基礎生物工学B

科目基礎情報

学校 一関工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 基礎生物工学B
科目番号 0014 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 未来創造工学科(化学・バイオ系) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 参考書:はじめての生化学(平澤 栄次、化学同人、2,000円)
担当教員 戸谷 一英

到達目標

①生体分子の代謝、と、②分子生物学の基礎、を学び、理解する。
【教育目標 】D
【キーワード 】異化代謝、解糖系、TCA回路、電子伝達系、酸化的リン酸化、β酸化、ビタミン、補酵素、分子生物学、複製、転写、翻訳、遺伝子工学

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
①生体分子の代謝入門解糖系,TCAサイクル,酸化的リン酸化,脂肪酸のβ酸化の仕組みとエネルギー収支を詳述できる。解糖系,TCAサイクル,酸化的リン酸化,脂肪酸のβ酸化の経路の概要が書ける。解糖系,TCAサイクル,酸化的リン酸化,脂肪酸のβ酸化の経路の概要が書けない。
②分子生物学入門分子生物学の基礎を記述でき、DNAの複製、転写、翻訳や、遺伝子工学の基礎技術を詳細に説明できる。分子生物学の基礎を理解でき、DNAの複製、転写、翻訳や、遺伝子工学の基礎技術を記述できる。分子生物学の基礎を理解できない。DNAの複製、転写、翻訳や、遺伝子工学の基礎技術を記述できない。

学科の到達目標項目との関係

 教育目標 D 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生物工学(バイオテクノロジー)は“生化学”や“分子生物学”を基礎とし、薬や食品など我々の日常生活に深く関わっている。本講義では、生命現象を化学の視点からとらえ、生体物質の異化代謝と遺伝情報の発現を中心に生化学の基礎を紹介する。前半で「生体分子の代謝入門」を、後半で「分子生物学入門」を扱う。
授業の進め方・方法:
生化学を学ぶと身体の中で起こっている生命現象が理解でき、病気や医療、食品や生活の知識が身につく。生化学は範囲が広く化学構造式がたくさん登場するが、暗記よりも原理や仕組みを理解し、全体を意識しつつ興味を持続させること大切である。本学科における多くの研究室での卒業研究に関わるので諦めずに学んで欲しい。授業は配付資料とプロジェクターを中心に行う。Teamsで課題を出すので必ず行うこと。
注意点:
【事前学習】「授業項目」に対応する資料の内容を事前に読んでおくこと。前回授業部分を復習しておくこと。Teamsの「課題」は復習として必ず行うこと。Teamsでの課題提出を義務とする。再試験受験者は課題提出を受験の要件とする。
【評価方法・基準 】試験結果(100%)で評価する。詳細は第1回目の授業で告知する。自学自習ノート等が未提出の場合は低点とする。総成績60点以上を単位修得とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ヌクレオチドと核酸 ヌクレオチドの構造とエネルギー通過としての意義が書ける。
2週 生体分子の代謝入門
グルコースの分解1
エネルギー代謝の基礎が理解できる。
解糖系と発酵過程が理解できる。
3週 グルコースの分解2 TCAサイクル、電子伝達系と酸化的リン酸化、ATPの収支が理解できる。
4週 脂肪酸の分解 脂肪酸のβ酸化の仕組みが理解できる。
5週 異化代謝の調節 アロステリック調節やフィードバック阻害が理解できる。
6週 ビタミンと補酵素 水溶性ビタミンと補酵素の関係が理解できる。
7週 分子生物学入門 分子生物学とは何か、遺伝情報とは何かが理解できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 DNAとRNA DNA、RNAの構造が書け、塩基の相補的結合を説明できる。
10週 DNAの複製 遺伝情報の複製のしくみを理解できる。
11週 遺伝情報の発現(転写・翻訳)1 遺伝情報の転写・プロセシングのしくみを理解できる。
12週 遺伝情報の発現(転写・翻訳)2 遺伝情報の翻訳のしくみを理解できる。
13週 遺伝子操作1 遺伝子工学の概要が理解できる。
14週 遺伝子操作2 遺伝子工学の概要が理解できる。
15週 期末試験
16週 試験の解説 正解の理解

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4後2
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4後12
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4後1,後2,後5
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4後5
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。4後2,後3,後4,後5
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4後1,後7,後9,後13,後14
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4後9,後12,後13,後14
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4後11,後12
細胞周期について説明できる。4
分化について説明できる。4
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4後11,後12,後13,後14
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4後5
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4後1
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4
グリコシド結合を説明できる。4
多糖の例を説明できる。4
脂質の機能を複数あげることができる。4
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4後4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4
タンパク質の高次構造について説明できる。4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4後1
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4後1,後9
DNAの半保存的複製を説明できる。4後10
RNAの種類と働きを列記できる。4後11
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4後11,後12
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4後6
解糖系の概要を説明できる。4後2
クエン酸回路の概要を説明できる。4後3
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4後3
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4後2
各種の光合成色素の働きを説明できる。4
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。4
炭酸固定の過程を説明できる。4
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4後2
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。4後2
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。3後2
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。3

評価割合

試験自学ノート合計
総合評価割合1000100
生体分子の代謝入門50050
分子生物学入門50050