概要:
物理化学は無機化学、有機化学、化学工学などの広い化学分野のもとになっている物理的な原理を取り扱う学問であり、物質の構造、性質および化学変化という三つの側面から物質を考える。物理化学ⅠAでは、主として気体の性質および熱力学の基礎に関する内容を学習する。
授業の進め方・方法:
物理化学ⅠAでは、主として気体の法則の基礎および熱力学の基礎(第一法則)を学ぶ。気体では一般化学で用いられる理想気体について学び、続いて実在気体について学ぶ。気体の様々な性質、気体分子運動論が主な項目となる。熱力学では、第一法則やエネルギーに関する計算を学ぶ。
到達度試験80%、小テスト・課題など20%として評価を行い、総合評価は100点満点として、60点以上を合格とする。答案は採点後返却し、達成度を伝達する。
到達度試験で30点未満の場合は補充試験を実施しない。
注意点:
数学と物理の基礎的知識が必要とされる。数学では少なくとも指数関数、対数関数などの関数の知識と微分積分学、物理では物理量の単位、エネルギー量、運動の法則など質点の力学に関する基礎を理解していることが必要である。関数電卓を常時用意すること。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。 | 4 | |
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。 | 3 | |
熱 | 原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。 | 3 | |
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。 | 3 | |
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。 | 3 | |
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。 | 3 | |
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。 | 3 | |
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。 | 3 | |
気体の内部エネルギーについて説明できる。 | 3 | |
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。 | 3 | |
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。 | 3 | |
熱機関の熱効率に関する計算ができる。 | 3 | |
化学(一般) | 化学(一般) | ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。 | 4 | |
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。 | 4 | |
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。 | 4 | |
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。 | 4 | |
気体の体積と物質量の関係を説明できる。 | 4 | |
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。 | 4 | |
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。 | 4 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。 | 4 | 前1,前2,前8 |
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。 | 4 | 前2 |
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。 | 4 | 前3 |
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。 | 4 | 前1,前3 |
混合気体の分圧の計算ができる。 | 4 | 前1 |
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。 | 4 | |
エンタルピーの温度依存性を計算できる。 | 4 | |
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |