概要:
波動や振動、熱など、「伝わる(伝搬する)」性質をもつ、複雑な物理現象を理解するための数学的な準備と定量的な解釈ができることを目標とする。この講義では、これまで学んだ力学の概念を用いて万有引力を理解することを目指すほか、物体の運動に関わる力学的エネルギーの一つとして熱エネルギーの基本について取り扱う。
授業の進め方・方法:
万有引力の働いている状況における運動や力学的エネルギーを用いた気体分子体を演習問題を豊富に取り入れて理解することを試みる。また、振動が伝搬していく波動についても学ぶ。到達度試験70%、課題・小テスト等30%として評価を行い、総合評価は100点満点として、60点以上を合格とする。
注意点:
「エネルギー物理学Ⅰ」は、2年の春・夏学期に学んだ「力学Ⅱ」と3年の春・夏「エネルギー物理学Ⅱ」を橋渡しする重要な科目である。内容が連続しているので、「力学Ⅱ」の内容の理解が不十分であれば、知識を確固たるものとしておくこと。「力学Ⅱ」よりもさらに内容が抽象的になるため、演習量が学習内容の理解度に大きく寄与する。講義中の演習量だけでは不十分であるため、復習と同時に自ら問題を解く姿勢が重要である。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる. | 2 | 後1,後2 |
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 2 | 後3 |
熱 | 原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。 | 2 | 後4 |
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。 | 2 | 後4 |
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。 | 2 | 後6 |
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。 | 2 | 後6 |
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。 | 2 | 後4 |
気体の内部エネルギーについて説明できる。 | 2 | 後5 |
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。 | 2 | 後6 |
熱機関の熱効率に関する計算ができる。 | 2 | 後7 |
波動 | 波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 2 | 後9 |
横波と縦波の違いについて説明できる。 | 2 | 後9 |
波の重ね合わせの原理について説明できる。 | 2 | 後10 |
波の独立性について説明できる。 | 2 | 後10 |
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。 | 2 | 後10 |
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。 | 2 | 後10 |
ホイヘンスの原理について説明できる。 | 2 | 後11 |
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。 | 2 | 後11 |
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。 | 2 | 後12 |
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。 | 2 | 後12 |
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。 | 2 | 後13 |
自然光と偏光の違いについて説明できる。 | 2 | 後14 |
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。 | 2 | 後14 |
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。 | 2 | 後14 |