概要:
【開講学期】夏学期週2時間、秋学期週2時間、冬学期週2時間
化学工学はこれまでに修得した無機・有機・分析化学や物理化学・生物化学を駆使して、工業へ応用するための学術分野である。本講義では、3期にわたって講義を行うが、1期目において特に単位・次元・濃度・物質収支に重点を置く。2期目においては、反応を伴う物質収支とエネルギー収支を取り扱い、最終的には燃焼を含む化学反応やリサイクルを含む物質収支を自在に操れることを目標とする。3期目の講義では、流動に着目して講義する。特に、流体の輸送にかかわるエネルギー収支を扱えることを目標とする。
授業の進め方・方法:
化学プロセスは流動・伝熱・物質移動・分離など、あらゆる単位操作の集合として体系化されており、本講義では単位操作を理解する前に重要となる、数値・単位・次元について講義し、物質収支・エネルギー収支・流動へと展開する。講義は演習を交えながら進める。成績は到達度試験70%、課題・宿題を30%として評価を行い、総合評価を100点満点として、60点以上を合格とする。答案は採点後返却し、達成度を伝達する。
注意点:
授業中に演習問題を出題し、宿題とするので電卓は必携のこと。課題は次の講義の最初に回収し、直後に解説するため、解説した後に提出された課題は受け取らないので注意すること。自学自習の成果は課題および到達度試験によって評価する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
2ndQ |
9週 |
序論 化学工学とその基礎 |
化学工学の概要・目的・体系について理解する。
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10週 |
単位
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単位と次元の違いを理解する。 単位のある数値の四則演算ができる。 質量、長さ、時間などをSI単位を使って表現できる。
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11週 |
有効数字・次元解析・組成と濃度
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次元解析、有効数字、単位換算を適切に使用できる。 比重から密度、モル分率から重量分率(あるいはその逆)へ換算できる。
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12週 |
温度・圧力、物質収支の基礎
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4つの温度スケールを換算できる。 絶対と相対の温度と圧力を説明できる(絶対温度、ゲージ圧など) 対象系における開放・閉鎖系、定常・非定常状態を説明できる。
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13週 |
物質収支の取り方 |
物質収支問題を解く9つのステップを理解できる。 自由度の解析を理解して、適用できる。
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14週 |
物質収支の解き方(1):理論 |
物質収支問題の問題文を理解し、解法を整理できる。 物質収支問題を解く9つのステップを適用できる。
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15週 |
物質収支の解き方(2):実習 (復習) |
物質収支問題の問題文を理解し、解法を整理できる。 物質収支問題を解く9つのステップを適用できる。
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16週 |
中間試験 答案返却 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
化学反応の量論・物質収支 |
転化率・選択率・収率・反応進行度を説明できる。 反応を伴う物質収支問題を解くことができる。
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2週 |
燃焼反応の物質収支 |
煙道ガス、Orsat分析、乾燥基準、質量基準、理論(導入)酸素(空気)量を理解している。燃焼を伴う物質収支問題を解くことができる。
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3週 |
物理的過程のエネルギー収支 |
反応を伴わないエネルギー収支、エンタルピー収支を理解できる。 蒸発熱や融解熱と比熱を使って、エンタルピー変化を計算できる。
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4週 |
化学反応を伴う過程のエネルギー収支(1)
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反応を伴う系における物質収支とエネルギー収支を計算できる。
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5週 |
化学反応を伴う過程のエネルギー収支(2) |
反応を伴う系における物質収支とエネルギー収支を計算できる。
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6週 |
複数単位操作の物質収支
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複数単位操作を対象とする系の物質収支式を立て、解くことができる。 リサイクル、バイパス、パージを理解し、目的を説明できる。
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7週 |
復習 |
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8週 |
中間試験 答案返却
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4thQ |
9週 |
流体の圧縮性と粘性
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用語の理解:圧縮性、粘性、質量流量、体積流量、流速(線速度)、Newtonの粘性法則、Reynolds数
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10週 |
円管内の流れ |
層流・乱流における円管内の速度分布を知る。円管内の摩擦を知り、摩擦損失を計算できる。
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11週 |
流れ系のエネルギー収支 |
流れ系のエネルギー収支式を理解できる。 拡大・縮小管、継手やバルブの損失係数・相当長さから摩擦損失を計算できる。
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12週 |
流体輸送の動力と圧力・流速・流量の計測 |
流体輸送機のエネルギー収支を計算できる。 圧力・流速の計測に用いる機器を説明できる。
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13週 |
流体輸送と流体混合 |
絞り流量計の流量を計算できる。 攪拌における動力数、所要動力、攪拌Reynolds数を計算できる。
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14週 |
充填層の流れ |
充填層の用途を知り、Kozeny-Carmanの式から、圧力損失、流速、比表面積を計算できる。
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15週 |
復習 |
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16週 |
到達度試験 答案返却とまとめ |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。 | 4 | |
分数式の加減乗除の計算ができる。 | 4 | |
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。 | 4 | |
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。 | 4 | |
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。 | 4 | |
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。 | 4 | |
簡単な連立方程式を解くことができる。 | 4 | |
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。 | 4 | |
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。 | 4 | |
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。 | 3 | |
自然科学 | 物理 | 熱 | 物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。 | 4 | 後4,後5 |
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。 | 4 | 後3 |
化学(一般) | 化学(一般) | アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。 | 4 | 前10,前11,前12 |
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。 | 4 | 前10,前12,後1 |
気体の体積と物質量の関係を説明できる。 | 4 | 前11,前12 |
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。 | 4 | 後1 |
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。 | 4 | 後1,後2,後3,後4,後5 |
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。 | 4 | 前11,前12 |
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。 | 4 | 前11,前12 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。 | 3 | 後3,後4,後5 |
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。 | 3 | 後3,後4,後5 |
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。 | 3 | 後3,後4 |
エンタルピーの温度依存性を計算できる。 | 3 | 後3 |
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。 | 3 | 後3 |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。 | 3 | 後3 |
化学工学 | SI単位への単位換算ができる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12 |
物質の流れと物質収支についての計算ができる。 | 4 | 前13,前14,前15,後11,後12 |
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。 | 4 | 前12,前13,前14,前15 |
流れの物質収支の計算ができる。 | 2 | 後10,後11,後12 |
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。 | 2 | 前12,前13,前15 |