河川・海岸工学(4354)

科目基礎情報

学校 八戸工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 河川・海岸工学(4354)
科目番号 5Z29 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 産業システム工学科環境都市・建築デザインコース 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 環境・都市システム系 教科書シリーズ9 海岸工学、平山秀夫他3名、コロナ社/河川工学、風間聡編著、理工図書
担当教員 藤原 広和,南 將人

到達目標

1)海岸工学分野:海岸付近の波浪と波力に関する用語、防波堤の安定計算を正しく理解し,それらの大きさを正確に求める知識を習得する事が目標である。
2)河川工学分野:河川工学に関する用語および河川の基本的特徴を理解し、説明できること、降水、蒸発、河川、湖沼、地下水といった水文物理過程、また、水文予測手法を理解することが目標となる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
波の基本諸元波長等の海の基本的な特性量が計算できる海の基本的な量を概ね理解し、計算できる海の基本的な量を理解できない
波力と防波堤の安定性波力と防波堤の安定性の説明と計算ができる波力算定と安定性の計算方法を概ね理解できる波力と防波堤の安定性を理解できない
河川の地形学河川の管理と整備、分類と流域について説明できる河川の管理と整備、分類と流域について概ね説明できる河川の管理と整備、分類と流域について説明できない
水の循環水の循環、我が国の降雨特性について説明できる。水の循環、我が国の降雨特性について概ね説明できる。水の循環、我が国の降雨特性について説明できない
河川と治水水文量の観測方法、河道およびダムによる洪水対策、降水量から流出量を計算する方法を説明できる水文量の観測方法、河道およびダムによる洪水対策、降水量から流出量を計算する方法を概ね説明できる水文量の観測方法、河道およびダムによる洪水対策、降水量から流出量を計算する方法を説明できない
河川と利水日本の水資源の現況を説明できる日本の水資源の現況を概ね説明できる日本の水資源の現況を説明できない
河川構造物河川堤防・護岸・水制の役割について説明できる河川堤防・護岸・水制の役割について概ね説明できる河川堤防・護岸・水制の役割について説明できない

学科の到達目標項目との関係

ディプロマポリシー DP3 ◎ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目は、土木工学の主要分野の1つである水工水理学の河川工学分野と海岸工学分野を学ぶ。
1)海岸工学分野:港湾・海岸施設を含めた陸地へ絶えず押し寄せる波の力をいかに受け止めるかを研究する学問である。海岸付近に発生する砂浜の欠損や防波堤の設計外力の評価等を含め、第一に海面の水位変動を解明する事が必要である。本教科は、海岸に発生する様々な現象や港湾構造物の設計の際に重要な波浪および海浜流の諸元に関する基礎知識の習得を目標としている。
 この分野は企業で海岸の波浪変形や防波堤に関する設計・調査業務を担当していた教員が、その経験を活かし設計波推算や波力算定等について講義形式で授業を行うものである。
2)河川工学分野:河川の形態と性質を踏まえ、降水、蒸発、河川、湖沼といった水文物理過程を主に学び、その予測手法について解説する。流量を安全に流すための河川構造物を設計するための基礎知識となる。今後の設計等で生かせるように、雨量から流出解析を行い、河川流量を求める方法を理解できるようになることが目標である。
授業の進め方・方法:
1)海岸工学分野
海に囲まれた日本では、台風(storm)や高潮(storm surge)等による被災、津波(Tsunami)による大災害、激しい海岸侵食(erosion)に悩まされている。また、海と陸の接点には,港(port)が建設され、現在では海陸交通の結節点として人・物・文化の交流の場となり、膨大な物資の流通拠点(distribution position)となっている。
本授業では、我が国を取り巻く海岸の現状や海象条件、港湾の重要性を説明した後、特に重要な海の波と流れ場の諸性質と大きさの評価方法と、港湾施設で重要な防波堤に作用する波力を算定方法について解説する。
2)河川工学分野
河川の一般的特徴について説明し、降水、蒸発、河川、湖沼といった水文物理過程を主に学び、その予測手法について解説する(水文量の統計的取り扱いも含む)。また、青森県や東北地方の河川や湖沼、降水量についても学習し、適宜演習を取り入れ、理解を深める。この科目は一部実務経験を活かした内容が含まれている。
注意点:
授業の進行・理解度を把握するために、ノートを集めることがある。授業内容によっては、コンパスや分度器などの文房具が必要となるので、適宜指導教員の指示に従うこと。また、電卓は必携である。補充試験は原則実施しない。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 海洋と海岸(ocean and coast)および波に関する記号の定義と基本的性質(fundamental character and mark) 波の基本的性質が理解できる
2週 波の分類と特徴(wave classification and characteristic)と分散関係式
津波と高潮等の海岸災害
波の分類を理解し、分散関係式で波の波長を計算できる。また、周期による分類や津波等の海岸災害が理解できる
3週 波長算定(wave length)と水粒子流速と軌跡の算定(particle velocity and trajectory) 相対水深によって波を分類し、それらの特性を理解し、水粒子の軌跡を計算できる
4週 動水圧分布(hydrodynamic pressure)と波浪変形の種類(deformation and feature) 相対水深によって波を分類し、波動成分の取り扱いを理解できる。また、変形の種類を理解できる
5週 水深変化と構造物に伴う現象
ケーソンに作用する波力と安定性の検討
浅海域における8種類の波浪変形を理解できる
ケーソンに作用す波力と安定性を計算できる
6週 河口と海岸付近の流れと洪水対策
水の循環と内水処理対策
海浜流や河口付近の流れと河川および海岸工学における洪水対策
7週 堤防、護岸、水制、導流堤の役割 河川および海岸河口付近に設置される各種構造物の特徴と役割
8週 到達度試験(答案返却とまとめ)
間違った問題の正答を算出する事ができる
2ndQ
9週 河川の管理と整備、河川の分類と流域 河川の管理と整備、河川の分類と流域について説明できる
10週 水の循環、雨が降る仕組み、我が国の降雨特性 水の循環、雨が降る仕組み、我が国の降雨特性について説明できる
11週 水文量の観測方法、降水の種類・特性、確率年の概念 水文量の観測方法、降水の種類・特性、確率年の概念について説明できる
12週 降水とその評価(流域平均雨量、正規分布) 流域平均雨量、正規分布について説明できる
13週 降水とその評価(対数正規分布、Hazenプロット) 対数正規分布、Hazenプロットについて説明できる
14週 流出計算(合理式、単位図法) 合理式、単位図法を理解し、降水量から流出量を計算できる
15週 流出計算(流出関数、貯留関数、タンクモデル) 流出関数、貯留関数、タンクモデルを理解し説明できる
16週 到達度試験(答案返却とまとめ)

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野水理河川の分類と流域について、説明できる。3
河川の管理と整備について、説明できる。3
水の循環、雨が降る仕組み、我が国の降雨特性について、説明できる。3
水文量の観測方法を説明でき、流域平均雨量を計算できる。3
河道およびダムによる洪水対策を説明できる。3
都市型水害と内水処理の対策について、説明できる。3
日本の水資源の現況について、説明できる。3
河川堤防・護岸・水制の役割について、説明できる。3
津波と高潮の特徴を説明できる。3
波の基本的性質を説明できる。3

評価割合

到達度試験小テスト・演習課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力401050
専門的能力401050