化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 化学Ⅰ
科目番号 0011 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 名取キャンパス一般科目 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 化学基礎(東京書籍)
新課程 フォローアップドリル化学基礎 ①物質の構成と化学結合(数研出版)
新課程 フォローアップドリル化学基礎 ②物質量・化学反応式(数研出版)
新課程 フォローアップドリル化学基礎 ③酸・塩基/酸化・還元/電池・電気分解(数研出版)
ニューステップアップ 化学基礎(東京書籍)
担当教員 佐藤 徹雄

到達目標

1.化学が物質を対象とする科学であることや化学が人間生活に果たしている役割を理解できる。
2.原子に構造及び電子配置と周期律の関係を理解できる。
3.化学反応の量的関係を理解できる。
4.酸と塩基の反応の基本的な概念や法則が理解できるとともに日常生活や社会と関連付けて考察できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
状態変化物質の状態変化と熱運動に関する概念を基に,身の回りの物質を考察できる。物質の状態変化と熱運動に関する概念を説明できるが,身の回りの物質の考察は曖昧である。物質の状態変化と熱運動に関する概念を説明できない。
元素元素という概念から化合物と単体の違い、さらに単体と元素の違いを理解し、同素体についても具体例を挙げて正しく説明できる。元素という概念から化合物と単体の違いは理解できるが、単体と元素の違いは曖昧である。同素体については、その概要は説明できる。元素という概念が理解できず、化合物と単体の違い、単体と元素の違いを説明できない。同素体についても概要を説明できない。
原子の構成と周期律原子の構造を基に、どのような原子についても原子番号、質量数、同位体を正しく説明でき、原子の電子配置と価電子等の概念から、多くの典型元素において周期律と周期表の構成について族や周期の意味を説明できる。原子の構造を基に、簡単な原子について原子番号、質量数、同位体を説明できる。また、原子の電子配置と価電子等の概念から、いくつかの元素において周期律と周期表の構成について族や周期の意味を説明できる。原子番号、質量数、同位体を正しく説明できず、原子の電子配置と価電子等の概念と、周期律や周期表の構成について関連付けて説明できない。
化学結合イオンとイオン結合の概念、分子と共有結合の概念、金属結合の概念を理解し、イオン化エネルギーの周期性やイオン結晶の性質、分子の構造と電気陰性度、結合の極性について、および金属の性質について化学結合と関連付けて説明できる。イオンとイオン結合の概念、分子と共有結合の概念、金属結合の概念は説明できるが、イオン化エネルギーの周期性やイオン結晶の性質、分子の構造と電気陰性度、結合の極性について、および金属の性質については、化学結合と関連付けて説明することは曖昧である。イオンとイオン結合の概念、分子と共有結合の概念、金属結合の概念を説明できない。
物質量原子量、分子量、式量およびアボガドロ数と物質量との関係について理解し、これを基にモル質量、1molの気体の体積、溶液の濃度を正しく計算することができる。原子量、分子量、式量およびアボガドロ数と物質量との関係については理解できるが、モル質量、1molの気体の体積、溶液の濃度の計算は曖昧なとこがある。原子量、分子量、式量およびアボガドロ数と物質量との関係について理解できない。
化学反応式化学反応式を正しく書くことができ、その係数と物質量、気体の体積等の関係についても理解し、正しく計算することができる。化学反応式を正しく書くことができるが、その係数と物質量、気体の体積等の関係については曖昧なところがある。化学反応式を正しく書くことができない。
酸と塩基の強弱酸と塩基の複数の定義や分類について理解でき、水素イオン濃度とpHの関係を基に、pHを具体的に求めることができる。酸と塩基の複数の定義や分類について理解できるが、水素イオン濃度とpHの関係を基に、pHを具体的に求めることには曖昧なところがある。酸と塩基の複数の定義や分類を説明できず、pHの概念も理解できない。
中和反応中和反応の定義を基に、具体的な反応とその量的関係や生成する塩の性質について理解し、さらに中和滴定の具体的方法や滴定曲線についても関連付けて説明できる。中和反応の定義を基に、具体的な反応とその量的関係や生成する塩の性質について理解できるが、中和滴定の具体的方法や滴定曲線について関連付けることには曖昧なところがある。中和反応の定義を基に、具体的な反応とその量的関係や生成する塩の性質について理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
人間生活と化学との関わりから、化学が物質を対象とする学問であることを学び、物質はどのように成り立っているのか、物質を構成する元素や原子の構造、そして化学結合に関して学習することで理解を深める。さらに、化学反応に関する基礎として、化学反応式の記述法と物質量の計算法を学習し、物質の変化を量的に表す方法を理解する。
授業の進め方・方法:
講義とグループワーク、演習を組み合わせた学習を行う。適宜、課題や小テスト、化学実験を行うことで学習効果を高める。学習内容は大きく2部から構成されており、「物質の成分と構成元素」、「原子の構造と元素の周期表」、「化学結合」の各単元を通して物質はどのように構成されているかについて学び、「物質量と化学反応式」、「酸と塩基」の各単元では物質の変化をどのように表わすのかについて学ぶ。
【事前学習】 授業前に前回の授業内容を振り返りながら新たに学習する単元を教科書で予習する。
【事後学習】 授業後に年度初めに購入した問題集を解き、授業内容の復習を行う。
注意点:
中学校で学んだ理科の中の化学の分野をさらに深く学習することになるため、中学生理科の内容は十分に理解していることが前提となる。授業は中学校で学んだ理科の内容から無理なく移行できるよう、基礎から行うが、必要最小限のことは覚える必要がある。化学は知識の積み重ねによるところが大きいため、一年生のうちから正しく理解し、知識として定着させることが大切である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業のガイダンス・化学と人間生活
(講義・Think・Pair・Share)
・授業の進め方・授業を受けるにあたっての注意点を理解する。
・中学校で学んできた化学の内容を振り返るとともに、化学が人間生活でどのように関わってきたのかを理解する。
2週 物質の構成元素
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・成分としての元素、元素記号、元素の周期表を理解する。
・単体と化合物、同素体の意味と具体例および単体名と元素名の違いを理解できる。
3週 物質の三態
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・物質の三態と状態変化を理解し、粒子の熱運動と関連付けて説明できる。
・物理変化と化学変化の違いを説明できる。
・セルシウス温度と絶対温度の換算ができる。
4週 原子の構造
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・原子の構造(原子核、陽子、中性子、電子)を理解し、原子番号、質量数について説明できる。
・同位体と存在比、放射性同位体とその利用法について理解できる。
5週 原子の電子配置と周期表
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・原子内の電子配置について理解し、最外殻電子と価電子の違い、および希ガスの電子配置について説明できる。
・元素の周期表について、価電子数に着目して説明できる。
6週 硫黄の同素体と炎色反応の実験
(実験・グループワーク)
・単斜硫黄とゴム状硫黄の作成をとおして、同素体について理解する。
・炎色反応の実験をとおして、元素の確認方法について理解する。
7週 前期中間試験 試験を通して理解を深める。
8週 イオン
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・イオンが生成する概念を理解し、イオンの名称と価数、イオン式を記述できる。
・イオン化エネルギーと電子親和力、イオン半径を周期表と関連付けて説明できる。
2ndQ
9週 イオン結合
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・イオン結合とイオン結晶の概念と性質を理解できる。
・組成式の書き方と読み方を正しく記述できる。
10週 共有結合(1)
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・共有結合によって分子が形成される概念について理解できる。
・原子と分子の電子式および分子式を正しく記述できる。
11週 共有結合(2)
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・分子の構造式を正しく記述でき、分子の形表現することができる。
・代表的な高分子化合物の名称と構造式を記述できる。
12週 配位結合
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・配位結合の概念について理解できる。
・錯イオンの構造について理解できる。
13週 電気陰性度と分子の極性
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・電気陰性度について理解し、結合の極性および分子の極性について説明できる。
14週 金属と金属結合
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・金属結合の概念を理解し、それに基づく金属の性質について説明できる。
15週 期末試験 ・試験を通して理解を深める。
16週 前期の総まとめ
(Think・Pair・Share)
・前期の授業を振り返り各人の理解不足の点を洗い出す。
後期
3rdQ
1週 原子量、分子量、式量
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・原子の相対質量の概念に基づいて、原子量、分子量、式量をそれぞれ正しく説明できる。
2週 アボガドロ数と物質量
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・アボガドロ数と物質量の概念を理解し、物質1 molが表す意味を説明できる。
・物質量と粒子の数、質量の換算ができる。
3週 1 molの気体の体積
(講義・演習・Think・Pair・Share)
・標準状態における1 molの気体の体積について、その概念が理解できる。
・物質量と気体の体積の換算ができる。
・気体の密度からその気体の分子量を求めることができる。
4週 溶液の濃度
(講義・演習・Think・Pair・Share)
モル濃度の概念を理解し、質量パーセント濃度との換算ができる。
5週 化学反応式
(講義・演習・Think・Pair・Share)
特に化学反応式を正しく記述できる。
6週 過不足のある場合の化学反応
(講義・演習・Think・Pair・Share)
化学反応式と物質量を結びつけて理解できる。
7週 後期中間試験
試験を通して理解を深める。
8週 酸と塩基の概念
(講義・演習・Think・Pair・Share)
アレ二ウス、ブレンステッド・ローリーの酸・塩基の定義を理解できる。
4thQ
9週 水素イオン濃度
(講義・演習・Think・Pair・Share)
pHの概念を理解し、正しく計算できる。
10週 中和反応と塩Ⅰ
(講義・演習・Think・Pair・Share)
中和反応で水と塩ができることとできた塩の性質を理解できる。(反応の理解)
11週 中和反応と塩Ⅱ
(講義・演習・Think・Pair・Share)
中和反応で水と塩ができることと、できた塩の性質を理解できる。(塩の性質の理解)
12週 中和滴定
(講義・演習・Think・Pair・Share)
中和滴定の概念、方法、計算について理解できる。
13週 中和滴定の実験
(実験・グループワーク)
実験を通して、中和滴定の概念、方法、計算について理解できる。
14週 滴定曲線
(講義・演習・Think・Pair・Share)
中和反応に関して総括的な立場から中和を理解できる。
15週 後期期末試験 試験を通して理解を深める。
16週 1年間の総まとめ
(講義・演習・Think・Pair・Share)
一年間の授業を振り返り各人の理解不足の点を洗い出す。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学化学化学と現代の社会課題との関連性について説明できる。3
物質が原子からできていることについて説明できる。3前2
単体と化合物について説明できる。3前2
同素体について説明できる。3前2,前6
純物質と混合物の区別について説明できる。3前2
混合物の分離法について理解し、適切な分離法を選択できる。3前2,前6
物質を構成する分子・原子が常に熱運動していることについて説明できる。3前3
水の状態変化について説明できる。3前3
物質の三態とその状態変化について説明できる。3前3
原子の構造(原子核・電子)や原子番号、質量数について説明できる。3前4
同位体・放射性同位体について説明できる。3前4
原子の電子配置について電子殻を用いて書き表すことができる。3前5
価電子の働きについて説明できる。3前5
イオン化エネルギーと電子親和力について説明できる。3前8
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3前8
原子番号と価電子の数との関係について考えることができる。3前5
元素の性質について価電子と周期律から考えることができる。3前5
イオンの化学式とイオンの名称について説明できる。3前8
イオン結合について説明できる。3前8,前9
イオン結晶の性質について説明できる。3前9
共有結合について説明できる。3前10,前11,前12,前13
極性と水素結合について説明できる。3前13
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3前10,前11,前12,前13
自由電子と金属結合について説明できる。3前14
金属の性質について説明できる。3前14
原子の相対質量と原子量について説明できる。3後1,後2
物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3後2,後3
分子量・式量について説明できる。3後2,後3
気体の体積と物質量の関係について説明できる。3後3
化学反応式について反応物、生成物、係数を理解し、組み立てることができる。3後5,後6
化学反応式を用いて化学量論的な計算ができる。3後6
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3後8
質量パーセント濃度について説明でき、質量パーセント濃度の計算ができる。3後4
モル濃度について説明でき、モル濃度の計算ができる。3後4
酸・塩基の定義(アレニウスの定義、ブレンステッド・ローリーの定義)について説明できる。3後8
酸・塩基の化学式と酸・塩基の価数について説明できる。3後9
電離度と酸・塩基の強弱について説明できる。3後9
pHについて説明でき、pHと水素イオン濃度の計算ができる。3後9
中和反応を化学反応式で表すことができる。3後10,後11
中和滴定の計算ができる。3後12,後13,後14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合85005010100
基礎的能力85005010100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000