流体力学B

科目基礎情報

学校 仙台高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 流体力学B
科目番号 0165 科目区分 専門 / 必須
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械システム工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 水力学第2版 森北出版 
担当教員 永弘 進一郎

到達目標

流体力学の基本を学ぶ。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
レイノルズ数の意味の理解物理的意味を理解し、問題に応用できる定義だけは書き下せるレイノルズ数の意味を説明できない
管摩擦の計算が出来る教員の助言なしにできる教員の助言があればできる教員の助言があっても出来ない

学科の到達目標項目との関係

学科到達目標 1  機械工学に関する確かな基礎力を備えること。
学校教育目標 2 創造的で高度な実践的技術者の養成
JABEE 設計・企画・デザインする能力 D1 専門分野に関する工業技術を理解し、応用する能力

教育方法等

概要:
流体の基本的な性質を学んだあと、流体の運動方程式であるオイラーの方程式と、エネルギー保存を表すベルヌーイの定理の2つを主要な手段として、工学的に重要な主な二つの問題をあつかう。一つは、物体が流れから受ける力を求めること。もう一つは、管を流れる流体が受ける摩擦抵抗を求めること、である。前者の解説に際して、流体版の運動量の保存則と翼の理論も扱う。また後者については、乱流の理論を少々扱う。また、この授業では粘性流体の従うNavier-Stokes方程式までは到達しない。また、potential flowの理論や2次元非圧縮流体の複素関数論も基本的かつ重要であるが、この授業では扱わない。
授業の進め方・方法:
講義による解説のあと、演習問題を解く時間をなるべく多く取る。また授業で関連する話題について、デモ実験を行う。デモ実験の種類は前期5回、後期5回ほどであるが、さらに充実させていく予定である。
注意点:
この授業を受けて内容が理解できないとしたら、それは永弘の説明が下手なせいもあるかも知れないが、多くの場合は流体力学がそれほど簡単な学問ではないためである。高専の4学年より上で行われる講義は授業のみで理解できる者はごく少数であり、本当の理解のためでは、落ち着いた状態で自分の頭をつかいじっくり悩む時間が必要である。質問はいつでも歓迎するので、積極的に教官室まで足を運んでほしい。ただし「テストは何がでるのですか?」という質問は受け付けない。毎回の授業前までに、授業で行う内容と意義を考えて整理しておくこと。毎回の授業後には、指定された演習問題を行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 授業の進め方など
2週 粘性応力とはどういった力かーニュートン流体と非ニュートン流体 せん断応力の定義、ニュートンの粘性法則と粘性係数ηを導入。
3週 平行平板管あるいは、円管を流れる粘性流体の速度分布 いわゆるハーゲン・ポアズイユ流れを導出する。流量、管摩擦係数を計算。
4週 演習の時間1 円管の流量、粘性摩擦の大きさを捕らえるための演習問題。重力で駆動するポアズイユ流の速度分布を導出する。
5週 流れの安定性とレイノルズ数 力の釣り合いの関係式を無次元化して、レイノルズ数を導出。レイノルズ数によって流れの様相が特徴付けられることを理解する。レイノルズの実験を理解し、ハーゲン・ポアズイユ流れは低レイノルズ数でのみ成り立つことを理解する。
6週 管摩擦定数の導入とハーゲン・ポアズイユ流れの管摩擦 ハーゲン・ポアズイユ流れの管摩擦係数がレイノルズ数の逆数に比例することを理解する。
7週 乱流のレイノルズ応力と対数速度分布
この回のみ、講義ノートを配布する。この回が一つの山場。
レイノルズ応力の表現、プラントルの混合距離の仮説から、対数速度分布まで一気に導出する。
8週 乱流の管摩擦係数 カルマンの式を導出する。これを再起的に解いて、管摩擦係数を求める。
4thQ
9週 管の「粗さ」とムーディー線図 粗い管では、管摩擦係数がレイノルズ数によらず、一定になること。ムーディー線図を用いて、管摩擦を見積もること。
10週 演習の時間2 これまでの演習問題を解く
11週 次元解析1 次元解析の方法を理解する。振り子の周期、空気の音速、管摩擦の三つを導出する。
12週 次元解析2 卒研で役立つグラフの話を理解する。高度な例として、はりのたわみを次元解析で求める。
13週 演習の時間3 次元解析の演習
14週 揚力と抗力1 ストークスの粘性法則と、速度の2乗に比例する力。ハーゲンポアズイユ流れとのアナロジーを理解する(抗力係数がレイノルズ数に反比例)。
15週 揚力と抗力2 回転する物体に働く力を理解する。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。1
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。1
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。3
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。3
圧縮性流体と非圧縮性流体の違いを説明できる。3
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。3
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。3
パスカルの原理を説明できる。3
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。3
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。3
物体に作用する浮力を計算できる。3
定常流と非定常流の違いを説明できる。3
流線と流管の定義を説明できる。3
質量保存則と連続の式を説明できる。3
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。3
オイラーの運動方程式を説明できる。3
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。3
ピトー管、ベンチュリー管、オリフィスを用いた流量や流速の測定原理を説明できる。3
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合705010150100
基礎的能力705010150100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000