化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 化学Ⅰ
科目番号 0009 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 名取キャンパス一般科目 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 改訂 化学基礎 (東京書籍)
担当教員 佐藤 徹雄

到達目標

1.化学が物質を対象とする科学であることや化学が人間生活に果たしている役割を理解できる。
2.原子に構造及び電子配置と周期律の関係を理解できる。
3.化学反応の量的関係を理解できる。
4.酸と塩基の反応の基本的な概念や法則が理解できるとともに日常生活や社会と関連付けて考察できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
状態変化物質の状態変化と熱運動に関する概念を基に,身の回りの物質を考察できる。物質の状態変化と熱運動に関する概念を説明できるが,身の回りの物質の考察は曖昧である。物質の状態変化と熱運動に関する概念を説明できない。
元素元素という概念から化合物と単体の違い、さらに単体と元素の違いを理解し、同素体についても具体例を挙げて正しく説明できる。元素という概念から化合物と単体の違いは理解できるが、単体と元素の違いは曖昧である。同素体については、その概要は説明できる。元素という概念が理解できず、化合物と単体の違い、単体と元素の違いを説明できない。同素体についても概要を説明できない。
原子の構成と周期律原子の構造を基に、どのような原子についても原子番号、質量数、同位体を正しく説明でき、原子の電子配置と価電子等の概念から、多くの典型元素において周期律と周期表の構成について族や周期の意味を説明できる。原子の構造を基に、簡単な原子について原子番号、質量数、同位体を説明できる。また、原子の電子配置と価電子等の概念から、いくつかの元素において周期律と周期表の構成について族や周期の意味を説明できる。原子番号、質量数、同位体を正しく説明できず、原子の電子配置と価電子等の概念と、周期律や周期表の構成について関連付けて説明できない。
化学結合イオンとイオン結合の概念、分子と共有結合の概念、金属結合の概念を理解し、イオン化エネルギーの周期性やイオン結晶の性質、分子の構造と電気陰性度、結合の極性について、および金属の性質について化学結合と関連付けて説明できる。イオンとイオン結合の概念、分子と共有結合の概念、金属結合の概念は説明できるが、イオン化エネルギーの周期性やイオン結晶の性質、分子の構造と電気陰性度、結合の極性について、および金属の性質については、化学結合と関連付けて説明することは曖昧である。イオンとイオン結合の概念、分子と共有結合の概念、金属結合の概念を説明できない。
物質量原子量、分子量、式量およびアボガドロ数と物質量との関係について理解し、これを基にモル質量、1molの気体の体積、溶液の濃度を正しく計算することができる。原子量、分子量、式量およびアボガドロ数と物質量との関係については理解できるが、モル質量、1molの気体の体積、溶液の濃度の計算は曖昧なとこがある。原子量、分子量、式量およびアボガドロ数と物質量との関係について理解できない。
化学反応式化学反応式を正しく書くことができ、その係数と物質量、気体の体積等の関係についても理解し、正しく計算することができる。化学反応式を正しく書くことができるが、その係数と物質量、気体の体積等の関係については曖昧なところがある。化学反応式を正しく書くことができない。
酸と塩基の強弱酸と塩基の複数の定義や分類について理解でき、水素イオン濃度とpHの関係を基に、pHを具体的に求めることができる。酸と塩基の複数の定義や分類について理解できるが、水素イオン濃度とpHの関係を基に、pHを具体的に求めることには曖昧なところがある。酸と塩基の複数の定義や分類を説明できず、pHの概念も理解できない。
中和反応中和反応の定義を基に、具体的な反応とその量的関係や生成する塩の性質について理解し、さらに中和滴定の具体的方法や滴定曲線についても関連付けて説明できる。中和反応の定義を基に、具体的な反応とその量的関係や生成する塩の性質について理解できるが、中和滴定の具体的方法や滴定曲線について関連付けることには曖昧なところがある。中和反応の定義を基に、具体的な反応とその量的関係や生成する塩の性質について理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
人間生活と化学との関わりから、化学が物質を対象とする学問であることを学び、物質はどのように成り立っているのか、物質を構成する元素や原子の構造、そして化学結合に関して学習することで理解を深める。さらに、化学反応に関する基礎として、化学反応式の記述法と物質量の計算法を学習し、物質の変化を量的に表す方法を理解する。
授業の進め方・方法:
講義とグループワーク、演習を組み合わせた学習を行う。適宜、課題や小テスト、化学実験を行うことで学習効果を高める。学習内容は大きく2部から構成されており、「物質の成分と構成元素」、「原子の構造と元素の周期表」、「化学結合」の各単元を通して物質はどのように構成されているかについて学び、「物質量と化学反応式」、「酸と塩基」の各単元では物質の変化をどのように表わすのかについて学ぶ。
【事前学習】 授業前に前回の授業内容を振り返りながら新たに学習する単元を教科書で予習する。
【事後学習】 授業後に年度初めに購入した問題集を解き、授業内容の復習を行う。
注意点:
中学校で学んだ理科の中の化学の分野をさらに深く学習することになるため、中学生理科の内容は十分に理解していることが前提となる。授業は中学校で学んだ理科の内容から無理なく移行できるよう、基礎から行うが、必要最小限のことは覚える必要がある。化学は知識の積み重ねによるところが大きいため、一年生のうちから正しく理解し、知識として定着させることが大切である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業のガイダンス・化学と人間生活
(講義・Think・Pair・Share・ジグソー法)
・授業の進め方・授業を受けるにあたっての注意点を理解する。
・中学校で学んできた化学の内容を振り返るとともに、化学が人間生活でどのように関わってきたのかを理解する。
2週 物質の構成元素
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・成分としての元素、元素記号、元素の周期表を理解する。
・単体と化合物、同素体の意味と具体例および単体名と元素名の違いを理解できる。
3週 物質の三態
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・物質の三態と状態変化を理解し、粒子の熱運動と関連付けて説明できる。
・物理変化と化学変化の違いを説明できる。
・セルシウス温度と絶対温度の換算ができる。
4週 原子の構造
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・原子の構造(原子核、陽子、中性子、電子)を理解し、原子番号、質量数について説明できる。
・同位体と存在比、放射性同位体とその利用法について理解できる。
5週 原子の電子配置と周期表
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・原子内の電子配置について理解し、最外殻電子と価電子の違い、および希ガスの電子配置について説明できる。
・元素の周期表について、価電子数に着目して説明できる。
6週 硫黄の同素体と炎色反応の実験
(実験・グループワーク)
・単斜硫黄とゴム状硫黄の作成をとおして、同素体について理解する。
・炎色反応の実験をとおして、元素の確認方法について理解する。
7週 前期中間試験 試験を通して理解を深める。
8週 イオン
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・イオンが生成する概念を理解し、イオンの名称と価数、イオン式を記述できる。
・イオン化エネルギーと電子親和力、イオン半径を周期表と関連付けて説明できる。
2ndQ
9週 イオン結合
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・イオン結合とイオン結晶の概念と性質を理解できる。
・組成式の書き方と読み方を正しく記述できる。
10週 共有結合(1)
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・共有結合によって分子が形成される概念について理解できる。
・原子と分子の電子式および分子式を正しく記述できる。
11週 共有結合(2)
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・分子の構造式を正しく記述でき、分子の形表現することができる。
・代表的な高分子化合物の名称と構造式を記述できる。
12週 配位結合
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・配位結合の概念について理解できる。
・錯イオンの構造について理解できる。
13週 電気陰性度と分子の極性
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・電気陰性度について理解し、結合の極性および分子の極性について説明できる。
14週 金属と金属結合
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・金属結合の概念を理解し、それに基づく金属の性質について説明できる。
15週 期末試験 ・試験を通して理解を深める。
16週 前期の総まとめ
(Think・Pair・Share)
・前期の授業を振り返り各人の理解不足の点を洗い出す。
後期
3rdQ
1週 原子量、分子量、式量
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・原子の相対質量の概念に基づいて、原子量、分子量、式量をそれぞれ正しく説明できる。
2週 アボガドロ数と物質量
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・アボガドロ数と物質量の概念を理解し、物質1 molが表す意味を説明できる。
・物質量と粒子の数、質量の換算ができる。
3週 1 molの気体の体積
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・標準状態における1 molの気体の体積について、その概念が理解できる。
・物質量と気体の体積の換算ができる。
・気体の密度からその気体の分子量を求めることができる。
4週 溶液の濃度
(講義・演習・Think・Pair・Share)
モル濃度の概念を理解し、質量パーセント濃度との換算ができる。
5週 化学反応式
(講義・演習・Think・Pair・Share)
特に化学反応式を正しく記述できる。
6週 過不足のある場合の化学反応
(授業・演習・グループワーク)
化学反応式と物質量を結びつけて理解する。
7週 後期中間試験
試験を通して理解を深める。
8週 酸と塩基の概念
(授業・演習・グループワーク)
アレー二ウス、ブレンステッド・ローリーの酸・塩基の定義を理解する。
4thQ
9週 水素イオン濃度
(授業・演習・グループワーク)
pHの概念を理解し、計算できるようにする。
10週 中和反応と塩Ⅰ
(授業・演習・グループワーク)
中和反応で水と塩ができることとできた塩の性質を理解する。(反応の理解)
11週 中和反応と塩Ⅱ
(授業・演習・グループワーク)
中和反応で水と塩ができることとできた塩の性質を理解する。(塩の性質の理解)
12週 中和滴定
(授業・演習・グループワーク)
中和滴定の概念、方法、計算について理解する。
13週 中和滴定の実験
(グループワーク)
実験を通して、中和滴定の概念、方法、計算について理解する。
14週 滴定曲線
(授業・演習・グループワーク)
中和反応に関して総括的な立場から中和を理解する。
15週 後期期末試験 試験を通して理解を深める。
16週 1年間の総まとめ
(授業・演習・グループワーク)
一年間の授業を振り返り各人の理解不足の点を洗い出す。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80005015100
基礎的能力80005015100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000