化学特論

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 化学特論
科目番号 0062 科目区分 一般 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 名取キャンパス一般科目 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教養の化学 -暮らしのサイエンス- 発行所:東京化学同人
担当教員 佐藤 徹雄

到達目標

(目的)
身近で起こる多彩な化学現象を学習して日々の暮らしと化学の関わりを説明できるようにする。
(目標)
化石燃料、食品、プラスチックなどの有機化合物とその利用法を説明できる。
暮らしに関わる物理変化と化学変化、酸と塩基などの基礎化学について説明できる。
生命や環境に関して化学の視点から説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
有機化合物の利用法有機化合物の分子構造と利用法を日々の生活と関連付けて論理的に説明できる。有機化合物の分子構造と利用法を説明できるが、論理的ではない。有機化合物の分子構造と利用法を日々の生活と関連付けられない。
生活に関わる基礎化学物理変化と化学変化、酸と塩基などについて、日々の生活と関連付けて論理的に説明できる。物理変化と化学変化、酸と塩基などについて説明できるが、日々の生活と関連付けが不十分である。物理変化と化学変化、酸と塩基などについて、日々の生活と関連付けられない。
生命や環境生命活動や地球環境について化学的視点から説明でき、身近な問題として例を挙げることができる。生命活動や地球環境について化学的視点から説明できるが、身近な問題として例を挙げることができない。生命活動や地球環境について化学的視点から説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
社会全体に関わるエネルギー利用や環境問題、いつか生まれる新素材も化学なしには語れず、日々の暮らしと関係づけながら化学の言語と発想を習得することで、ミクロの出来事が物質の多彩な性質を形作り、物質が日々の暮らしを支えていることを理解する。
授業の進め方・方法:
講義とグループワーク、演習を組み合わせた学習を行う。適宜、課題を行うことで学習効果を高める。学習内容は大きく2部から構成されており、「有機化合物の利用法」に関する単元では有機化合物の分子構造と利用法を日々の生活とを関連付けて学習し、「生活に関わる基礎化学」では1、2年生で学習した基礎化学の活用法ついて学ぶ。さらに、各単元において、生命活動や地球環境について化学的視点から学習する要素を含む。
【事前学習】 授業前に前回の授業内容を振り返りながら新たに学習する内容を教科書で予習する。
【事後学習】 授業で用いたスライドを見返しながら、授業内容の復習を行う。
注意点:
1、2年生で学習した基礎化学の内容を踏まえた上で授業を進めるので、以前に学習した内容を振り返っておくことが理解の向上につながる。自身の専門分野の学習にどのように役立てられるかを常に意識して、積極的な姿勢で授業に臨むことが大切である。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・有機化学の基礎
(遠隔授業)
有機化学とはどのような学問か概要を説明できる。
2週 エネルギーと暮らしⅠ
(遠隔授業)
エネルギーにはどのような種類があり、どのように利用しているのか説明できる。
3週 エネルギーと暮らしⅡ
(遠隔授業)
炭素循環と気候変動について概要を説明できる。
4週 食品のエネルギーⅠ
(遠隔授業)
エネルギー量の計算ができ、代謝について説明できる。
5週 食品のエネルギーⅡ
(遠隔授業)
油脂、炭水化物、タンパク質の分子構造について説明できる。
6週 石油化学と環境汚染Ⅰ
(遠隔授業)
高分子の種類と用途について説明できる。
7週 石油化学と環境汚染Ⅱ
(遠隔授業)
環境汚染と廃棄物について自身の考えを述べることができる。
8週 振り返り
(遠隔授業)
有機化合物の利用法と課題について説明することができる。
2ndQ
9週 キレイの化学Ⅰ
(遠隔授業)
界面活性剤の分子構造の特徴と洗浄の原理について説明できる。
10週 キレイの化学Ⅱ
(遠隔授業)
スキンケア,口腔ケア,ヘアケアに関わる化合物についてそれぞれ説明できる。
11週 くすりと遺伝子Ⅰ
(遠隔授業)
市販薬,処方薬,快楽用ドラッグに関してそれぞれ例を挙げて説明できる。
12週 くすりと遺伝子Ⅱ
(遠隔授業)
遺伝子の化学構造を理解し、遺伝子が関わる病気と医療について説明できる。
13週 放射能の化学Ⅰ
(遠隔授業)
放射能について理解し、放射線が生体組織にどのように作用し、利用されているのか説明できる。
14週 放射能の化学Ⅱ
(遠隔授業)
核分裂と原子力の利用法について説明できる。
15週 前期期末試験 試験を通して学習を深める。
16週 半年間の総括
(遠隔授業)
半年間の授業を振り返り、各人の理解度を把握する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学化学代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3
物質が原子からできていることを説明できる。4
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。4
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。4
純物質と混合物の区別が説明できる。3
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3
水の状態変化が説明できる。3
物質の三態とその状態変化を説明できる。3
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。3
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3
同位体について説明できる。3
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3
価電子の働きについて説明できる。3
原子のイオン化について説明できる。3
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3
イオン式とイオンの名称を説明できる。4
イオン結合について説明できる。3
イオン結合性物質の性質を説明できる。3
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3
共有結合について説明できる。4
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。4
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3
金属の性質を説明できる。3
原子の相対質量が説明できる。3
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。3
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。4
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。4
気体の体積と物質量の関係を説明できる。4
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。4
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。4
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。4
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。4
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。4
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3
中和反応がどのような反応であるか説明できる。3
中和滴定の計算ができる。3
酸化還元反応について説明できる。3
イオン化傾向について説明できる。3
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3
ダニエル電池についてその反応を説明できる。3
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。3
一次電池の種類を説明できる。3
二次電池の種類を説明できる。3
電気分解反応を説明できる。3
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。3
ファラデーの法則による計算ができる。3
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。3
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。3
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。3
陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。3
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。3
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。3
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。3
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。3
力学パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。3
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。3
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。3
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3
化学結合の初期理論としてのオクテット則(八隅説)により電子配置をルイス構造で示すことができる。3
原子価結合法により、共有結合を説明できる。3
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。3
酸化還元の知識を用いて酸化還元の反応式から酸化剤、還元剤の濃度等の計算ができる。3
イオン化傾向と電池の電極および代表的な電池について説明できる。3
代表的な非金属元素の単体と化合物の性質を説明できる。3
代表的な金属元素の単体と化合物の性質を説明できる。3
セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。3
無機材料熱力学第一法則と内部エネルギーの概念を説明できる。3
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。3
断熱変化に伴う温度変化を計算できる。3
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。3
定圧熱容量と定容熱容量の関係式が導出できる。3
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。3
ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。3
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。3
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。3
純物質の化学ポテンシャルの定義と物理的意味を理解し、理想気体の化学ポテンシャルを計算できる。3
理想溶液と実在溶液の違いを説明できる。3
化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。3
σ結合とπ結合について説明できる。3
混成軌道を用い物質の形を説明できる。3
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。3
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。3
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。3
高分子化合物がどのようなものか説明できる。3
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。3
重合反応について説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度課題合計
総合評価割合8500015100
基礎的能力35000742
専門的能力50000858
分野横断的能力000000