到達目標
現代世界が形成されてきた過程を知ることによって、現代世界が抱える諸問題の淵源に触れる。一国史の集合としての世界の歴史ではなく、諸国・諸地域の関係のなかで動かされてきた歴史をとらえられるようになることをめざす。世界の文化や価値観の多様性を認識し、自己中心的にならず、相手の立場に立って考えることが、よりいっそうできるようになる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 現代世界の成立過程を正しく理解し、説明できる。 | 現代世界の成立過程を正しく理解している。 | 現代世界の成立過程への理解が不十分である。 |
評価項目2 | 諸国家・諸勢力がどのように結びついて世界に影響を与えたかを理解し、説明できる。 | 諸国家・諸勢力がどのように結びついて世界に影響を与えたかを理解している。 | 諸国家・諸勢力がどのように結びついて世界に影響を与えたかということへの理解が不十分である。 |
評価項目3 | 現代世界が抱える諸問題の歴史的淵源について理解し、説明できる。 | 現代世界が抱える諸問題の歴史的淵源について理解している。 | 現代世界が抱える諸問題の歴史的淵源についての理解が不十分である。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
現代は「海図のない時代」といわれ、未来の不透明な時代である。このような時代であるからこそ、未来を切り開くために、過去を知り、過去から学ぶ必要がある。講義を通して、過去から現在に至る道筋を整理し、現在のもつ意味や引き継ぐべき人類の遺産を再確認する。学習者が、世界の文化や価値観の多様性を認識し、双方の立場を理解することができるようになることを目標とする。
授業の進め方・方法:
基本的に講義形式で授業を進める。試験は期末試験のみ、年間2回実施する。
事前学習/次回の授業で学習する教科書のページを一読して、概要や疑問点を整理しておく。
事後学習/授業のあと、もう一度教科書とノートを読み直し、理解を定着させる。学習した単元の問題集に取り組み、自分の理解度を確認する。
注意点:
日頃から、情報源に留意しつつ新聞やニュースなどのさまざまなことから情報を得て、最新の世界情勢の把握に努めること。
講義形式の授業であるため、授業の妨げとなる行為は控えること。場合によっては、退室を命じることがある。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
市民革命 |
市民革命がどのように展開したのか、大西洋をまたいだつながりに着目して理解し、その連動した動きが世界へもたらした影響について理解する。
|
2週 |
国民国家とナショナリズム |
19世紀の世界で、国民国家がどこでどのように形成されていったのかを理解し、その国民国家の成立が社会や人々へもたらした影響や課題について理解する。
|
3週 |
明治維新 |
日本が立憲国家となる過程を、幕末の政治変動のなかで幕府独裁が動揺した点を起点として理解する。
|
4週 |
日本の産業革命 |
日本の産業革命が成立した国際的背景や鏤努力などの条件について諸資料をもとに考察し、近代日本の産業がどのような特質をもって発展したのか理解する。
|
5週 |
帝国主義 |
欧米諸国が帝国主義政策をとった動機や植民地化の過程を理解し、帝国主義が各地へとどのような影響をおよぼしたのかを考察する。
|
6週 |
変容する東アジアの国際秩序 |
日清戦争を機に、東アジアの国際秩序がどのように変容したのか、日本や朝鮮、清の情勢や思惑をふまえて理解する。
|
7週 |
日露戦争と東アジアの変動 |
列強の対立が激しくなるなかで、日露戦争を機に東アジアはどのような変動をみせたのかを理解する。
|
8週 |
第一次世界大戦の展開 |
第一次世界大戦の特徴について、それまでの戦争との比較をふまえて理解し、この大戦が国際社会や各地の人々の生活へ与えた影響を考察する。
|
2ndQ |
9週 |
ソヴィエト連邦の成立とアメリカ合衆国の台頭 |
第一次世界大戦のさなかに起こったロシア革命とソヴィエト連邦成立の国際的意義について理解する。 第一次世界大戦でアメリカが果たした役割と、その後の世界におけるアメリカの急速な成長について理解する。
|
10週 |
ヴェルサイユ体制とワシントン体制 |
第一次世界大戦後の世界を定義づけたヴェルサイユ体制と、ワシントン体制について理解する。
|
11週 |
世界経済の変容と日本 |
第一次世界大戦が世界経済に与えた影響や、日本の大戦景気の背景について諸資料を用いて考察し、大戦前後の日本経済の変化や恐慌の要因を理解する。
|
12週 |
アジアのナショナリズム |
植民地支配を受けたアジア諸地域における独立運動について理解する。
|
13週 |
大衆の政治参加 |
近代化の進展による、政治を動かす社会階層の変化について理解する。
|
14週 |
消費社会と大衆文化 |
「狂乱の20年代」とよばれた好景気にわく1920年代のアメリカ合衆国の社会と文化について理解する。
|
15週 |
前期期末試験 |
前期期末試験を行う。
|
16週 |
前期期末試験返却 |
前期期末試験を返却し、前期の学習内容に対する自己の理解度を確認する。
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
世界恐慌の時代 |
1929年にはじまる世界恐慌と、その時代の各国の対策や動向について理解する。
|
2週 |
ファシズムの伸長と共産主義 |
世界恐慌の中で勢力を増していくファシズムや、恐慌の影響をほとんど受けずに成長したソヴィエト連邦を通じた共産主義の伸長について理解する。
|
3週 |
日中戦争への道 |
不況のなか、帝国主義を推し進める日本が戦争へと進んでいく過程について理解する。
|
4週 |
第二次世界大戦の展開 |
第二次世界大戦のはじまりと展開について理解する。
|
5週 |
第二次世界大戦下の社会 |
第二次世界大戦が進行する時代の、一般民衆の社会生活について理解する。
|
6週 |
国際連合と国際経済体制 |
第二次世界大戦後の国際連合の成立と意義、世界経済の動向について理解する。
|
7週 |
占領と戦後改革 |
第二次世界大戦後の占領期の日本について理解する。
|
8週 |
冷戦の始まりと東アジア諸国の動向 |
アメリカ合衆国とソヴィエト連邦を東西の盟主に据えた国際対立の様相と、その中での東アジア諸国の動向について理解する。
|
4thQ |
9週 |
日本の独立と日米安全保障条約 |
戦後日本の国際社会への復帰と、新たな国家体制について理解する。
|
10週 |
冷戦下の地域紛争と脱植民地化 |
第二次世界大戦後、冷戦のもとでアジア・アフリカ諸地域がどのような影響を受け、またそれに対しどのような動きを見せたかを理解する。
|
11週 |
東西両陣営の動向と1960年代の社会 |
東西両陣営の社会がどのように変容し、また1960年代を主軸に世界の人々がどのような動きをみせるようになったのかを理解する。
|
12週 |
軍拡競争から緊張緩和へ・地域連携の形成と展開
|
冷戦期における核兵器の開発と反核・平和運動の展開について理解する。 ヨーロッパ統合のはじまりとその特徴を、東南アジア、アラブ諸国、アフリカ、南北アメリカの統合と対比しながら理解する。
|
13週 |
計画経済とその波及・日本の高度経済成長 |
第二次世界大戦後に社会主義と計画経済が新興独立国家を中心にどのような影響を与えたのか、また、ソ連と中国の実態はどのようなものであったのかを理解する。 日本の高度経済成長を可能にした要因を世界的視野のもとで明らかにするとともに、その影響や課題について理解する。
|
14週 |
アジアの中の戦後日本 |
アジア諸国との戦後賠償や国交交渉の展開と背景を理解し、その結果や課題が今日の課題とどのような関わりをもっているのか理解する。
|
15週 |
後期期末試験 |
後期期末試験を行う。
|
16週 |
後期期末試験の返却 |
後期期末試験を返却し、後期の学習内容に対する自己の理解度を確認するとともに、一年間の学習内容を振り返る。
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文社会科学 | 社会 | 地理歴史的分野 | 近代化を遂げた欧米諸国が、19世紀に至るまでに、日本を含む世界を一体化していく過程について、その概要を説明できる。 | 3 | |
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。 | 3 | |
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。 | 3 | |
19世紀後期以降の日本とアジア近隣諸国との関係について、その概要を説明できる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 60 | 20 | 80 |
専門的能力 | 20 | 0 | 20 |