概要:
マテリアル・バイオ工学コースでは材料化学が重要なテーマである。高分子材料化学の基礎としての本科目では、巨大分子である高分子の特徴を、合成反応および構造と物性の面から総括的に理解することを目標とする。
【開講学期】夏学期 週2時間
授業の進め方・方法:
1.高分子の概念、分子特性、物質特性を説明し、高分子の特徴・本質の概略を明らかにする。
2.高分子合成反応を連鎖重合と逐次重合に大別し、前者については、ラジカル重合、イオン重合、立体規則性重合等、後者については重縮合、付加縮合等を取り扱い、分子設計・材料設計の基礎を解説する。
3.到達度試験を100%として評価を行い、総合評価は100点満点として、60点以上を合格とする。
答案は採点後返却し、達成度を伝達する。
注意点:
1.高分子は巨大分子であり、全ての特徴はそこから発することを、低分子と比較して理解することが大切である。
2.高分子の合成を有機化学の知識で理解するとともに、高分子合成特有の視点も必要であると理解すること。
3.構造・物性面の理解については、物理化学や物理学の基礎が必要となる。一方、本科目は専門の基幹科目であるとともに、自然科学的基礎としての性格を持つことにも留意すること。
4.材料は種々の工学分野と広く係わる。それらと関連付けて知識を深めること、および高分子の実用面にも関心を払うこと。
5.自学自習の成果は到達度試験にて評価する。
6.補充試験を実施した場合、成績は補充試験100%とする。60点以上を合格とし、60点として評価する。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 重力、抗力、張力、圧力について説明できる。 | 3 | |
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 4 | |
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 4 | |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 4 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 4 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | |
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。 | 4 | |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 4 | |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 4 | |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 4 | |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 4 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 4 | |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 4 | |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 4 | |
高分子化合物がどのようなものか説明できる。 | 4 | |
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。 | 4 | |
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。 | 4 | |
高分子の熱的性質を説明できる。 | 4 | |
重合反応について説明できる。 | 4 | |
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。 | 4 | |
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。 | 4 | |
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。 | 4 | |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 4 | |
反応機構に基づき、生成物が予測できる。 | 4 | |