物質計測学

科目基礎情報

学校 一関工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物質計測学
科目番号 0013 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻共通 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 自作プリントを配布。授業内容の更なる理解のために補助教材としてTED Edu.及びYouTubeを使用。
担当教員 亀卦川 尚子

到達目標

①熱、温度の概念を熱力学的、統計熱力学的に理解できる。
②温度測定に用いられている物理現象を理解し、その用途を的確に判断できる。
③真空を分子運動から理解できる。
④真空ポンプの排気原理と真空計の計測技術の基本を理解し、その用途を的確に判断することができる。
⑤原子蒸気を用いた成分分析及びX線、電子線を用いた物質の成分分析の原理を理解し、その用途を的確に判断することができる。
⑥形状分析としてのSEM、TEMの原理を理解し、その用途を的確に判断することができる。
⑦構造解析の基礎となる結晶構造とミラー指数、ブラッグの回折条件を理解し、回折パターンを読むことができる。
⑧与えられた課題について具体的なテーマを見つけ、自ら調査分析してまとめ、考察することができる。

教育目標:C、学習・教育到達目:C-2

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱、温度の概念を熱力学的、統計熱力学的に理解できる。統計熱力学的手法を詳細にフォローできなくても、アプローチの仕方は理解できる。熱と温度の違いが理解できない。
評価項目2定義定点および温度測定に用いられている物理現象を理解し、その用途を的確に判断できる。熱平衡状態が定義定点に使われていること、温度に対して可逆な物理現象が温度計に利用されていることが理解でき、具体的な例を幾つか挙げることができる。定義定点が理解できない。温度に対して可逆な物理現象とはどのようなものか理解できない。
評価項目3分子運動論をもちいて、圧力を自分で導出することができる。真空技術の重要用語が理解できる。導出はできなくても考え方の要点は理解でき、簡単に説明することができる。平均自由行程とベーキングの重要性が理解できる。分子の運動を扱う基礎物理が理解できず、真空度と分子運動のつながりが理解できない。また、ベーキングが何なのか理解できない。
評価項目4真空ポンプの排気原理と真空計の計測技術の基本を理解し、その用途を的確に判断することができる。代表的なポンプと真空計(油回転ポンプ、油拡散ポンプ、ピラニゲージ、電離真空計)の基本的な仕組みが理解できる。低真空、高真空、超高真空のそれぞれの領域で用いられる真空ポンプと真空計にどのようなものがあるか具体的に挙げることができない。
評価項目5原子蒸気を用いた成分分析及びX線、電子線を用いた物質の成分分析の原理を理解し、その用途を的確に判断することができる。これらの分析の基礎となる電子の励起・遷移現象を理解し、各分析法の違いが理解できる。分析原理の基礎が理解できない。各分析方法の違いを曖昧いにしか捉えていない。
評価項目6形状分析としてのSEM、TEMの原理を理解し、その用途を的確に判断することができる。SEMが二次電子像であり、TEMが透過電子像であることが理解できる。SEMの用途を幾つか挙げることができる。SEM、TEMの原理が理解できない。用途の理解が曖昧である。
評価項目7構造解析の基礎となる結晶構造とミラー指数、ブラッグの回折条件を理解し、回折パターンを読むことができる。基本的な格子のミラー指数付けができる。ブラッグの回折条件を説明できる。結晶構造とミラー指数の関係が理解できない。ブラッグの回折条件を説明できない。
評価項目8与えられた課題について具体的なテーマを見つけ、自ら調査分析し、分かり易く組み立てて発表することができる。踏み込んだ考察ができる。具体的なテーマを決めることができる。全体を発表の形にまとめることができる。調査分析した結果に対して、自分の考えを述べることができる。聴衆を想定した発表の形式にまとめることができない。感想と考察が区別されていないもしくは、考察ができていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
物質の特性を評価するための基本的な技術の原理と応用について学習し、学生それぞれの専門に応じて発展させていくための基礎を確立する。
授業の進め方・方法:
講義で使用するpptファイルを送付しますので、事前に良く見て予習しておいてください。熱力学、固体物理、電子の軌道とエネルギー準位などの知識が必要になります。必要に応じて解説していきますが、各自、関連科目と対応させながら、予め学習しておて下さい。

また、補助教材として、英語版のTED Edu.や海外の大学が配信しているYou Tubeの中から、物質計測学に関連するものを選んでを使用します。授業で学んだことのおさらいに役立てるとともに、英語のヒアリングを楽しみましょう。また、これらの動画を見ることで、外国の学生たちが何をどう学んでいるのか、その一端を知ることもできるでしょう。
注意点:
試験結果と学習発表の結果を合わせて評価する。詳細は第1回目の授業で告知する。
課題を課すので、決められた期日までに提出すること。未提出が4分の1以上の場合は低点とする。
総合成績60点以上を単位修得とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
1.熱測定技術
熱力学的温度/ You Tube: Kelvin
温度と熱の違いが理解できる。
気体分子運動論から熱力学的温度を理解できる。
2週 統計力学的温度
TED: What is Entropy?
温度の統計力学的な考え方が理解できる。
3週 温度の定義定点
標準温度計
温度計測技術における定義定点の役割が理解できる。
標準温度計の条件と役割が理解できる。
4週 実用温度計-接触型温度計非接触型温度計 温度測定に用いられている物理現象を理解し、その用途を的確に判断できる。
5週 非接触型温度計
You Tube: Blackbody Radiation
黒体放射のエネルギー密度に関するPlanckの公式に基づいて放射温度計の原理、用途が理解できる。
6週 2. 真空技術
トリチェリーの真空
TED: Toricelli's Vacuum
真空技術の重要用語
真空の定義、特徴、用途が理解できる。
真空技術の重要用語を気体分子運動に基づいて理解できる。
7週 真空計 到達真空度別に真空度測定の原理を簡単に説明でき、測定方法を使い分けることができる。
8週 真空ポンプ
YouTube: Vacuum Systems
到達真空度別に真空の生成方法とその原理を簡単に説明できる。
2ndQ
9週 課題発表1 科学技術における温度計測または真空技術の重要性について調査し、発表する。
10週 3. 組成分析技術
原子吸光・発光分析/ YouTube: Emission and Absorption Spectra
発光・吸光分析の原理を理解することができる。
11週 蛍光X線分析
光電子分光分析
電子線マイクロアナライザー
オージェ電子分光分析
TED Ed: What’s a smartphone made of?
蛍光X線分析、光電子分光分析、電子線マイクロアナライザーの原理を理解することができる。
12週 4. 形状分析技術 
透過電顕、走査電顕/TED: Visualizing hidden worlds inside your body
材料の形状分析法として透過電顕、走査電顕の原理と用途が理解できる。
13週 5.構造解析技術
ブラベー格子,X線・電子線回折法/YouTube: Crystals and Symmetry
ブラベー格子、ミラー指数が理解できる。結晶格子と入射波の関係が理解できる。
14週 課題発表2 分析技術のEnvironmental Sustainabilityに果たす役割について調査・分析し、今後の展望について考察する。
15週 期末試験
16週 試験の解答及び解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合503020000100
基礎的能力0000000
専門的能力503020000100
分野横断的能力0000000