化学と人間生活、物質の構成、物質の変化について理解し、他人に説明できるようになる。安全に化学実験が行えるよう基本的な物質の取り扱い、器具の取り扱いを理解する。目的に応じて化学的な実験を行いレポートを作成するための基礎を学ぶ。
概要:
1年生の化学Ⅰで学んだ人間生活と化学との関わり、化学が物質を対象とする学問であること、物質はどのように成り立っているのか、物質を構成する元素や原子の構造と化学結合、そして化学反応式の記述法と物質量の計算法、物質の変化を量的に表す方法を基礎として、酸化還元反応と電池・電気分解、気体の性質、溶液の性質、化学反応と熱、化学反応の速さと平衡に関して学習し、基礎的な化学全般の理解を深める。
授業の進め方・方法:
講義とグループワーク、演習を組み合わせた学習を行う。適宜、課題や小テスト、化学実験を行うことで学習効果を高める。学習内容は大きく4部から構成されており、「酸化還元反応」の単元では物質の変化をどのように表わすのかについて学習し、「物質の状態と変化」、「溶液の性質」では物質の状態について学ぶ。さらに、「化学反応と熱・光」では化学反応とエネルギーの関係性について学習し、「化学反応の速さ」、「化学平衡」、「電解質水溶液の平衡」では化学反応の速さと平衡についてどのように表すのかについて学ぶ。
【事前学習】 授業前に前回の授業内容を振り返りながら新たに学習する単元を教科書で予習する。
【事後学習】 授業後に年度初めに購入した問題集を解き、授業内容の復習を行う。
注意点:
2年生では、1年生で学んだ個々の原子、分子の理解から、原子、分子の集団のとしての振る舞いを学習することになる。1年生の知識を用いて学習を進めるので、1年生のときに自分が理解不足と思った点については、できるだけ早く正確に理解するよう努めること。化学は物質を対象とした学問であることから、上級学年で学習する各専門分野とも密接に関わってくる。1年生に引き続き、化学は知識の積み重ねによるところが大きいため、正しく理解し、知識として定着させることで、専門分野の学習に活かすことができる。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
・授業の進め方・授業を受けるにあたっての注意点を理解する。
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2週 |
酸化と還元 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・酸化、還元の概念を説明できる。
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3週 |
酸化数の計算 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・酸化数の計算ができることと半反応の式の構築ができる。
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4週 |
酸化・還元反応の式の計算 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・酸化剤・還元剤を組み合わせた式の計算ができる。
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5週 |
金属の酸化還元反応と電池のしくみ・実用電池 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・イオン化傾向について説明できる。 ・金属の反応性についてイオン化傾向をもとに説明できる。 ・電池の内部で起きている化学反応を理解し、化学反応式半反応式を記述できる。 ・ダニエル電池を例に、一次電池について説明できる。 ・鉛蓄電池を例に、二次電池について説明できる。
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6週 |
化学実験Ⅰ(金属樹・電池) (講義・演習・グループワーク) |
・金属樹と鉛蓄電池の実験を通して、イオン化傾向と電池の原理を理解し、レポートにまとめることができる。
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7週 |
電気分解 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・電気分解の概念とファラデーの法則を理解し、関連する計算ができる。 ・電気分解の技術利用例を説明できる。
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8週 |
前期中間試験 |
・試験を通して学習を深める。
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2ndQ |
9週 |
物質の状態変化Ⅰ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・物質の状態変化と分子間力について説明できる。
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10週 |
物質の状態変化Ⅱ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・気体・液体間の状態変化について圧力と関連付けて説明できる。
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11週 |
気体の状態方程式Ⅰ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を理解し、関連する計算ができる。 ・気体の状態方程式を理解し、気体の性質に関する計算ができる。
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12週 |
気体の状態方程式Ⅱ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・混合気体の圧力について説明できる。
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13週 |
溶液の性質Ⅰ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・固体と気体の溶解度を説明できる。
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14週 |
溶液の性質Ⅱ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・希薄溶液の性質を説明できる。
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15週 |
前期期末試験 |
・試験を通して学習を深める。
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16週 |
前期の総括 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・前期の授業を振り返り、各人の理解度を把握する。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
コロイド (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・コロイドの概念と性質を説明できる。
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2週 |
化学実験Ⅱ(コロイド) (講義・演習・グループワーク) |
・コロイドを扱う実験を通して、コロイドに関する性質を理解し、レポートにまとめることができる。
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3週 |
化学結合と固体の構造 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・結晶格子のモデルを理解し、各結晶格子に関する計算ができる。
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4週 |
化学反応と熱 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・化学反応における反応熱を理解し、生活で用いている熱との関係を説明できる。
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5週 |
ヘスの法則Ⅰ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・化学変換を通したエネルギーを計算し、エネルギー問題を俯瞰して説明できる。
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6週 |
ヘスの法則Ⅱ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・結合エネルギーを用いて反応熱を計算できる。
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7週 |
光エネルギー (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・光のエネルギーについて説明できる。
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8週 |
後期中間試験 |
・試験を通して学習を深める。
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4thQ |
9週 |
化学反応の速さⅠ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・反応の速さの考え方を説明できる。
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10週 |
化学反応の速さⅡ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・反応のしくみを理解し、エネルギー的な観点から明確に説明できる。
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11週 |
化学平衡Ⅰ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・化学平衡の概念を説明できる。
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12週 |
化学平衡Ⅱ (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・ルシャトリエの原理を説明できる。
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13週 |
電離平衡 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・電離平衡を理解し、化学的観点からの水溶液中の平衡について説明できる。
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14週 |
塩と化学平衡 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・緩衝液の作用を説明できる。
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15週 |
後期期末試験 |
・試験を通して学習を深める。
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16週 |
一年間の総括 (講義・演習・Think・Pair・Share) |
・一年間の授業を振り返り、各人の理解度を把握する。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学 | 化学 | ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。 | 3 | 前11,前12 |
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。 | 3 | 前11,前12 |
酸化還元反応について説明できる。 | 3 | 前2,前3,前4 |
イオン化傾向について説明できる。 | 3 | 前5,前6 |
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。 | 3 | 前5,前6 |
ダニエル電池についてその反応を説明できる。 | 3 | 前5 |
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。 | 3 | 前5,前6 |
一次電池の種類を説明できる。 | 3 | 前5 |
二次電池の種類を説明できる。 | 3 | 前5 |
電気分解反応を説明できる。 | 3 | 前7 |
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。 | 3 | 前7 |
ファラデーの法則による計算ができる。 | 3 | 前7 |
化学実験 | 化学実験 | 実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。 | 3 | 前6,後2 |
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。 | 3 | 前6,後2 |
測定と測定値の取り扱いができる。 | 3 | 前6,後2 |
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。 | 3 | 前6,後2 |
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。 | 3 | 前6,後2 |
ガラス器具の取り扱いができる。 | 3 | 前6,後2 |
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。 | 3 | 前6,後2 |
試薬の調製ができる。 | 3 | 後2 |
代表的な気体発生の実験ができる。 | 3 | |
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。 | 3 | |