人文科学

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 人文科学
科目番号 0056 科目区分 一般 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 名取キャンパス一般科目 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 資料を配布する
担当教員 徳竹 亜紀子

到達目標

この授業では、「物語の成立と変容」をテーマに、物語の時代による変化という視点から日本社会の歴史を通時代的に追う。受講者は、物語が変化する要因となった社会背景を理解し、時代の変化と各時代の様相を説明できるようになってほしい。また、あまり馴染みのない歴史学的な考察方法に触れることで、各自の学問の視野を広げて欲しい。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1時代による物語の変化を通じて、各時代が物語に求めた「あるべき姿」を理解し、説明できる。時代による物語の変化を通じて、各時代が物語に求めた「あるべき姿」を理解している。時代による物語の変化を通じて、各時代が物語に求めた「あるべき姿」を理解していない。
評価項目2授業で話した内容を正確に理解し、説明できる。授業で話した内容を正確に理解している。授業で話した内容を正確に理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
この授業では、誰もが知っている「浦島太郎」や「桃太郎」など日本の昔話を取りあげ、成立期から現在に至るまでの変容過程を追いながら、物語が変化していく背景にあった時代的要請を歴史学的に考察する。
授業の進め方・方法:
いくつかの昔話を数回にわたって取りあげ、①現在の形、②成立期の形、③変化するポイントとなった時期とその頃の形、を比較しながら、いつ・どのような変化があったのかを明確にする。そのうえで、なぜそのような変化が起こったのかを考えていく。
使用する資料は毎回配布する。映像資料を使用することもある。
事前学習/次回取りあげる物語について、自分が知っている内容を整理し、説明できるようにしておく。
授業/配布プリントはあくまでも補助資料であるため、授業の内容をメモしながら受講すること。
事後学習/授業の内容を振り返り、整理しておく。
注意点:
講義形式の授業が基本となるため、ほかの受講者の迷惑となる行為は避けること。迷惑と判断した場合には退室を促すことがある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス ガイダンスで説明された内容を理解する。
2週 浦島太郎① 現在知られている「浦島太郎」の説話内容の要素を整理する。
『日本書紀』『播磨国風土記』に伝えられる原初的な形態の物語を読み、内容を理解して、現在の物語との違いを理解する。
3週 浦島太郎② 「嶋浦子」の伝説が「浦島太郎」になっていった経緯を理解する。
要素が変化した時期とその原因を考察する。
4週 浦島太郎③ 「浦島太郎」のしめくくりとして、「玉手箱」の役割と、異界としての「竜宮城」の世界観を考察する。
5週 竹取物語と月の世界 ―異界・常世・神仙世界 「竹取物語」と、現在の子ども向けの絵本「かぐや姫」を読み比べ、描かれる「月」の世界の違いを理解する。「浦島太郎」「竹取物語」「天女の羽衣」など、8世紀以前に起源をもつ説話に描かれる異界の性質を考察する。
6週 神仙世界と日本人の異界思想 仏教的世界観が浸透する以前の日本列島社会における異界のイメージを形成させた神仙世界について理解する。
7週 映画視聴「かぐや姫の物語」 映画「かぐや姫の物語」を視聴し、そこに描かれる月からの迎えに注目する。
8週 桃太郎① 現在知られている「桃太郎」の説話内容の要素を整理する。
吉備津神社の縁起と読み比べ、その内容と違いを理解する。
4thQ
9週 桃太郎② 「桃太郎」説話の変容過程を追い、物語の要素が変化する時期とその原因を考察する。
10週 桃太郎③ 「桃太郎」のしめくくりとして、「鬼ヶ島」「鬼」とはどのようなものかを考察する。鬼が登場するほかの説話も比較し、時代による「鬼」の描き方の違いや、次第に固定化していく「鬼」をたどる。
11週 金太郎の物語性 「金太郎」の物語を整理する。起承転結のほとんどないこの物語が、何を伝えるためのものであったのかを理解する。
12週 記紀神話①記紀の成立 『古事記』と『日本書紀』の成立経緯、記述方式の違いについて理解する。『古事記』『日本書紀』(神代)に由来する昔話を取りあげ、内容を把握し、整理する。
13週 記紀神話②再編成される神々 各地の神話や神々が記紀神話に取り込まれ、アマテラスを頂点とする神の系譜に統合されていったことを理解する。特に出雲神話に注目するとともに、古代国家に於ける出雲の特殊性を理解する。
14週 記紀神話③神から人へ ―石母田正の英雄時代論紹介 ギリシャ神話などに見られる、神々の時代と人間の時代の間に「英雄時代」を設置する歴史叙述の手法と、記紀神話における日本武尊の説話の類似性を指摘した石母田正の英雄時代論について理解する。
15週 まとめ これまでの授業内容を振り返り、整理する。
16週 試験 試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験受講態度合計
総合評価割合9010100
基礎的能力701080
専門的能力20020
分野横断的能力000