生体代謝化学(8915)

科目基礎情報

学校 八戸工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 生体代謝化学(8915)
科目番号 0010 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 産業システム工学専攻マテリアル・バイオ工学コース 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 基礎の生化学 (東京化学同人)、教員配布資料
担当教員 山本 歩

到達目標

1.種々の生体分子(糖質、タンパク質、核酸など)の特徴を理解し説明できる。
2.解糖系、TCAサイクル、電子伝達系によるエネルギー代謝を理解し説明できる。
3.ペントース燐酸経路と糖の代謝を理解し説明できる。
4.光合成の概要を理解し説明できる。
5.脂質代謝について理解し説明できる。
6.窒素サイクル、硫黄サイクルについて理解し説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
エネルギー代謝(解糖系・TCA回路・電子伝達系・脂質代謝など)について理解し説明できる。解糖系・TCA回路・電子伝達系・β酸化についてよく理解しATP生成量の計算ができ、かつ代謝経路の概要を説明できる。解糖系・TCA回路・電子伝達系・β酸化について部分的に理解、代謝経路の概要を説明できる。解糖系・TCA回路・電子伝達系・β酸化について理解できず、説明もできない。
アミノ酸の代謝について理解し説明できる。各代謝中間産物からのアミノ酸の生成やアミノ酸の分解産物の利用についてよく理解し、与えられた選択肢の中から適切な語句を選択でき説明することができる。各代謝中間産物からのアミノ酸の生成やアミノ酸の分解産物の利用について部分的に理解し、与えられた選択肢の中から適切な語句を選択できる。アミノ酸の生成やアミノ酸の分解産物の利用について理解できず、与えられた選択肢の中から適切な語句も選択できない。
窒素同化・窒素固定について理解し説明できる。窒素循環の全体をよく理解し、与えられた選択肢の中から適切な語句を選択し説明できる。窒素循環の全体を部分的に理解し、与えられた選択肢の中から適切な語句を選択できる。窒素循環の全体を理解できず、与えられた選択肢の中から適切な語句を選択できない。

学科の到達目標項目との関係

ディプロマポリシー DP3 ◎ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目は前期週1時間開講する。生体代謝化学とは生命現象を化学で説明する学問であり、生体物質の構造、代謝と生合成に関する分野が中心的な内容である。本授業では各種生体物質の生体内での代謝経路の概要を把握し説明できることを目標とする。
授業の進め方・方法:
生体物質の構造およびそれらの代謝経路を解説する。授業は主に講義形式により知識を修得するが、グループワークによる調査、発表等も実施することで理解度を深めるように進めていく。
注意点:
代謝を体内物質とその相互の反応の面から理解していくことが重要である。よって、常に構造式で代謝中間物質を理解し、そのためには有機化学の授業内容を十分に理解すること。一つ一つの反応も重要であるが、それ以上に代謝系全体の流れ、一つ一つの反応におけるエネルギー収支、生体触媒としての酵素の構造と役割を十分に理解すること。成績は到達度試験80%、課題・宿題を20%として評価を行い、総合評価を100点満点として、60点以上を合格とする。答案は採点後返却し、達成度を伝達する。総合評価が60点未満の場合、補充試験の実施を行うが、その場合、補充試験成績80点以上を合格とし総合評価を60点とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生体分子の基礎① 糖質、アミノ酸、タンパク質、核酸、脂質、ビタミンの種類や基本構造などを学ぶ。
2週 生体分子の基礎➁ 糖質、アミノ酸、タンパク質、核酸、脂質、ビタミンの種類や基本構造などを学ぶ。
3週 解糖系① 解糖系に関わる酵素やATP生成などについて学ぶ。
4週 解糖系② 解糖系に関わる酵素やATP生成などについて学ぶ。
5週 クエン酸回路・電子伝達系① ピルベートデヒドロゲナーゼ複合体を介したTCA回路への導入、TCA回路の代謝、さらに電子伝達系によるATP生成を学ぶ。
6週 クエン酸回路・電子伝達系② ピルベートデヒドロゲナーゼ複合体を介したTCA回路への導入、TCA回路の代謝、さらに電子伝達系によるATP生成を学ぶ。
7週 ペントースリン酸経路 ペントースリン酸経路の概要を学ぶ。
8週 脂質の代謝① 様々な脂質のβ酸化を学ぶ。
2ndQ
9週 脂質の代謝➁ 様々な脂質のβ酸化を学ぶ。
10週 光合成① 光合成に関わる色素や反応経路を学ぶ。
11週 光合成② 光合成に関わる色素や反応経路を学ぶ。
12週 窒素代謝 窒素同化や窒素固定などの窒素循環の全体を学ぶ。
13週 硫黄代謝 窒素同化や窒素固定などの窒素循環の全体を学ぶ。
14週 アミノ酸生合成等の様々な代謝経路 アミノ酸や核酸の様々な生成経路等について学ぶ。
15週 期末試験 期末試験により習得度を確認する。
16週 期末試験の答案返却とまとめ 期末試験の答案解説および総まとめにより理解度を深める。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。5前3
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。5前3
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。5前9
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。5前1
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。5前1
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。5前1
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。5前1
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。5前1
単糖と多糖の生物機能を説明できる。5前1
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。5前1
グリコシド結合を説明できる。5前1
多糖の例を説明できる。5前1
脂質の機能を複数あげることができる。5前2
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。5前2
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。5前2
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。5前2
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。5前2
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。5前2
タンパク質の高次構造について説明できる。5前2
ヌクレオチドの構造を説明できる。5前2
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。5前2
DNAの半保存的複製を説明できる。5前2
RNAの種類と働きを列記できる。5前2
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。5前2
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。5前2
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。5前2
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。5前2
解糖系の概要を説明できる。5前3
クエン酸回路の概要を説明できる。5前3
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。5前4
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。5前5,前6
各種の光合成色素の働きを説明できる。5前9
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。5前9,前10
炭酸固定の過程を説明できる。5前11,前12,前13,前14

評価割合

試験発表・課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力80200000100
分野横断的能力0000000