概要:
【開講学期】後期週2時間
近年、歴史学や人文社会科学系学問においても職業的レリバンス(さまざまな職種において応用・実践の可能性)が強く求められるようになった。その最たる例が、中等教育における「歴史総合」の導入である。では、こうしたレリバンスが求められている現代社会において、歴史学はどのように発展してきたのだろうか。本講座では、歴史学がどのように発展してきたのかについて理解する。同時に授業で得た知識を下地に、現代社会を人文社会科学系学問がどのように認識しているのかについて理解を深める。
授業の進め方・方法:
・授業は講義形式・ディスカッション・学生発表の3つの形式をとる。週の前半は講義とディスカッションを行い、後半で学生発表を行う。
・授業方法はパワーポイントで進める。また、学生には教員より授業プリントを配布する。
・後半の発表については、学生によるスライドを用いた発表を行う(各自1回ずつ)。
・総合評価は授業終了後のレポート(50%)、学生発表(30%)、授業課題など(20%)で行う。
・総合評価を100点満点とし、60点以上を合格とする。
注意点:
・歴史学の流れについて、ディベートやディスカッションなどを交えることもあるので、積極的に意見を述べることを強く求める。
・授業で用いた資料・概説書については適宜提示するので、授業理解のために積極的に確認すること。
・人文社会科学は書物を読んだり、積極的な社会とのコミュニケーションが求められる。そのため主体的かつ能動的に情報を収集する意識を持つこと。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス |
授業の目的・展開・学生発表などの諸々の連絡・決定事項について確認する。
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2週 |
現在の歴史教育-高等教育における歴史と中等教育の歴史の違い |
中学までに学んできた歴史と歴史学の違いとは何かを理解することができる。
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3週 |
歴史叙述とは何か-ランケ史学までの歴史叙述の流れー |
19世紀までの歴史叙述の流れについて理解する。
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4週 |
19世紀の歴史学の成立と実証主義の問題―ドイツ歴史学とナショナル・ヒストリー― |
19世紀の歴史学の成立と実証主義の問題について理解することができる。
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5週 |
アナール学派の成立と近代世界システム論 |
ランケ史学の限界と歴史学の新たなる発展について理解する。
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6週 |
1950~1970年代までの日本歴史学の展開 |
第二次世界大戦以降の日本の歴史学の展開について理解する。
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7週 |
グローバリゼーションと歴史学① ―現在の歴史学の4つのパラダイムシフトー |
1970年代以降歴史学はどのようなアプローチを示してきたかについて理解する。
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8週 |
グローバリゼーションと歴史学② -グローバリゼーションは歴史学にどのような影響を与えたのか?― |
グローバリゼーションが歴史学の4つのパラダイム(特に経済史的側面)に与えた影響について理解する。
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4thQ |
9週 |
言語論的展開のエフェクト ―特に、ジェンダー史の分野から― |
言語論的展開に対して、歴史家がどのような態度をとったのかについて理解する。
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10週 |
ポスト・コロニアリズム論 -「植民地主義」の遺産- |
ポスト・コロニアリズム論の歴史学への影響について理解する。
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11週 |
歴史研究と記憶研究(メモリー・スタディーズ) |
冷戦終結後の歴史学の研究手法や視座の変化について考察する。
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12週 |
現在の歴史学の状況 -グローバル・ヒストリー、パブリック・ヒストリー等等 |
現在の最新の社会科学的アプローチについて理解することができる。
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13週 |
学生発表① |
学生発表をすることができる。
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14週 |
学生発表② |
学生発表をすることができる。
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15週 |
学生発表③ |
学生発表をすることができる。
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16週 |
総括授業 |
これまでの授業の総括をする。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 地理歴史的分野 | 民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。 | 4 | 後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12 |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 4 | 後13,後14,後15 |
工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 4 | 後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12 |
グローバリゼーション・異文化多文化理解 | グローバリゼーション・異文化多文化理解 | それぞれの国の文化や歴史に敬意を払い、その違いを受け入れる寛容さが必要であることを認識している。 | 4 | 後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12 |
異文化の事象を自分たちの文化と関連付けて解釈できる。 | 4 | 後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12 |
分野横断的能力 | 態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 4 | 後13,後14,後15 |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 4 | 後2,後13,後14,後15 |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 4 | 後1 |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 4 | 後13,後14,後15 |
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。 | 4 | 後1,後13,後14,後15 |