分析化学Ⅱ(3106)

科目基礎情報

学校 八戸工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 分析化学Ⅱ(3106)
科目番号 3C32 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位B: 2
開設学科 産業システム工学科マテリアル・バイオ工学コース 対象学年 3
開設期 夏学期(2nd-Q),秋学期(3rd-Q),冬学期(4th-Q) 週時間数 2nd-Q:2 3rd-Q:2 4th-Q:2
教科書/教材 〇基礎教育シリーズ 分析化学 基礎編<第2版>,本水昌二ら,東京教学社/〇教員作成資料
担当教員 小船 茉理奈

到達目標

1.酸塩基反応、錯生成反応、沈殿生成反応における化学平衡について理解し、溶液内の各化学種の種類の判別と濃度が計算できること。
2.物質の分離と濃縮の必要性について理解し、溶媒抽出法、イオン交換法の概略がわかること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1酸塩基平衡、錯生成平衡、沈殿生成平衡における溶液内の各化学種の種類の判別と濃度が計算でき、その応用ができる。酸塩基平衡、錯生成平衡、沈殿生成平衡における溶液内の各化学種の種類がわかり、その濃度が計算できる。酸塩基平衡、錯生成平衡、沈殿生成平衡における溶液内の各化学種の濃度が計算できない。
評価項目2溶媒抽出法、イオン交換法における各化学種の濃度計算や各平衡定数や交換容量などが計算できる。溶媒抽出法、イオン交換法の概略がわかる。溶媒抽出法、イオン交換法の概略が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

ディプロマポリシー DP2 ◎ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 定性分析、定量分析などでは、化学平衡に基づいて操作法や反応条件を最適化していることが多い。化学平衡は分析化学の基礎であり、あらゆる化学領域で考慮しなければいけない重要な概念である。
 本科目では、溶液内の種々の化学平衡を取り上げ、平衡定数の意味を理解し、各化学種の濃度計算などの定量的取り扱い方ができることを目標とする。
授業の進め方・方法:
 酸塩基平衡、錯生成平衡、沈殿生成平衡について、それぞれの平衡定数とそれを使った溶液内の化学種の濃度計算の方法を学ぶ。各平衡における平衡定数の意味や定量分析との関連について説明する。さらに、2相間分配平衡として溶媒抽出法、イオン交換法について概略を学ぶ。
 到達度試験90%(夏学期30%,秋学期30%,冬学期30%)、小テスト・課題等10%の割合で評価する。総合評価は100点満点として60点以上を合格とする。補充試験の場合は、試験の点数のみで合格となる。答案などは採点後返却し、到達度を確認させる。
注意点:
pHや反応物・生成物の平衡濃度の算出などの計算が多いため、電卓を常に用意しておくこと。
四則演算はもとより、2次式の解法や指数対数計算などはできるように復習しておくこと。
電卓の使い方に慣れること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
2ndQ
9週 分析化学とは
水溶液と化学平衡(化学反応と化学平衡)
分析化学の必要性と重要性を理解し、分析化学の学習に必要な基本的事項を復習する。
化学平衡、可逆・不可逆反応が理解でき、与えられた反応条件から平衡定数を求めることができる。
10週 水溶液と化学平衡(活量とイオン強度) 溶液のイオン強度と活量係数との関係について理解できる。
11週 水溶液と化学平衡(種々の平衡反応) 電離平衡と加水分解の概略がわかる。
緩衝液の役割について理解でき、pHとの関係を説明できる。
12週 酸塩基反応(酸および塩基の定義) アレニウスの定義、ブレンステッド-ローリーの定義、ルイスの定義それぞれについて理解でき、それらの違いを説明できる。
13週 酸塩基反応(水溶液における酸塩基反応) 酸および塩基の強さと解離定数の意味について理解できる。
14週 酸塩基反応(酸塩基反応の予測とpH計算) 酸塩基反応において、解離定数と濃度との関係について理解でき、pHの値を計算により求めることができる。
15週 夏学期到達度試験
16週 答案返却とまとめ
後期
3rdQ
1週 酸塩基反応(酸塩基化学種の分布) モノプロトン酸およびポリプロトン酸の存在率とpHの関係について理解でき、化学種の存在率とpHを計算により求め、分布図を作成できる。
2週 酸塩基反応(酸塩基滴定および滴定曲線) 各種条件での酸塩基滴定における溶液のpHを計算から求め、酸塩基滴定曲線を作図できる。
酸塩基滴定における濃度の求め方、酸塩基指示薬による終点の決定法を復習する。
3週 錯体生成反応(錯体とキレート) 金属の配位数と錯体の構造、配位子の分類について理解できる。
4週 錯体生成反応(錯体生成反応の平衡論) 逐次生成定数と全生成定数について理解でき、それらを計算から求めることができる。
5週 錯体生成反応(錯体生成反応の分析化学的応用) 錯体生成反応の分析化学的応用の概略がわかる。
6週 沈殿生成反応(沈殿の生成と溶解)①水酸化物の沈殿生成 沈殿の溶解平衡について理解でき、溶液中の溶解度・溶解度積を計算から求めることができる。
7週 秋学期到達度試験
8週 答案返却とまとめ
4thQ
9週 沈殿生成反応(沈殿の生成と溶解)②硫化物の沈殿生成 沈殿の溶解平衡について理解でき、溶液中の溶解度・溶解度積を計算から求めることができる。
10週 沈殿生成反応(沈殿の生成過程) 沈殿生成に及ぼす諸因子について理解でき、共通イオン効果やpHの影響を加味して溶液中の溶解度・溶解度積を計算から求めることができる。
11週 物質の分離と濃縮(溶媒抽出)① 二液相の分配平衡について理解でき、分配比や抽出百分率を計算により求めることができる。
12週 物質の分離と濃縮(溶媒抽出)② 二液相の分配平衡について理解でき、分配比や抽出百分率を計算により求めることができる。
13週 物質の分離と濃縮(イオン交換)① イオン交換平衡およびイオン交換体の種類がわかる。
14週 物質の分離と濃縮(イオン交換)② イオン交換平衡およびイオン交換体の種類がわかる。
15週 冬学期到達度試験
16週 答案返却とまとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。4
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。4
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野分析化学電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。4前10,前11
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4後6,後9,後10
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4前13
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4前14,後1,後2
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。4前11
錯体の生成について説明できる。4後3,後4,後5
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。4後13,後14
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。4後11,後12

評価割合

到達度試験小テスト・課題合計
総合評価割合9010100
基礎的能力000
専門的能力9010100
分野横断的能力000