基礎化学実験

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 基礎化学実験
科目番号 084 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質化学工学科(2021年度以降入学者) 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 化学基礎,化学(東京書籍)/改訂版フォトサイエンス化学図録(数研出版)
担当教員 梅田 哲,小寺 史浩,堺井 亮介,杉本 敬祐,千葉 誠,津田 勝幸,兵野 篤,古崎 睦,松浦 裕志,宮越 昭彦,技術職員 ,辻 雅晴

到達目標

1. 実験を通じて化学技術の初学者として必要な基本的な考え方,基本操作を身につけることができる。
2. 計算演習を通じて、化学の問題を定量的に扱う能力を養う。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1化学技術の初学者として必要な基本的な考え方,基本操作を正しく身につけることができる。化学技術の初学者として必要な基本的な考え方,基本操作を身につけることができる。化学技術の初学者として必要な基本的な考え方,基本操作を身につけることができない。
評価項目2計算演習を通じて、化学の問題を定量的に扱う能力が完全に身についている。計算演習を通じて、化学の問題を定量的に扱う能力がある程度身についている。計算演習を通じて、化学の問題を定量的に扱う能力が完全に身についていない。

学科の到達目標項目との関係

  物質化学工学科の教育目標③ 説明 閉じる
  本科の教育目標② 説明 閉じる

教育方法等

概要:
1) 実験を通じて化学現象に興味をもたせる。
2) 実験を通して化学技術の初学者として必要な基本的な考え方,基本操作を身につけさせる。
3) 化学計算を行う上で必要な「数値の取り扱い方」を身につけるとともに、計算演習を通じて、化学の「基本的法則・概念に対する理解」を深め、化学の問題を「定量的に扱う能力」を養う。
4) 学科横断グループ演習において,共同作業能力を育成する。
授業の進め方・方法:
前期は1クラスを数班に分けて,4テーマのものづくり実習を体験し,その内容についてPCを用いたプレゼンテーションを行う。後期は1クラスを10班程度に分けて,基礎的な化学実験を行う。実験は簡単な器具で操作も簡単にでき,楽しみながら化学に興味をもってもらうことを目的としている。また,化学分野における数値の取り扱い方に習熟し,化学の基本的事項に関わる量的関係を適切に扱えるようにするため,化学計算演習を通年で行う。後期は少人数のグループに分かれ,別々の教員の下で演習を行う(サイクルゼミ)。 さらに,後期に学科横断グループ演習を実施する。
注意点:
・初めて実験を経験する学生も多数いるので安全第一を考え,実験内容を充分に理解し,危険の防止につとめること。
・実験をただ機械的に行うのではなく,どうしてその実験を行なうのかを考え,操作や観察の要点などをよく理解すること。
・演習では,単に与えられた式を使って数値を求めるだけでなく,計算方法の中身に対する理解を常に心がけながら問題に取り組むこと。
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる。その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であることが認められる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 授業内容や評価方法について理解できる。また、学科目標を理解し,将来の進路について認識を深めることができる。
2週 ものづくり体験実習①-1
化学計算演習
1.セッケンなどの有機化合物をつくることができる。
化学の基本的事項に関わる量的関係を適切に計算できる。
3週 ものづくり体験実習①-2
4週 ものづくり体験実習②-1
化学計算演習
2.水あめをつくることができる。
5週 ものづくり体験実習②-2
6週 ものづくり体験実習③-1
化学計算演習
3.金属の加工,処理,評価方法について理解することができる。
7週 ものづくり体験実習③-2
8週 ものづくり体験実習④-1
化学計算演習
4.植物色素でpH指示薬をつくることができる。
2ndQ
9週 ものづくり体験実習④-2
10週 PC導入教育,プレゼンテーション入門・実施 PCを使用したプレゼンテーションに必要な知識と技術について理解できる。
11週 ものづくり体験実習⑤-1
化学計算演習
上述の4つのテーマより選択した1つについて、関連した上級実験に取り組み、その内容をまとめることができる。
12週 ものづくり体験実習⑤-2
13週 ものづくり体験実習⑤-3
化学計算演習
14週 ものづくり体験実習⑤-4
15週 ものづくり体験実習発表
化学計算演習
上記で取り組んだ実験成果をプレゼンテーションできる。
16週
後期
3rdQ
1週 実験説明 実験をただ機械的に行うのではなく,どうしてその実験を行なうのかを考え,操作や観察の要点などをよく理解することの重要性が理解できる。
2週 基本操作
化学計算演習
基本的な器具の取り扱い方と実験操作を身に付けることができる。
3週 学科横断グループ演習①
化学計算演習
学生がチューター役となり前期に受講した体験実習の内容を他学科の学生に教えることができる。
4週 学科横断グループ演習②
化学計算演習
5週 学科横断グループ演習③
化学計算演習
6週 学科横断グループ演習④
化学計算演習
7週 基礎実験① 塩化水素,硫酸,硝酸
化学計算演習
強酸の代表的な塩酸,硫酸,硝酸の性質を調べられる。
8週 基礎実験② 金属イオンの反応
化学計算演習
種々の金属イオンの性質を調べられる。例)水酸化物および銅,銀のアンミン錯イオンと硫化物,炎色反応など。
4thQ
9週 基礎実験③ 中和滴定
化学計算演習
シュウ酸標準溶液によって,水酸化ナトリウム溶液の濃度を求め,次に食酢中の酢酸の濃度を調べることができる。
10週 基礎実験④ 中和熱の測定
化学計算演習
化学反応で発生した熱量を測定し,その結果からへスの法則を導くことができる。
11週 基礎実験⑤ 化学変化と物質量
化学計算演習
化学変化に伴う物質の質量変化が一定割合で起こり,化学反応係数が物質量の比を示すことを確かめられる。
12週 基礎実験⑥ アルコ-ルの酸化
化学計算演習
アルコールを酸化し,その生成物であるアルデヒドの性質について調べられる。
13週 基礎実験⑦ アンモニアの性質・電気分解
化学計算演習
塩化アンモニウムを分解して,アンモニアをつくり,その性質を調べられる。塩化銅(Ⅱ)が水溶液中で銅イオンと塩化物イオンに分かれていることを,電気分解により調べられる。
14週 基礎実験⑧ pHの測定・アルカリ金属
化学計算演習
pH試験紙を用いてpHやモル濃度を測り,モル濃度とpHとの関係を調べられる。アルカリ金属の代表として,ナトリウムの性質を調べられる。
15週 基礎実験 試験 学んだ実験操作や理論を説明出来る。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3後10
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3後10
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3後8
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3後8
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3後8
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3後14
中和反応がどのような反応であるか説明できる。3後8
中和滴定の計算ができる。3後8
電気分解反応を説明できる。3後12
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3前1
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3前1
測定と測定値の取り扱いができる。3後9
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3後9
ガラス器具の取り扱いができる。3前15
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3前15
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2前15,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。2後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2前11,前12,前13
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2前11,前12,前13
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2前11,前12,前13
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2前11,前12,前13
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。2前11,前12,前13
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。2前11,前12,前13
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。2前11,前12,前13
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。2
他者の意見を聞き合意形成することができる。2前11,前12,前13
合意形成のために会話を成立させることができる。2前11,前12,前13
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。2後2,後3,後4,後5
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。2前11,前12,前13
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。2前11,前12,前13
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。2後2,後3,後4,後5
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。2後2,後3,後4,後5
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。2後2,後3,後4,後5
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。2後2,後3,後4,後5
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。2後2,後3,後4,後5
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。2後2,後3,後4,後5
法令やルールを遵守した行動をとれる。2前1,前14,前15,後1
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。2

評価割合

達成度(前期)プレゼンテーション(前期)レポート(後期)試験(後期)課題(通年)その他合計
総合評価割合20203010200100
基礎的能力551005025
専門的能力105151015055
分野横断的能力510500020