概要:
1) 実験を通じて化学現象に興味をもたせる。
2) 実験を通して化学技術の初学者として必要な基本的な考え方,基本操作を身につけさせる。
3) 化学計算を行う上で必要な「数値の取り扱い方」を身につけるとともに、計算演習を通じて、化学の「基本的法則・概念に対する理解」を深め、化学の問題を「定量的に扱う能力」を養う。
4) 学科横断グループ演習において,共同作業能力を育成する。
授業の進め方・方法:
前期は1クラスを数班に分けて,4テーマのものづくり実習を体験し,その内容についてPCを用いたプレゼンテーションを行う。後期は1クラスを10班程度に分けて,基礎的な化学実験を行う。実験は簡単な器具で操作も簡単にでき,楽しみながら化学に興味をもってもらうことを目的としている。また,化学分野における数値の取り扱い方に習熟し,化学の基本的事項に関わる量的関係を適切に扱えるようにするため,化学計算演習を行う。さらに,後期に学科横断グループ演習を実施する。
注意点:
・初めて実験を経験する学生も多数いるので安全第一を考え,実験内容を充分に理解し,危険の防止につとめること。
・実験をただ機械的に行うのではなく,どうしてその実験を行なうのかを考え,操作や観察の要点などをよく理解すること。
・演習では,単に与えられた式を使って数値を求めるだけでなく,計算方法の中身に対する理解を常に心がけながら問題に取り組むこと。
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる。その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であることが認められる。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
授業内容や評価方法について理解できる。また、学科目標を理解し,将来の進路について認識を深めることができる。
|
2週 |
ものづくり体験実習①-1 化学計算演習 |
1.セッケンなどの有機化合物をつくることができる。 化学の基本的事項に関わる量的関係を適切に計算できる。
|
3週 |
ものづくり体験実習①-2
|
|
4週 |
ものづくり体験実習②-1 化学計算演習 |
2.水あめをつくることができる。
|
5週 |
ものづくり体験実習②-2 |
|
6週 |
ものづくり体験実習③-1 化学計算演習 |
3.金属の加工,処理,評価方法について理解することができる。
|
7週 |
ものづくり体験実習③-2 |
|
8週 |
ものづくり体験実習④-1 化学計算演習 |
4.植物色素でpH指示薬をつくることができる。
|
2ndQ |
9週 |
ものづくり体験実習④-2 |
|
10週 |
PC導入教育,プレゼンテーション入門・実施 |
PCを使用したプレゼンテーションに必要な知識と技術について理解できる。
|
11週 |
ものづくり体験実習⑤-1 化学計算演習 |
上述の4つのテーマより選択した1つについて、関連した上級実験に取り組み、その内容をまとめることができる。
|
12週 |
ものづくり体験実習⑤-2 |
|
13週 |
ものづくり体験実習⑤-3 化学計算演習 |
|
14週 |
ものづくり体験実習⑤-4 |
|
15週 |
ものづくり体験実習発表 化学計算演習 |
上記で取り組んだ実験成果をプレゼンテーションできる。
|
16週 |
|
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
実験説明 |
実験をただ機械的に行うのではなく,どうしてその実験を行なうのかを考え,操作や観察の要点などをよく理解することの重要性が理解できる。
|
2週 |
基本操作 化学計算演習 |
基本的な器具の取り扱い方と実験操作を身に付けることができる。
|
3週 |
学科横断グループ演習① 化学計算演習 |
学生がチューター役となり前期に受講した体験実習の内容を他学科の学生に教えることができる。
|
4週 |
学科横断グループ演習② 化学計算演習 |
|
5週 |
学科横断グループ演習③ 化学計算演習 |
|
6週 |
学科横断グループ演習④ 化学計算演習 |
|
7週 |
基礎実験① 塩化水素,硫酸,硝酸 化学計算演習 |
強酸の代表的な塩酸,硫酸,硝酸の性質を調べられる。
|
8週 |
基礎実験② 金属イオンの反応 化学計算演習 |
種々の金属イオンの性質を調べられる。例)水酸化物および銅,銀のアンミン錯イオンと硫化物,炎色反応など。
|
4thQ |
9週 |
基礎実験③ 中和滴定 化学計算演習 |
シュウ酸標準溶液によって,水酸化ナトリウム溶液の濃度を求め,次に食酢中の酢酸の濃度を調べることができる。
|
10週 |
基礎実験④ 中和熱の測定 化学計算演習 |
化学反応で発生した熱量を測定し,その結果からへスの法則を導くことができる。
|
11週 |
基礎実験⑤ 化学変化と物質量 化学計算演習 |
化学変化に伴う物質の質量変化が一定割合で起こり,化学反応係数が物質量の比を示すことを確かめられる。
|
12週 |
基礎実験⑥ アルコ-ルの酸化 化学計算演習 |
アルコールを酸化し,その生成物であるアルデヒドの性質について調べられる。
|
13週 |
基礎実験⑦ アンモニアの性質・電気分解 化学計算演習 |
塩化アンモニウムを分解して,アンモニアをつくり,その性質を調べられる。塩化銅(Ⅱ)が水溶液中で銅イオンと塩化物イオンに分かれていることを,電気分解により調べられる。
|
14週 |
基礎実験⑧ pHの測定・アルカリ金属 化学計算演習 |
pH試験紙を用いてpHやモル濃度を測り,モル濃度とpHとの関係を調べられる。アルカリ金属の代表として,ナトリウムの性質を調べられる。
|
15週 |
基礎実験 試験 |
学んだ実験操作や理論を説明出来る。
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。 | 3 | 後10 |
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。 | 3 | 後10 |
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。 | 3 | 後8 |
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。 | 3 | 後8 |
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。 | 3 | 後8 |
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。 | 3 | 後14 |
中和反応がどのような反応であるか説明できる。 | 3 | 後8 |
中和滴定の計算ができる。 | 3 | 後8 |
電気分解反応を説明できる。 | 3 | 後12 |
化学実験 | 化学実験 | 実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。 | 3 | 前1 |
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。 | 3 | 前1 |
測定と測定値の取り扱いができる。 | 3 | 後9 |
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。 | 3 | 後9 |
ガラス器具の取り扱いができる。 | 3 | 前15 |
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。 | 3 | 前15 |
工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 2 | 前15,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 2 | 後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 2 | 後8 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 2 | |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 2 | 後2,後3,後4,後5 |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 2 | 前11,前12,前13 |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 2 | 後2,後3,後4,後5 |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 2 | 後2,後3,後4,後5 |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 2 | 後2,後3,後4,後5 |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 2 | 後2,後3,後4,後5 |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 2 | 後2,後3,後4,後5 |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 2 | 後2,後3,後4,後5 |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 2 | 前1,前14,前15,後1 |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。 | 2 | |