化学プラント設計

科目基礎情報

学校 一関工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 化学プラント設計
科目番号 0021 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 ベーシック化学工学(橋本健治著、化学同人)と配付のプリント資料
担当教員 梁川 甲午

到達目標

【教育目標】C、【学習教育到達目標】C-3
1.蒸留に関する基礎的な事項を理解し、計算できる。
2.精留の原理の概要を理解し、精留塔の段数と塔径の設計の考え方を理解する。
3.熱交換器(全縮器)の設計の考え方を理解する。
4.精留プロセスの制御の基本を理解する。
5.抽出操作の基本を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ラウールの法則、レイリーの式など蒸留の基礎的計算ができ、関連する用語を適切に説明できる。 左記の事柄について説明と計算がある程度できる。 左記のことがあまりできない。
評価項目2再蒸留と分縮を含む精留塔の一段で起こる変化など精留塔の原理、操作線の式、q線の物質収支、平衡関係と操作線に基づく階段作図を説明できるなど、精留塔の理論段数が適切に設計できる。 左記の事柄について説明と計算がある程度できる。 左記のことがあまりできない。
評価項目3精留塔の許容蒸気速度、運転費と固定費、最適還流比の概念を説明、仮定に基づく計算ができるなど、精留塔の塔径が適切に設計できる。 左記の事柄について説明と計算がある程度できる。 左記のことがあまりできない。
評価項目4トレイ構造、溢流部の積の面積など、溢流部の基本的設計が適切にでき、泡鐘塔の異常現象が説明できる。 左記の事柄について説明と計算がある程度できる。 左記のことがあまりできない。
評価項目5塔頂蒸気を凝縮する全縮器の設計に必要な基本的な事柄を理解し、適切に説明、計算ができる。 左記の事柄について説明と計算がある程度できる。 左記のことがあまりできない。
評価項目6精留プロセスの流れが分かり、その制御に必要な基本的な事柄を理解し、適切に説明できる。 左記の事柄について説明と計算がある程度できる。 左記のことがあまりできない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
大規模な精留塔を中心とする精留プロセスの設計を行う。学んだ化学工学の知識がどのように活かされるか、設計の鍵となる事項が存在すること、経済収支の考え方などを理解する。5年の精留プラントの実習実験と相俟って化学プラントの理解を深める。
授業の進め方・方法:
3年生の単位操作で学習した蒸留と伝熱をベースとする。学生個々に異なる条件で設計を行う。見やすい設計ノート(B5版の綴じたもの)を作成し、提出する。確実に計算を積み上げること、
そのために結果の妥当性を常にチェックすることが重要である。電卓を持参すること。
注意点:
毎回、事前に配付プリントに目を通しておくこと。
評価は、試験成績50%、設計課題50%で行い、総合評価60点以上を合格とする。専用ノートを設計書として完成する。課題評価は年数回、ノートの提出を求めて行う。提出期限の順守状況、設計の達成・進捗状況・見やすさ・体裁・正確さ、工夫点などを評価対象とする。設計ノートや作図などの課題提出は単位認定の必須要件である。設計ノートを完成提出しない場合は総合評価を60点未満とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 科目の概要、第1章 精留塔の設計①精留プロセスの設計条件と物質収支 科目の概要と自分の設計条件を説明でき、精留塔全体の物質収支が計算できる
2週 ②ギブスの相律、ラウールの法則、気液平衡関係 気液平衡関係の重要な規則を説明でき、計算ができる。
3週 ③単蒸留とレイリー式、④再蒸留と分縮、精留の原理 単蒸留と精留の原理の概要を説明できる。
4週 ④精留塔の濃縮部と回収部の操作線の式とq線、McCabe-Thieleの階段作図法 精留塔の2つの操作線とq線の意味と階段作図法のが説明できる。
5週 ⑤McCabe-Thieleの階段作図、理論段数と還流比の関係 理論段数を求めることができ、還流比との関係を説明できる。
6週 ⑥許容蒸気速度の計算と塔内径の計算 飛沫同伴現象が説明でき、許容蒸気速度と塔の有効面積の仮定から、塔内径を計算できる。
7週 ⑦スチームコストから運転費の計算と固定費の計算および最適還流比の決定 スチームコストの計算ができ、運転費と固定費の仮定および最適還流比の意味が分かる。
8週 中間試験
4thQ
9週 試験解答、⑧溢流部とトレイ構造の決定、トレイダイナミクス パス数を液流量との関係で決定でき、トレイダイナミクスという考え方が分かる。
10週 第2章 全縮器の設計①設計の流れ 全縮器の設計条件と設計の流れが分かる。
11週 ②全縮器の設計の収束計算、伝熱管の本数、胴内径 全縮器の収束計算ができる。
12週 第3章 精留塔の計測制御とプロセスフローシート 精留塔の制御の概要が分かる。
13週 第4章 抽出①操作概要、分配係数、三角図 抽出の概要と得気液平衡関係とその表現法が分かる。
14週 ②単抽出 単抽出の計算ができる。
15週 期末試験
16週 試験解答とまとめ 学習内容を振り返り、理解度を点検できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4
基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】化学工学実験液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合50000500100
基礎的能力2000020040
専門的能力3000030060
分野横断的能力0000000