 自動化の夢(技術史の基本と実践)
(2) システムと制御
(3) 開ループと閉ループ制御
「制御」・「自動制御」の定義・意義を説明できる。
各種オートメーションの意義・特徴を説明できる。
システムとサブシステムについて説明できる。
制御系の3つの基本的性質を説明できる。
2週 (4) 開ループ制御と閉ループ制御

2 フィードバック制御系
(1) システム構成
(2) ブロック線図による制御系の表現と簡単化
開ループ制御と閉ループ制御の違いを説明できる。
身近なシステムをループの有無による観点で分類できる。
ブロック線図の基礎を説明できる。
フィードバック制御系をブロック線図を用いて一般的に表現できる。
簡単な制御系をブロック線図を用いて表現できる。
ブロック線図を等価変換(簡単化)できる。
3週 (2) ブロック線図による制御系の表現と簡単化 身近な制御系の基本的構成を理解し,ブロック線図を用いて表現できる。
ブロック線図を等価変換(簡単化)できる。
4週 (3) フィードバックの効果・性能
(4) フィードバック制御系で用いられる用語・特性・性能
フィードバック制御系の性能評価に用いられる指標を説明できる。
「定量」,「可制御」,「規範」等の専門用語の意味を説明できる。
5週 3 基礎数学(ラプラス変換とその応用)
(0) 各種変換の相互関係
(1) 複素数
(2) ラプラス変換の定義
各種変換の特徴と相互関係を説明できる。
複素数の各種計算ができる。
ラプラス変換・ラプラス逆変換の定義式を書ける。
ラプラス変換表を活用してラプラス変換・逆変換できる。
各種基本信号の特徴を説明でき,信号波形を書ける。
基本的な関数を定義式からラプラス変換できる。
6週 (2) ラプラス変換の定義
ラプラス変換の定義式に基づき基礎的関数のラプラス変換を計算できる。
7週 (3) ラプラス変換の性質
(4) 時間波形(グラフ波形)のラプラス変換
ラプラス変換の各種性質を説明でき,具体的な計算に応用できる。
時間波形のラプラス変換を計算できる。
次週,中間試験を実施する。
8週 中間試験 これまでの学習内容の理解度を試験により確認する(試験時間90分)。
2ndQ
9週 試験答案の確認・解説
(5) ラプラス逆変換
試験結果から自らの理解状況を把握して,今後の学習に反映できる。
基本的関数をラプラス逆変換できる。
ヘビサイトの部分分数展開定理等を用いて部分分数展開し逆変換できる。
10週 (5) ラプラス逆変換
(6) ラプラス変換を用いた微分方程式の解法
ヘビサイトの部分分数展開定理等を用いて部分分数展開し逆変換できる。
ラプラス変換・逆変換を用いて定係数線形常微分方程式を解ける。
11週 (6) ラプラス変換を用いた微分方程式の解法 ラプラス変換・逆変換を用いて定係数線形常微分方程式を解ける。
12週 (6) ラプラス変換を用いた微分方程式の解法 ラプラス変換・逆変換を用いて定係数線形常微分方程式を解ける。
13週 (7) 電気回路の回路方程式の立式とラプラス変換・逆変換を用いた解法 各種回路の回路方程式を立式できる。
定係数線形常微分方程式及び定係数線形積分方程式で表される現象をラプラス変換・逆変換を用いて解析でき,解析結果をグラフ表示できる。
14週 4 伝達関数
(1) 伝達関数の定義
(2) 伝達関数の分類
伝達関数の定義を説明できる。
伝達関数の分類を説明できる。
基本的な伝達関数とその名称を説明でき,具体的な電気回路から計算できる。
15週 (2) 伝達関数の分類 基本的な伝達関数とその名称を説明でき,具体的な電気回路から計算できる。
16週 期末試験 これまでの学習内容の理解度を試験により確認する(試験時間90分)。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御自動制御の定義と種類を説明できる。4前1,前2
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。4前2,前3
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。4前5,前6,前7,前9,前10
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。4前10,前11,前12,前13
伝達関数を説明できる。4前14
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。4前2,前3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ演習・課題合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力1000001020
専門的能力6000002080
分野横断的能力0000000