電気電子材料

科目基礎情報

学校 一関工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 電気電子材料
科目番号 0050 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 未来創造工学科(電気・電子系) 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 (1)物性科学入門シリーズ・電気伝導入門(前田京剛,裳華房),(2)電子・光材料(澤岡昭,森北出版)
担当教員 谷林 慧

到達目標

【教育目標】C
【学習・教育到達目標】C-2

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
電気電子材料を扱ううえで必要な知識の習得習得した知識(標準レベル)の背景にある物理を理解することができた電気電子材料を扱ううえで必要な知識を習得できた電気電子材料を扱ううえで必要な知識を習得できなかった
オームの法則の微視的理解量子論等の微視的な物理学を導入する必然性について理解できたオームの法則の微視的な理解ができたオームの法則の微視的な理解ができなかった

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
2冊の教科書を使用する:(1)物性科学入門シリーズ・電気伝導入門(前田京剛,裳華房),(2)電子・光材料(澤岡昭,森北出版)。
授業では,主に,前者(1)の「第1章物質の電気伝導とオームの法則」,および「第2章オームの法則の微視的理解」を扱う。最後に,不純物半導体とPN接合について簡単に触れる。
後者(2)に関しては,次の章を自学自習課題に指定する:。第1章,第2章,第3章,題7章。
授業の進め方・方法:
教室での座学授業。アクティブラーニングを導入する予定は無い。
注意点:
試験は,授業と自学自習課題の両方から出題する。両者の割合は1:1の予定である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1.物質の電気伝導とオームの法則
1.1 オームの法則
オームの法則とは何か?について説明できる。
{抵抗,抵抗率,コンダクタンス,電気伝導度}の定義や互いの関係について説明できる。
2週 1.2 様々な物質の電気伝導 導体と絶縁体(含む半導体)の違いを,抵抗率の大きさや温度依存性の観点から説明できる。
3週 1.3 分極と誘電性 絶縁体に電圧をかけたときに生じる誘電分極について説明できる。
4週 2.オームの法則の微視的理解(1)
2.1 古典論による自由電子モデル
オームの法則が古典論に基づいて導けること説明できる。
電子の平均自由行程を古典論に基づいて求めると,値が原子間距離程度となり,最新の実験結果と合わないことを説明できる。
5週 2.2 量子論による自由電子モデル 自由電子ガスを量子論に基づいて記述する方法について説明できる。
電子の平均自由行程を量子論に基づいて求めると,値が原子間距離の約30倍になり,最新の実験結果と合うことを説明できる。
6週 2.3 結晶とバンド理論 -周期ポテンシャル中の電子- 自由電子論とバンド理論の示すモデルの違いを説明できる。
物質が導体と絶縁体(半導体)に分類される理由を,バンド理論に基づいて説明できる。
7週 中間試験 なし
8週 中間試験問題の解説 中間試験問題の中で解けなかったものを,解くことができるようになる。
4thQ
9週 2.4 電気抵抗の原因 電気抵抗が発生するためには,周期ポテンシャルの乱れが必要であることを説明できる。
ポテンシャルの周期性が乱れる要因を,いくつか挙げることができる。
10週 3.オームの法則の微視的理解(2)
3.1.1 半古典近似と有効質量
半古典近似を導入すると,電子波の波束の中心は,擬似的な運動方程式に従うように見えることを説明できる。半古典近似を導入するうえで,結晶運動量と有効質量の概念が不可欠であることを説明できる。
11週 3.1.2 半古典近似による電気伝導 物質に対して一定電圧をかけたときに直流電流が生じるための条件が2つ存在することを説明できる:(1)バンドの不完全占有,(2)ブロッホ振動の抑制。
ブロッホ振動を抑制するためには,周期ポテンシャルの乱れが必要であることを説明できる。
12週 3.2.1 非平衡分布が従う方程式 -ボルツマン方程式- 電子ガスが外部電場の影響を受けると,電子ガスの分布関数が,フェルミ分布からずれることを説明できる。
外部電場の影響を取り入れた分布関数は,ボルツマン方程式から求められることを説明できる。
13週 3.2.2 金属の電気伝導度の表式 外部電場の影響を取り入れた(ボルツマン方程式から得られた)分布関数を用いて,各電子からの電流への寄与の総和を求めると,電気伝導度テンソルが求められることを説明できる。フェルミエネルギーが等方的な場合,2.1で求めた電気伝導度に一致することを説明できる。
14週 5.乱れと電気伝導
5.1 半導体の不純物ドープ
半導体に不純物を導入することによって,キャリアを制御できることを説明できる。
15週 期末試験問題の解説 期末試験問題の中で解けなかったものを,解くことができるようになる。
16週 なし なし

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4
原子の構造を説明できる。4
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4

評価割合

中間試験期末試験合計
総合評価割合5050100
授業内容252550
自学自習課題252550