本教科は、建設学の主要な分野の応用教科である。用語の理解、基礎的な理論・計算が理解できること。基礎的な部材の設計ができること。特に鋼の性質、強度、荷重とその制御対策、接合法を理解する。座屈を防止するための断面の設計計算ができる。具体的には、以下に示すとおりである。
1.鋼構造物(鋼橋・鉄骨構造)の代表的な構造形式と特徴・構成を説明できる。 2.鋼構造物に作用する荷重の種類とその考え方を理解している。
3.許容応力度計算による簡単な鋼部材の応力計算と安全性の検証ができる。 4.簡単な継手設計とRC床版の設計曲げモーメント計算ができる。
5鋼部材の製作、検査の方法および接合法について説明できる。
6.プレートガーダー橋の基本的な断面設計を行い応力照査を行うことができる。
概要:
鋼構造は、コンクリ-ト構造とともに土木・建築構造物の双璧をなす。特に我が国では、諸外国と比較して鋼構造が使われる機会が比較的多い。したがって建設技術者にとって鋼構造に関する基礎知識は欠かすことができない。本講義では、建設構造物において代表的な橋梁をケ-ススタディの対象として取り扱う。また、鋼を考えたときさまざまな構造形式がもつ力学的意味、その特性を明らかにし、何を考えて鋼構造の設計を行えばよいかを考える。特に寒冷地における鋼種選定、施工法を修得することを目標とする。
授業の進め方・方法:
橋構造を例として鋼構造の特性・設計・建設・保全の基礎を学ぶ。つぎに橋のコンセプトを具体化する上で重要な設計方法を学ぶ。特に鋼構造を対象として荷重に対する橋構造の応答計算法および材料強度がいかにして決定されるべきかとその安全性の評価方法を学ぶ。
注意点:
主要な公式についてその根拠を理解し、実際の構造物の設計にどのように応用できるかに留意して履修することが必要である。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 構造 | 断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 4 | |
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。 | 4 | |
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。 | 4 | |
トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。 | 3 | |
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。 | 3 | |
影響線を利用して、支点反力や断面力を計算できる。 | 3 | |
影響線を応用して、与えられた荷重に対する支点反力や断面力を計算できる。 | 3 | |
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。 | 3 | |
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。 | 3 | |
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。 | 3 | |
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。 | 3 | |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。 | 3 | |
仮想仕事の原理を用いた静定の解法を説明できる。 | 3 | |
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。 | 4 | |
重ね合わせの原理を用いた不静定構造物の構造解析法を説明できる。 | 4 | |
応力法と変位法による不静定構造物の解法を説明できる。 | 4 | |
鋼構造物の種類、特徴について、説明できる。 | 4 | |
橋の構成、分類について、説明できる。 | 3 | |
橋梁に作用する荷重の分類(例、死荷重、活荷重)を説明できる。 | 3 | |
各種示方書に基づく設計法(許容応力度、終局状態等)の概要を説明でき、安全率、許容応力度などについて説明できる。 | 4 | |
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。 | 3 | |
接合の定義・機能・種類、溶接と高力ボルト接合について、説明できる。 | 3 | |
鋼桁橋(プレートガーダー橋)の設計の概要、特徴、手順について、説明できる。 | 3 | |