分析化学特論(8916)

科目基礎情報

学校 八戸工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 分析化学特論(8916)
科目番号 0072 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 産業システム工学専攻マテリアル・バイオ工学コース 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 教員作成資料
担当教員 中村 重人

到達目標

1.金属錯体の構造や結合理論から、磁性、光吸収、安定度などとの関係が理解できる。
2.液-液間や固-液間の物質の分配を用いた分離濃縮法の理論と応用が理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1金属錯体の構造や結合理論から、磁性の計算や分光化学系列などの説明ができる。金属錯体の構造や結合理論から、磁性、光吸収、安定度などとの関係が理解できる。金属錯体の構造や結合理論の理解が不十分である。磁性、光吸収、安定度などとの関係が理解できない。
評価項目2液-液間や固-液間の物質の分配を用いた分離濃縮法の理論と応用が理解でき、実際の分離への方法が説明できる。液-液間や固-液間の物質の分配を用いた分離濃縮法の理論と応用が理解できる。液-液間や固-液間の物質の分配を用いた分離濃縮法の理論が理解できない。
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 分析化学において物質の分離や濃縮は重要なテーマであり、種々の方法がある。本科目では、一相内での分離に使われる金属錯体、および二相間での物質の移動に基づく分離法(溶媒抽出法等)について取り上げ、その基礎理論や応用について学ぶ。なお、金属錯体は、分離、マスキング、検出など分析化学での利用だけでなく、工業化学や材料化学における触媒や中間体、生命科学においても酵素等で重要な役割を担っていることから、結合理論など基礎的事項から学ぶ。
授業の進め方・方法:
 前半は、金属錯体の命名法、立体化学、結合に関する理論や諸物性(磁性、光吸収など)、錯体生成のしやすさについて学ぶ。後半は二相間分配に基づく分離濃縮法として重要な溶媒抽出法、固相抽出法、イオン交換法についてその理論と実際を学ぶ。演習問題を多く取り入れて、理解を深める。
注意点:
 本科の「無機化学」、「分析化学」において学んだことが基礎となる。量子化学、溶液化学などの物理化学、分析化学の知識が必要となる。分配平衡の解析など計算を用いた演習問題も行うので、電卓を用意すること。試験、小テストなどは返却し模範解答するので、自分の到達度を把握しさらに勉強すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 金属錯体の基礎、原子軌道、酸・塩基 有機配位子における置換基による電子の吸引性、供与性に基づく、プロトンとの親和性や金属との結合力の関係が説明できる。HSAB則について説明でき、酸・塩基の結合力の推定に応用できる。
2週 金属錯体の命名法 単純な錯体の化学式、名称(英語名、日本語名)が書ける。
3週 錯体の異性 錯体の幾何異性体、光学異性体などの異性体を描ける。
4週 結晶場理論、錯体の磁性 結晶場理論から導かれる、正八面体型、正四面体型、正方平面型錯体におけるd軌道の分裂が描ける。正八面体型錯体において、任意のd電子の数における高スピン型、低スピン型錯体の電子配置が描け、結晶場安定化エネルギー、不対電子の数が計算できる。
5週 分子軌道法、吸収スペクトル 配位子における「分光化学系列」とは何か、理解している。遷移金属化合物の発色の原因(d-d遷移、CT遷移、原子価間遷移、配位子の特性吸収)が説明できる。
6週 錯体の安定度 Irving-Williams系列とは何か、またなぜそのような順番になるか説明できる。Jahn-Teller効果とは何か説明できる。
7週 演習、中間試験
8週 溶媒抽出法(分配定数、分配比、有機酸の分配平衡) 溶媒抽出における、分配比と抽出率の定義がわかり、水相と有機相中の目的物質の濃度から計算できる。酸解離やプロトン化を行う有機化合物の分配挙動を説明できる。
2ndQ
9週 溶媒抽出法(金属イオンの抽出平衡) 金属イオンの抽出における抽出定数を求めたり、抽出定数から分配比を計算できる。
10週 溶媒抽出法(抽出で用いられる操作) 協同効果抽出、イオン対抽出とは何か説明できる。
11週 固相抽出法 固相抽出がどのようなものか説明できる。
12週 イオン交換法(交換容量と選択係数) イオン交換樹脂の交換容量と選択係数についての計算ができる。
13週 イオン交換法(イオンの相互分離) イオン交換樹脂を用いた分離について説明できる。
14週 イオン交換法(その他のイオン交換体) 種々のイオン交換体について説明できる。
15週 期末試験
16週 期末試験の答案返却とまとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力00
専門的能力100100
分野横断的能力00