生物工学概論

科目基礎情報

学校 一関工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 生物工学概論
科目番号 0007 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 はじめての生化学(平澤 栄次、化学同人、2,000円)
担当教員 戸谷 一英

到達目標

①生体を構成する物質の名称・構造式・性質、
②酵素反応を通して生化学の基本用語・概念、
③異化代謝のしくみ、
の基礎学び、理解する。
【教育目標 】D
【キーワド 】糖質、脂質、アミノ酸、タンパク質、生体触媒、酵素反応動力学、ヌクレオチド・核酸、異化代謝

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
①生体分子の構造 と働き糖,脂質,アミノ酸,タンパク質の構造式・意義が理解できる。糖,脂質,アミノ酸,タンパク質の構造式が書ける。糖,脂質,アミノ酸,タンパク質の構造式が書けない。
②酵素反応の仕組み酵素反応の特性が理解でき,ミカエリス・メンテン式の導出ができ,動力学定数の意味が理解できる。酵素反応の特性を記述でき,ミカエリス・メンテン式が導出できる。酵素反応の特性が記述できず,ミカエリス・メンテン式が導出できない。
③生体分子の代謝入門解糖系,TCAサイクル,酸化的リン酸化,脂肪酸のβ酸化の仕組みとエネルギー収支を詳述できる。解糖系,TCAサイクル,酸化的リン酸化,脂肪酸のβ酸化の経路の概要が書ける。解糖系,TCAサイクル,酸化的リン酸化,脂肪酸のβ酸化の経路の概要が書けない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生物工学(バイオテクノロジー)は“生化学”や“分子生物学”を基礎とし、薬や食品など我々の日常生活に深く関わっている。本講義では、生命現象を化学の視点からとらえ、生体を構成する物質を中心に生化学の基礎を紹介する。前半は「生体分子の構造と働き」、中盤で「酵素反応の仕組み」、後半は「生体分子の代謝入門」を行う。
授業の進め方・方法:
生化学を学ぶと身体の中で起こっている生命現象が理解でき、病気や生活の知識が身につく。生化学は範囲が広く化学構造式がたくさん登場するが、暗記よりも原理や仕組みを理解し、全体を意識しつつ興味を持続させること大切である。本学科における多くの研究室での卒業研究に関わるので諦めずに学んで欲しい。授業は板書を中心に教科書と配付資料で行う。
注意点:
【事前学習】「授業項目」に対応する資料の内容を事前に読んでおくこと。ノートの前回授業部分を復習しておくこと。
【評価方法・基準 】試験結果(100%)で評価する。詳細は第1回目の授業で告知する。自学自習ノート等が未提出の場合は低点とする。総成績60点以上を単位修得とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 水の電離作用と緩衝作用が理解できる。
2週 炭水化物1 単糖、2糖の名称、構造式、意義が書ける。
3週 炭水化物2 オリゴ糖、多糖類、複合糖質の名称、構造式、意義が書ける。
4週 脂質 脂肪酸、リン脂質の構造式と意義が書ける。
5週 アミノ酸 アミノ酸の名称、構造式、生理的意義、等電点計算が書ける。
6週 タンパク質 タンパク質のペプチド結合、2次構造から高次構造の模式図、生理的意義が書ける。
7週 酵素反応1 酵素の触媒作用、特性、基質特異性、種類、阻害が理解できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 酵素反応2 酵素反応速度式を導き動力学定数の意味を理解できる。
10週 ヌクレオチド・核酸 エネルギー通貨の構造式と生理的意義が書ける。
11週 グルコースの分解1 解糖系と発酵過程、TCAサイクルが理解できる。
12週 グルコースの分解2 電子伝達系と酸化的リン酸化、アロステリックの概念を理解する。
13週 脂肪酸の分解 脂肪酸のβ酸化の仕組みが理解できる。
14週 ビタミンと補酵素 水溶性ビタミンと補酵素の関係が理解できる。
15週 期末試験
16週 試験の解説 正解の理解

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
単糖と多糖の生物機能を説明できる。4
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。4
グリコシド結合を説明できる。4
多糖の例を説明できる。4
脂質の機能を複数あげることができる。4
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4
タンパク質の高次構造について説明できる。4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4
解糖系の概要を説明できる。4
クエン酸回路の概要を説明できる。4
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。4
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。3
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。3
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。3
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。3

評価割合

試験自学ノート合計
総合評価割合1000100
生体物質40040
酵素反応30030
異化代謝30030